SNOW

SNOW

蘭々

親の離婚で北海道に転校することになった主人公・圭人(けいと)
彼は小さい頃から自分を客観的に見ていて性格はほどほどに良くない
しかしそんな彼には昔のトラウマがあり人間を信用できなくなっている
そんなある日ある1人の人間と出会いそこから彼の本当の人生のスタートが始まる!!

今回「SNOW」を読んでいただき誠に有難うございます!
今までにありそうでなかったような作品に仕上げたいと思っていますのでこの作品を読む際は皆様の色々な視野で「妄想」と「空想」で物語を進んで行ければと思っています!
最後まで「SNOW」を楽しんでいってください(∩´﹏`∩)

出会い

僕は小さい頃から少し変わった子供だった
誰にもなにもわがままを言わずそれでいて凄く嘘つきな子供だった

親の離婚、ペットの死そして
目の前で大切な人が死んでいく姿を目の当たりにしたのに
涙1つ流れることはなかった
そんな変わった子供だった

北海道S市に僕は転校してきた
まだ小学生だったから新しい友達を作れることに喜びを感じるはずだったのに
僕はそうじゃないらしい

3月だというのに外は凍りつくような寒さで街ゆく人達の白い息が風に流される
まだまだ雪が積もったままの道を僕は学校へと歩き始める

家からわずか徒歩5分という短さで学校へとたどり着いた僕の視界には
1つの雪だるまが正門の前に作られていた

「おはようございます…」
ため息にも似た相手に届いているかもわからない声で挨拶を交わし
職員室へと案内される
その小学校では有意義な時間と言えるようなそんなものはなかった

ただ時間だけが過ぎていきいつしか中学生になっていた
中学校は家から少し離れた場所にあり
着慣れない制服に身をつつみ遅れた登校を迎えることとなった

「すみません…遅れました」
そう言って教室のドアを開けるとHRだったらしく皆が席について僕の方を見ている
なんて不愉快なんだろう
「えっと…もしかして鳴海くん?」
担任の先生がそう聞いてきたので僕はたてにくびをふった
そのあとは式が終わり帰るだけとなった教室で色々なプリントが配られたが一切見ていない
するとなぜだろう横から凄く嫌な視線を感じて目を向けると
隣に座っていた1人の男が僕をじっと睨んでいる
「なに?なんか用?」
少しだけ不快な声で相手に僕はこう言った
返ってきた答えはグーパン1発だけだったけど僕はムカツキを隠しきれずにいたのかお互いに気の済むまで殴りあっていたそんな最悪な入学式を終えて僕は帰路についた

4月だというのにまだ道には少し雪が残っていてブレザーの中にはカーディガンを着ないと少し寒いお昼頃
家について間もなく母親から電話がきた
今日の入学式の遅刻と学校で起こした喧嘩沙汰が原因らしく数分にわたり怒鳴られぱなしの電話は一方的に切られてしまい僕は眠りについた

「おはようお兄ちゃん!」
夕方になって帰ってきた妹に起こされ僕は目を覚ます
「あーおはよう遅かったな」
「今日は始業式と一緒に委員会決めがあったからね!」
妹は僕の一つ下で今年は最高学年で色々と大変らしい
2人でコンビニに行き夕食を買ってきてテレビをみて
そんなどこにでもある普通の生活が僕はどこか退屈でそしてつまらなかった

また朝がきて学校に行きそして帰る
そんなどこにでもある日常の中学生で何も変わることのない日々
それがどこか退屈で僕は嫌気がさしていたのかもしれない

「今日はみんなに重大な話がある!!」
帰りのHR中に担任の先生が突然言い始めた時には僕はまだ知らなかった
この後僕はとんでもないことに巻き込まれることになるなんて
「明日は学校が休みになることになった!」
教室の中が騒がしくなって皆喜んでいる様子だ
「明日は学校で重大な会議があるみたいだからそのため休校にする!しかし宿題はあるからしっかりやっておけよ!」
先生の不敵なスマイルに皆からはブーイングの嵐
僕からしたらそんなことどうだっていい
HRも終わり帰ろうとしたその時突然教室の外から声をかけられた
2年の先輩達だった
僕はまたイラつきを隠しきれずにそのまま校舎の裏に連れていかれた
「お前が鳴海圭人か?」
「だったらなんすか?俺帰りたいんですけど」
先輩の話では好きだった女が自分のことを好きらしく見ててムカついたらしい
そんなの僕からしたら関係ないじゃないか
1発、2発、何発殴られただろうか
立ち上がるのが精一杯で帰るときにはヘトヘトで目の前には殴りかかってきた先輩とその仲間らしいヤツらがこてんぱんにやられていた
「うちの制服…?誰?」
目の前には1人の男が立っていたけど誰なのかはわからないまま僕は目を閉じた

目の前には広大な雪景色で
1人の自分だけがいるそんな世界
周りには誰もいないし
声すらも聞こえてこなくてどこか寂しげだった
そして光が強くなり僕は目を覚ます

「あ、やっと目が覚めた?」
見知らぬ女が僕の手を握り声をかけてきた
「亮平君たちにやられたんでしょ?大丈夫だった?」
亮平?僕のことを殴りかかってきた先輩のことか
「はい。大丈夫です」
僕はその手を振りほどき目も合わせぬままその場から逃げるかのように立ち去ろうとした時後ろから肩を掴まれた
「お前なんであいつらに殴られてたんだ?」
そう言ってきたのは隣の席の奴だった
殴られていた事情を女生徒から聞いてそいつは笑っていた
不愉快だった
「小泉君が助けてくれたらしいからお礼言わなきゃね!」
「お礼なんていいですよ!」
「助けてくれなんて一言も言った覚えはない」
僕はそのまま教室を出て校舎の外に出ていった
長い下り坂を降り
坂一面に咲く桜の並木道を降りると
すぐに商店街がありそこを抜けて数分歩いたところに僕の家はある
今日は不愉快な1日だったな
僕は早めの夕食をとり眠りにつこうとしたその時だった
聞き覚えのある声がこちらに向かって怒鳴りつけてくる
昼間の先輩達だった
「おい!テメェの仲間よんでこいオラァ!!」
多分僕のことを助けにきた小泉とかってやつのことだろう
僕にだってストレスの溜まる許容量は決まってる
多分それは人よりも少し浅い器なんだろうとは思う
自分でもわかってるけどそれが隠しきれない
「おい!早く呼べって…」
「あーうっせー。お前らさいい加減静かにしてくれませんか?まぢで殺したくなるから」
僕の許容量の限界を超えたらいつもこうだ
目の前にある全てにイラついて
目の前にある全てのものを全て無くしたくなる
1人、また1人僕は殺す勢いで殴っていく
半数は逃げたけど僕の一番のストレスの原因の男は逃がさなかった
「なー亮平君でしたっけ?君はどんな感じにかっこよくなりたい?」
僕の質問はいつだって決まってる
“生かされたように殺されたい?”
“死んだように生きてみたい?”
この質問が出た時は自分で自分を止めることはできないでいる
その時だったあいつと出会ったのは
気がつくと喧嘩を売りにきた男達はいなくなっていて僕は地面に頭をついていた
目の前には黒髪がサラサラと風に流されていて肌が雪のように白く華奢な女の子が立っていた
「貴方はどの季節が好き?」
「はっ?」
質問の意味がわからないし状況が全く理解できていない
「ねー聞いてる?私は冬が嫌いなの」
「質問の意味がわかんねーしお前誰だよ」
僕の質問に彼女は親切にも答えてはくれなかったけど
地面に落ちていた生徒手帳は僕の学校のものだった

“1年2組 成海茜”
「え、これ俺のクラス…なんで…」
彼女は一体誰だったのだろ
まだ外は冷えていて雪の上には桜の花びらが落ちている
そんな異様な光景を見ながら僕は1人の少女と出会ってしまった

過去のトラウマ

周りはいつだって勝手だ
そう思ったのは僕がまだこの街に転校してくる前の話
1年に1回降るか降らないかの雪を見たさに僕は外へと出ることが多くなっていた
「けいとは雪が好きね」
「うん!僕冬だーいすき!」
そう僕は冬が好きだったあの時までは

目覚ましの音が部屋中に鳴り響き僕は目を覚ます
「夢か…」
着替えをすませ部屋を出るとまだ少しひんやりとした廊下を靴下ごしに感じてはリビングへと向かうその途中柚稀が部屋から出てきた
「お兄ちゃんごめん!先に行くね!」
慌てて家を飛び出していく柚稀を見送り僕は少し焦げた目玉焼きと少し生っぽいウィンナーを食べて後を追うように家を出ていった
僕は学校に行く道とは正反対の道を行きある場所へと向かった
歩いて数時間そこにはこの街1番桜が咲く山があり僕は桜の木の下でポカンと空を見上げていると目の前に知ってる人影を見つけた
「成海…茜!?」
「君は桜は好きか?私は桜が好きだった」
「だった?今は?」
「見ていると嫌いになりそうだ」
彼女の目には溢れんばかりの涙が今にも流れ落ちそうになっていた
あれからどれだけの時間が経ったのだろう
2人ともそれ以上の会話はなくいつの間にか2人で学校に向かっていた

鳴海と成海

遅めの朝を迎え街の雪は少しずつ溶け始めてきたそんなある日
僕は昨日のことを思い出していた
“貴方はどの季節が好き?”
意味のわからない質問をしてきた成海茜という謎少女
僕はあの時の少し刹那気な表情の彼女のことを思い出していた

「おはようけいとー」
珍しく朝から母さんが起きていた
こんな日は病院に行って帰ってきてまた寝るんだろうな
そんなことを思いながら見ていると妹の柚稀がそそくさと準備を終わらせ登校していった
「あんたも早く用意しなさいよ」
母さんがテレビをボケーッと見ながら僕に言った
「今日は学校休みなんだよ」
休みの日は特にやることもないしなにをしようか迷っていた
これといっても何も無いから着替えをすませ外に出ていった

昨日の夜に少しは雪が溶けたらしく道にはもうほとんど雪は見えないからいつもよりも歩くペースが早まる
どこに行き着くのかもわからぬまま家の近くの公園へと足は進んだ
ここは小学生の時によく来ていたところだ
遊具は結構錆び付いていて故障中の紙が貼っている時は多々ある
「あら圭ちゃんおはよう」
そう言って呼び止めたのは近所のおばさんだった
おばさんの話によるとここはもうじきなくなるらしい
なんでも新しくアパートが建つんだとか
「そうなんですか…それは寂しくなりますね」
寂しくなるなと思ったのは本当だけど別にこれといって思い出もあるわけじゃないし
僕には関係ないの話だ
お昼過ぎになって家に帰ると誰もいなかった
誰もいない部屋で僕はいつの間にか眠りについていた

「お兄ちゃん!お兄ちゃんってば!」
柚稀に起こされ目を覚ますと既に朝になっていた
“どんだけ寝てんだよ”そんなことを思っては着替えを始めて学校に向かった
今日はすごく早めの登校だった
まだ誰も来ていない教室の扉を開けるとそこには見覚えのある後ろ姿が窓の近くにあった
「お前…成海茜」
僕はとっさに言葉が出ていた
彼女は名前を呼ばれるとこちらをじっと見つめてから教室を出ていってしまった
学校のチャイムがなり皆が登校してきてまた教室の中が騒がしくなる
なんて不愉快なんだろう
「みんなー席につけよー!」
担任の先生が教室に入ってきた時一緒に彼女の姿があった
「あーなんだ突然だけど転校生を紹介する!」
男子も女子もその圧倒的なオーラに絶句してしまっている模様
「成海茜です。特に仲良くなりたいとか思ってないのでよろしく」
その一言でごく1部の男子には高評価を受けていたけど
それからというもの彼女はいじめの対象となってしまったのは言うまでもなく
僕はその光景をただ見ていただけだった

チャイムの音と共にお昼の合図が流れる
給食が自分たちの席へと運び込まれるが彼女はその光景に強く違和感があるらしく戸惑っていた
僕はそんな彼女を見ては見ぬふりをして給食を食べた
「鳴海くん、先輩が用事あるんだってー」
クラスメイトが僕を呼んでいてその方をみるとそこには保健室の時の先輩がいた
先輩に呼ばれ屋上の前のドアに立たされる僕
「話ってなに?」
「あ、えっと、この間また亮平くんが行ったって聞いてその…」
「あー大したことなかったから大丈夫です」
「ほんとに!?よかったー」
先輩の名前は佐藤あかりというらしい
僕が入学式の後になにをしたかは覚えていないがその頃から好きなんだとか
全くもって迷惑な話だ
僕は先輩の告白じみたことを唆し後にした
女とは全くもって下らなく勝手な人間だ

その日の夜僕は学校の裏にある神社へと足を運んだ
ここは小学生の頃何かあれば来ている所で近くには墓地もある
でもその墓地には足を運んだことはない
「なんだその辛気臭い顔は」
そう言って近づいてきたのは小学生の頃からなにかと縁のある水城愛だった
「僕は生まれてからずっとこの顔だ」
「何言ってんだい」
「愛には関係ないだろほっとけ」
夜の神社に冷たい風が吹き込み僕は家へと帰った

“私は冬が嫌い”
そう言っていた彼女の言葉がなぜかこだまするように僕の脳内を駆け巡る
彼女はなぜあんなことを言ってきたのだろうか
「俺だって冬は嫌いだ…」
そしては僕はいつの間にか眠りについていた
満月に少し雲がかかり部屋がだんだんと暗くなっていく
僕の心を写す鏡のように
暗く冷たい闇へと僕は意識を飛ばしていくそんな感覚だった

SNOW

SNOW

  • 小説
  • 短編
  • 恋愛
  • コメディ
  • 青年向け
更新日
登録日
2015-09-15

Copyrighted
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Copyrighted
  1. 出会い
  2. 過去のトラウマ
  3. 鳴海と成海