One ways ~科学探偵部の日常~
ルークの処女作です。
科学的根拠に基づいて作成しました。
よろしければ読んでください。
まだ未完ですが、読者様のニーズによってはこれから不定期で更新していくつもりです。
1
私は、世界地図を見るのが好きだった。
特にヨーロッパ。
大概の世界地図には、世界全体を表す地図に加えて、ある地域を拡大した地図が載ってる。
その、ヨーロッパを見るのが好きだった。
以前は決まって、社会の地理の授業中はずっと地図帳を眺めていた。
眺めて、妄想していた。
イタリアに行ったら何をしよう?
スイスに行ったらどこへ行こう?
フランスでは何を食べよう?
・・・でも今は、ただ機械的に黒板の文字をノートに書き写しているだけだ。
5時間目の社会の授業。
残り時間は・・・15分くらいか。
教壇で先生が何かをしゃべっている。
「これは入試に出るから覚えろ」
生徒たちがマーカーを引く。
「ここは入試には関係ないから飛ばす」
そして黒板にまた何かを書き始める。
中三の私たちは、今まさに「受験生」。
そして、現在12月。
入試まで残り1,2カ月ってこともあって、皆必死に授業を受けてる。
あ、皆って言っても、二人だけ例外がいる。
一人は私。
そしてもう一人は___私の隣に座ってるこの死んだ魚の目をした男。
教科書を机に立てて、その陰で数字と格闘してる。
いや、バレバレだって。
そのうち先生に注意されても知らないよ?
ぼーっと教壇を見てると思えば、ため息一つついてノートを開いて・・・
最後のページに数字を書き出し始めて・・・
1,1、2、3、5、8、13、21、34・・・
凄く速い。
まぁ、意味はよく分からないけどね。
でもこいつは私の人生を変えた。
とりあえず、この男とのいきさつについてはまた後で。
話は戻って世界へ。
友達との雑談の中で、海外旅行の話が出てくることがある。
○○へ行った。
こんなことがあった。
こんなものを見た。
楽しかった。
また行きたい。
それを聞いては、自分も旅行がしたいなぁとか、そんな感じでまた地図帳を眺めてた。
私は心のどこかで、いつか家族旅行で海外に行けるんだろうなって、そう思ってた。
・・・でも、現実はそう甘くない。
昔は幼稚だった私も、だんだん知恵がついてきて___中2のころだったっけか。
親に海外旅行に行きたいって、言ってみた。
意外と勇気が必要だった。
・・・そして1秒後、私の夢は打ち砕かれたわけだ。
「そんなお金、うちにあるわけないでしょ?」
・・・ああ、そうなんだ。
それから私は、家にある地図帳を全部引っ張り出して庭に積んでいった。
そして、ストーブ用の灯油をかけて___マッチを投げ入れた。
ここまで、無言。
それから、ちょっと涙を流して炎を見てた。
それが私、赤丸 紗綾(あかまる さや)という女である。
Ⅰ
はぁ・・・。
まだ授業は終わらないのか。
時間は相対的なんだな・・・。
大して工夫もされてない、クソつまらん授業。
俺ならもう少しおもしろく授業出来るのにな・・・。
さっきから教師の動きを観察してたが、やっぱ今一つだ。
まぁ、頑張ってる一生懸命さは認めよう。
俺はノートの最後のページに、「フィボナッチ数列」を書くことにした。
1,1,2,3,5,8,13,21,34・・・
まぁ、こんな授業よりは少しはマシだった。
隣の「セキ」がこっちを窺う。
俺は赤丸のことを「セキ」と呼んでいる。
理由は単純。
何となく「赤丸」っていう名前が嫌だったから。
だから赤を音読みしてセキにした。
セキはどうせこの数字の羅列の意味が分かってない。
まぁ、別に良いけど。
俺の名前は、一戸 真白(いちのへ ましろ)。
科学探偵部の部長をしてる。
っていっても部員は現在俺とセキのみ。
後輩の誰かを入れさせないと、この部は今年で潰れてしまうわけだ。
卒業まであと___3カ月。
部の寿命はそれに等しい。
One ways ~科学探偵部の日常~
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これから不定期で更新していくつもりです。
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