浅甕
踏切前 電車が流れてゆくのを見届ける春
脱線してはくれぬかと 心中で願う
夏の夜 昔の女を殺す度
「そろそろかしら」と 空が嘯く
日暮れ頃 机上に這い寄る秋蜘蛛に
これ以上 私が有名になるのを とめてくれまいかと 必死に頼んでみる
何年も連れ添った飼犬達 慟哭と歓喜の狭間に立ちながら
山岳の頂上から蹴落とす そんな夢を見る冬の刻
浅甕
踏切前 電車が流れてゆくのを見届ける春
脱線してはくれぬかと 心中で願う
夏の夜 昔の女を殺す度
「そろそろかしら」と 空が嘯く
日暮れ頃 机上に這い寄る秋蜘蛛に
これ以上 私が有名になるのを とめてくれまいかと 必死に頼んでみる
何年も連れ添った飼犬達 慟哭と歓喜の狭間に立ちながら
山岳の頂上から蹴落とす そんな夢を見る冬の刻
浅甕