底
底が見えない暗い水の中で僕達は進み続けた。
夢を
掴もうとしていたかもしれない。
希望を
捨てずにいたいだけだったかもしれない。
今更そんな綺麗事を並べただけで
先へ進めない事は分かっていたはずなのに。
それでも
前へ進もうとした。
悲しい話。
諦めればもうこんな苦しみから逃れられるのに。
たすけて。
もう遅い。
永遠に進み続けていた水の中で
底が見え始めた。
手を伸ばすと久しぶりに感じる地面がある。
良く分からない感情が胸を押し潰す。
辺りを見回した。
僕は初めから1人だった。
水の中はとてもしょっぱかった。
底