手紙‐想い出‐

まったく方向性もなく書いていきますのでお話がめちゃくちゃになってしまいそうです

 貴方へ

覚えていますでしょうか

あの夏のことを

私にとって忘れることの出来ない思い出です。

あの時貴方に会えたこと、あの場所にいられたこと

今年の夏は帰ってみようかと思います。

もし宜しければまたあの神社で会いませんか



この手紙が届いたのはつい先日のことである

送られてきた手紙を見ているうちに

少しずつあの頃の事が思い出されていく

少しの間時間を頂いてもよろしいでしょうか

あの頃の思い出を語りたくなってしまいました

休みに入って一週間ほど経った頃だろうか

私は近所にある神社へと向かっていた

夏本番のような暑さ

汗をかきながら自転車を走らせる

階段を駆け上がり木々の下で涼んでいると歌が聞こえてきた

とても綺麗な声で今にも消えてしまいそうな声で

私はその声に導かれるようにふらふらと歩きだした

それまで暑さで動くのも面倒だったはずなのに

そこには夏には似つかわしくないほど肌が白い女の子がいた

私は彼女の歌を聴き続けた

歌が終わり彼女が一息ついていると、ふとこちらに視線が向く

彼女は少し驚いたような顔をしていたがすぐにその表情は笑顔へと変わり頭を少しだけ下げ会釈してきた

私は少し戸惑っていた

今まで生きてきて初めて見るようなその美しい子に心がときめいていた



これが私の初恋だったのかもしれない

無言の時間がとても気まずい

「こんにちは」

彼女の声は透き通っているような声だった

「どうも……」

「もしかして歌聞いてた?」

「うん、少しだけ」

彼女は照れたように俯きながら言った

「下手くそでごめんね」

彼女を傷つけてしまったのかと思い焦る私

「い、いやそんなことないよ。とても上手だった」

彼女は顔を上げ、笑顔を見せてくれた

彼女は何かを思い出したように歩き出す

「どうかしたの?」

「うん、用事を思い出したの」

「また会えるかな?」

彼女の足が止まり少し俯く

「うん……絶対に」

次の日彼女は神社には現れなかった

彼女に会ってから一週間後

まだ彼女に会っていない

いつになれば彼女に会えるのだろうか

その日も昼くらいには神社に着いていた

私は不安と期待で胸がいっぱいだった

階段を登りきるとそこには白いワンピースが風に靡いていた

「やっと会えた」

私は口に出して言ってしまった

「あっ…」

彼女が振り向く

やはりあの時と同じ笑顔だった

「何?また会えるの期待してたわけ?」

彼女は少し意地悪な笑顔で私に声をかける

「いや、そんなことはないけど…」

彼女がこちらへ近づいてくる

「ごめんよー少し忙しくてね」

ため息混じりにそう話す

「あの今週この神社でお祭りがあるんです…」

私は意を決して彼女を誘おうとした

「あぁ…ごめん、多分もう会えないんだ」

私の目が霞む

まだ二回ほどしか会っていない相手に

私は恋心を抱いてしまっていたのだろうか

手紙‐想い出‐

手紙‐想い出‐

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-04-03

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