無題

崩れていく
両の足はそれぞれの小さな領土に
倒れまいと力をこめれば

さらさら
さらさら

父よ
母よ
異国に生きるしかない私には
あなた方の記号は意味を持たず

古い衣は腐った海藻のように身から剥げ落ち
新たな衣は強く固くて身に沿わない
素裸のまま震えながら
中空に支えを求めて手をのばす

さらさら
さらさら

小さな孤は他と交わらず
足下の砂が地上との接合に不承不承許可を下すのを
その気が変わらぬに間に

不毛の地が目の裏の風景ならば
私の瞳がとらえるべき世界は

さらさら
さらさら

耳に残るは時を測る砂
望み乞うらくは「真実」を
ただ見せたまえ
最後の時までには

無題

無題

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-09-12

Copyrighted
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