雨だれ・だっこちゃん

雨だれ・だっこちゃん

だっこちゃん

小学校低学年の時には、<だっこちゃん> という黒くて目がパッチリした
空気の入った人形がとても流行していました。
おばあちゃんが買ってくれました。 
それを腕に巻いて歩くのが楽しみでした。
ある日、友達の節っちゃんの家に何人かの友達と遊びに行きました。
節っちゃんの家は材木屋さんで子供から見たら とっても
お金持ちという感じでした。
節っちゃんはお嬢様です。いつも素敵な洋服を着ていました。
ピアノも家にあります。この頃はピアノのある家はとても少なかったと
思います。
3時になるとちゃんとおやつもでます。友達の親分的存在でした。
そろそろ帰り時間です。
節っちゃんがだっこちゃんを気に入っているようなので帰る寸前に
「節っちゃんにあげる」 と言ってだっこちゃんをあげてしまいました。
私はおばあちゃんに買ってもらった大事なだっこちゃんをあげた事に
後悔しました。子供心にだっこちゃんをあげないと仲間外れになるのが怖かった
のだと思います。自分であげたのにとても悲しくなりました。
家に帰ったらおばあちゃんが「だっこちゃんは?」と聞いたので
とっさに「なくしてしまった」 と言ってしまいました。
不憫な子にと せっかく買ってくれたのに嘘をついてしまいました。
心の中で (ごめんね) と 謝りました。

雨だれ・だっこちゃん

雨だれ・だっこちゃん

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-09-01

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