未知の世界の話
「今からおもしろい話をしてあげる。」
「未知の世界についての話なんだけどね。」
「本当にあると思う?って考えてるけど、そんなものはあるわけない。」
「だって誰も行ったことがないから。」
「証明しようがないわけさ。」
「ある日現れたの。未知の世界に行ったことがあるって人が。」
「笑っちゃうよね。ひどい話。そいつは頭がおかしいやつで誰も話なんて聞かなかった。」
「けど私は聞きたかったの。彼の話を。すごく興味があった。」
「そこは自分だけの世界でなんでもできる。自由に生きられる。彼はそう熱心に話していた。」
「どうやって行ったの?って聞いてみたら、自分が1番分かってるはずさ。なんて返してきた。」
「やっぱりおかしいやつだって可笑しくて私はずっと笑い続けていたの。」
「でね、その子は未知の世界に行ったまま帰って来なかった。」
「どう?おもしろいでしょ?」
気付けば彼女は泣いていた。
未知の世界の話