トラウマ

トラウマ

本当は、こんなこと誰にも話せない。 だからせめて、文字で。


私は小学校の時から仲のよかった友達がいた。
クラスが離れても毎週のように遊んで、ずっと一緒にいた。
中学に上がってからはさらに仲良くなった。
部活は別だったけど、登校も一緒、休み時間も休日も生徒会も一緒。
お互いに何年間も支え合って助け合って、2人で親友だねって言って。
どんなに部活が辛くても、その友達に会えば安心できた。
どんな話もどんな気持ちでも、その友達には全部話してたしそれだけ信頼してた。
でも、ある日急にその友達に無視され始めた。
始めは自分の勘違いだろうって思った。
確かにその前の日に「1ヶ月後、東京に一緒に遊びに行こう」って誘われたのを断った。
でもそれは親の許可が下りなかったってちゃんと言ったし、その子もわかってくれたはずだった。
私はその子が自分を無視して仲間はずれにするような子じゃないってずっと信じてた。
でも、その子が陰で私のことを「嫌いだ、ウザい。」と言っているのを聞いてしまった。
その頃同時に引退したのにまた、同じパートだった子に虐められ始めた。
原因は簡単
「約束断った。ウザい。」
「先生とも卒業した先輩とも、後輩とも仲が良い。ウザい。」
「受験生のくせに勉強してない。自慢?ウザい。」
全部、聞えよがしに言われた。

私の中で何かがおかしくなった。
信じてたのに
今までずっと一緒にいたのに
これからもずっと一緒にいようねって言ってたのに
支え合ってたはずなのに
お互いに素直な気持ちで本心で接してたはずなのに
なんで?
中3の最後に
こんな形で
今まで一緒にいた時間はなんだったの?

部活の子から言われたことなんて、正直もう慣れてたからなんともなかった。
ただ、それを自分が信頼してた友達も一緒に言っていた時は、泣きながら帰った。

今までずっと信じてたのに。
人を無条件に信じて疑わないところが私の短所でもあり、長所でもあった。
どんな悪いことをする子でも人の子なんだからきっと話せばわかってくれる。
素直に伝えればわかってくれる。
そう思ってたのに。


それ以来、人を信じられなくなった。
たとえどんなに親しい友達でも、どんなに一緒にいて安心できても、
「結局この子も私から離れていくんだろうな、」
「信頼してもあの時みたいに裏切られるなら、いっその事始めから信頼なんてしなければ良い。そうすればもし裏切られても傷は浅くて済む。」
「素直になっても相手がウザがるだけなんだから、素直になんてならなければダメージは少なくてすむじゃないか。」
「友達だとか親友だとか、恋人みたいに『別れる』っていう切れ方もないような曖昧な関係なんて、いつぷっつり切れてもおかしくないんだから、その関係に執着するだけ無駄だ。」

「信じるのが怖い。」

こう思ってしまう私が、心の中にずっといて誰かと親しくなるたびに囁く。
「曖昧じゃない繋がりにしないと、また裏切られるよ。」

大切でずっと一緒にいたくて、離れていってほしくない人に出会って、親しくなればなるほど不安になる。
「私の知らないところであの子は、私のことをウザいって言ってるんじゃないか。」
「私の知らないあの子の一面がきっかけで、すれ違ってしまうんじゃないか。」
「私がこうやって考えてることも鬱陶しがられてるんじゃないか。」

いつ嫌われるかわからない。
いつ切れるかわからない。

嫌われるくらいならいっそ、ここでさよならしてしまおうか。

本当は心から誰かを信じたい。
大好きで大切な人を失いたくない。

でも私の中の誰かが言う。
「他人なんて、結局自分優先。信じるだけ無駄。」

だから私は中学卒業以来、心から誰も信じられてない。

相手を信じて素直になりたいのに。

ずっとトラウマとして付きまとって来るんだ。
君たちはそんなことしないってわかってるのに。

私って本当にばかだよなぁ。

トラウマ

読んでくれてありがとう。

トラウマ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-09-07

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