浅甕

夢森 伏郎

踏切前 電車が流れてゆくのを見届ける春
脱線してはくれぬかと 心中で願う

夏の夜 昔の女を殺す度
「そろそろかしら」と 空が嘯く

日暮れ頃 机上に這い寄る秋蜘蛛に
これ以上 私が有名になるのを とめてくれまいかと 必死に頼んでみる

何年も連れ添った飼犬達 慟哭と歓喜の狭間に立ちながら
山岳の頂上から蹴落とす そんな夢を見る冬の刻


 

浅甕

浅甕

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-09-12

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