無題
崩れていく
両の足はそれぞれの小さな領土に
倒れまいと力をこめれば
さらさら
さらさら
父よ
母よ
異国に生きるしかない私には
あなた方の記号は意味を持たず
古い衣は腐った海藻のように身から剥げ落ち
新たな衣は強く固くて身に沿わない
素裸のまま震えながら
中空に支えを求めて手をのばす
さらさら
さらさら
小さな孤は他と交わらず
足下の砂が地上との接合に不承不承許可を下すのを
その気が変わらぬに間に
不毛の地が目の裏の風景ならば
私の瞳がとらえるべき世界は
さらさら
さらさら
耳に残るは時を測る砂
望み乞うらくは「真実」を
ただ見せたまえ
最後の時までには
無題