中村くんの絶望的日常
とある日の薄暗い朝方──
中村くんの自宅にとある青年が忍び込む。
目的は定かではないが、後々解明されることだろう。
侵入者─1
ある日の薄暗い朝方──
木々は風にざわめき、鳥が囀ずっている。
「よぉし、入っちゃうぞぉ。」
ふふっ─
男は顔一面に人懐っこい笑みを浮かべながら、男は一軒の家のドアノブに手をかける。
「ん~、入れるかなぁ?」
ガチャガチャとドアノブを軽く回してみるが、鍵が掛かっているのか開く気配はない。
「あちゃー、やっぱだめかぁ…まぁ朝だししょうがないかぁ…。」
今は午前4時──
時間も時間、家の誰もが寝静まっているということもあり家の鍵が開いている筈などない。
男はシュンとして、足元を見つめながら地面を蹴っている。
「ちぇっ、しょうがないから彼処から入るかぁ…やだなぁ。」
眉間にシワを寄せ、ブツブツ文句を言いながら家の裏手へと歩を進める。
この家の裏手には、小さな小窓が設置されている。
どういうわけか、この小窓は何故かいつも鍵が開いているのであった。
男はその小窓の前で立ち止まり、はぁ…とため息をつく。
「嫌だなぁ…僕、体大きいからねじ込むしかなくて痛いんだよねぇ…。」
男はヒョイと小窓に手をかけ、ガラッと窓を開ける。
そして、ほっ!と短い声を発しながら徐々に小さな小窓に体をねじ込んでいく。
「いだっ、いだだだだだ…いだいって!!」
案の定、男の体は胴の中腹辺りでつっかえて身動きがとれなくなる。
朝方ということもあり、幸い目撃者は現れなかったものの、なんと怪しい光景であろうか。
地面から1メートルほど離れた小さな小窓から、男の長い下半身が突き出している。
シュールというか、なんというか…
まぁ、それなりに怪しいのである。
「うぅぅ、だから嫌だったんだよぉ。」
男は哀れな声を出しながらも、グイグイと室内に体をねじ込み続ける。
そして──
ドスッ!!と鈍い音を立てながら床に落下する。
「いっっ…たぁ~!うぅぅ、もうやだよぉ」
床にベッタリと座りながら、半泣きで腰をさすっている。
キョロキョロと小部屋を見渡しながら、よしょっ…とその場に立ち上がる。
「本当にもう、無機物から与えられる痛みは嫌いだ!!痛みはやっぱり殴られるに限る!!」
小さく声を荒ららげながら、そろそろと小部屋から出ようと出口のドアノブに手を伸ばす。
そして──
パタンと音をたてて、彼はドアの向こうに消えていった。
人の気配のなくなった小部屋は、再び静寂に包まれた。
中村くんの絶望的日常
つたない文章力にも関わらず、最後まで読んでくれた読者の皆様、誠に感謝しております。
ありがとうございました──
連載の方を頑張っていこうと思うので、今後とも見守っていただけると幸いです。