カゲロウデイズ
これは初音ミク「カゲロウデイズ」を元に勝手に作った小説です。
中学校生活最後の夏休み真っ最中。
「あっづ・・・」
天気のよすぎる日差しの下、俺は幼馴染のユキと公園のブランコで駄弁っていた。
俺「今・・・何時?」
ユキ「12時半ぐらい」
ユキはさっきからずっと携帯をいじっている。
ユキのひざの上では飼い猫のミケが気持ちよさそうに寝ていた。
・・・にしても暑い・・・
特にすることもないのだがこの暑さだと家でゲームをしているほうがマシだ。
そもそもこの炎天下の下、外に出るというのは自殺行為だ…!
「あちぃ・・・!」
俺は必死に家に帰りたいという思いを遠まわしにユキに伝えた。
彼女が俺の地道な訴えに気づいているかどうかは不明だ。
それでもユキは携帯をいじってちらりともこちらを見ようともしない。
ユキが不機嫌なのは見て取れた。
ユキのカチカチという携帯を打つ音と太陽のジリジリという音が耳に焼けつく…
ほど長い間俺たちはここにいた。
・・・・・・言ってみよう。
「あの・・・帰ろうか?暑いし」
俺の声でようやくこっちを見た。
と思うと、また携帯に目を落とした。
そして、
「何言ってんの・・・
家に帰ったらママがうるさいのよ・・・
絶対帰んないから」
・・・・・・ん?
何なんだお前は。
お前の家庭事情で俺を振り回すな!
っていうか俺が言いたいことはそれだけじゃないんだよ!
それにお前のブランコの位置には木陰があって、お前はそれでいいかもしれんが…
俺の上では太陽かんかんでりだっての!
「・・・この・・・・・・」
「くそユ・・・ッ」
「・・・?」
「・・・・・・ッケェ!」
「・・・は?」
あっぶねぇ・・・
もう少しでクソ呼ばわりするところだった。
ユッケでごまかす俺。
・・・ダさ・・・
―病気になりそうな眩しい日差しの下―
ミケがにゃ~とあくびをした。
いいな猫は気楽で。
俺達には宿題という名の地獄アイテムが待っているというのに・・・
ユキがパタンと携帯をとじた。
ようやく終わったか。
「でもまぁ、夏は嫌いかな・・・」
ん~と伸びをしてミケをなでるユキ。
一部だけ見ればのどかな風景なのに・・・
ユキもようやく諦めがついたのか、立ち上がろうとしたその時。
―その時、ミケがユキの膝から逃げ出した―
「――あッ・・・」
「待ってミケ!」
追いかけるユキ。
その後からつられておいかける俺。
―カゲロウは ワラッテル―
「―――ッバカユキ・・・!」
遅かった。
すべてが俺の目の前で起こって、
すべてが一瞬だった。
猫が横断歩道を横切るのも、
信号が赤になるのも、
君が大型トラックの真ん前にいたことも、
赤い血しぶきが舞い散るのも、
君が轢かれてしまったことまで。
すべて一瞬でわかってしまったんだ。
溢れ出す涙と、すぐに充満する濃い血のにおい。
あまりの濃さにむせ返る。
「ヴっ・・・ぐあ・・・ッ」
飛び散った君の血が僕の手や服にべったりとついていた。
君の元へペタンと座り込む。
「・・・ユ・・・キぃ・・・?」
「にゃ~ん・・・」
近づいてくる一匹の猫。
「・・・・ユ・・・キ?」
血まみれでぐったりしている君は、もう動かない。
「・・・ユキぃ!!!」
こんなのアニメやドラマだけの場面のハズだろ?
こんなの現実じゃないだろ?
さっきまで話してたのあの時間は何だったんだ?
なあ、おい・・・
血まみれの手でユキをかかえる。
すでに少し冷たくなったユキの体。
顔に血気がない。
お前は俺がむかしから知ってる幼馴染だよな?
お前は生きるんだろ?
「ちっくしょオォ・・・」
「・・・誰か・・・ッ」
「誰かぁ・・・!誰か救急車を!救急車をお願いしますッ・・・!!」
声にならない声で叫ぶ。
しばらくしてサイレンが響き渡る。
だんだんと周りにできる人だかり。
その時、だった。
「・・・嘘ジャナイゾ・・・」
・・・!?
誰だ・・・?
ふと前を見ると人だかりの中にまぎれていたのは、
・・・・・俺・・・・・!?
顔や体つきが全て俺にソックリだった。
違うのは・・・色?
髪や目の色が正反対だった。
まるで影のような・・・
そいつはニヤッと口を歪ませて笑った。
そしてゆっくりと口を動かした。
「カ
ゲ
ロ
ウ」
口元がそう動いたような気がした。
・・・カゲロウ・・・?
意識は、そこでぷっつりときれた。
→第2話へつづく(?)
カゲロウデイズ
カゲロウデイズ
http://www.youtube.com/watch?v=XjUxy7KXWtA
本家の歌を小説で完結させようと思っています*
呼んでいただけるとうれしいです///