あの日のあの場所で。
今日、一生を誓いあった千鶴と明宏。しかし、約束を交わした帰りに2人は交通事故にあい、千鶴も明宏も記憶喪失に…。この2人が、再び結ばれることはあるのだろうか?
俺は、お前を一生幸せにする。
「千鶴。俺と結婚して下さい!」
意を決してプロポーズを口にしたのは俺こと、桐島明宏。今日3月14日ホワイトデーであり、プロポーズをした相手の葉山千鶴の誕生日である。俺と千鶴は付き合い始めて4年と6ヶ月程が過ぎていた。バレンタインデーに美味しい美味しいチョコを貰った俺は、もっと大きなお返しがしたくて今日をプロポーズの日に選んだのだ。断られるかも知れない…そんな気持ちも無くは無かったが、男として今日を逃したくなくて千鶴に伝えたのだ。返事が無いと思って彼女の顔を見るとも驚きに包まれていた。その顔も可愛いなぁ。どうなのかな?やっぱり俺とじゃダメかな。
ヤダやっばい。明宏いきなり何言い出すのかとおもった。(;ω; ))オロオロ (( ;ω;)オロオロ嬉しいけど…どう返事したらいいんだろ(汗)あっ明宏がこっち見てる…そりゃー返事返すまでかかり過ぎだもんね…とにかく、返さなきゃ。
真っ赤になりながらもやっと口を開いた千鶴。
「あきひろ…」
「はっはい!(汗)」
「こんな私で良ければよろしくお願いします*_ _)ペコリ♡。」
「ほっホントですか?こちらこそよろしくお願いします○┓ペコッ。」
こうして、今日3月14日千鶴の誕生日&ホワイトデーの日に、一生を誓い合った。場所は二人が出会い、恋に落ちた所だ。
「懐かしいね~あきひろ。ここって確か…」
「あぁ。ここは俺と千鶴が出会い恋に落ちた所だよ。ホント懐かしいな。来たのは、付き合い始めて1年後くらいだろ?それ以来来てなかったからな~。」
「そう言えばそうだね~。1年後くらいの夏に来たけどそれ以来は来てないかも!久しぶりにこれて良かったな~」
「なぁ。千鶴。」
「どうしたの?あきひろ。」
「覚えてるか?俺らが出会った時のこと。」
「もちろん、覚えてるよ♪あんなに記憶に残るような出来事なかなか無いからね。」
「それもそうだな。」
俺と千鶴が出会ったのは今、俺らがいる所。彼女も俺も冬なのに海に来ていた。どうやら彼女は友達と来ていたみたいだっが一人で貝殻を拾っていた。貝殻を拾うことに夢中の彼女と海を一人で眺めていた俺の、運命を変えた強い風が吹いた。彼女はとっても、可愛らしい帽子を被っていたのだがそれが飛ばされてしまったのだ。俺も、彼女もあっと言う声をあげて帽子を捕まえに走りだした。俺は、早い方ではあったが彼女もかなり早かった気がする。あと少しで届くって所で彼女が転んでしまった。転んでしまった事に気がついたのは俺が、帽子を捕まえた後だった。すぐに駆け寄って手を差し出して立たせた。
「大丈夫ですか?」
俺は、そう聞きながら彼女の顔を見た。とっても、綺麗な顔立ちだった。可愛いなぁと思った。
「あっ、はい。大丈夫です。」
「あっ、大切な帽子です。」
「ありがとうございます。あのっお礼と言ってはなんですが、もし良ければ海からは少し離れてますが美味しい飲み物が飲める喫茶店があるのでそこで何か奢らせてください。」
「えっ!悪いですよ~。そこまでしなくて大丈夫ですから!別に俺は、大したことしてませんから。」
「いえいえ、お気になさらずに。ホントに美味しいんで是非飲んでもらいたくて。あなたがいてくれてホントに助かったのでそのお礼がしたいだけですから。」
「……お言葉に甘えさせてもらってもよろしいですか……?」
「全然いいですよ!(๐^╰╯^๐)♬」
「ありがとうございます。」
「いえいえ♪」
…かっかわいい…
俺は、彼女の笑顔に恋をした。
「ここから2分ほど歩きますから。」
「あっ、はい。」
無言の時間が続くのかと思いきや彼女の方から積極的に色々もと話しかけてくれて、盛り上がっていたらとっても、おしゃれな喫茶店についた。
「おしゃれな喫茶店ですね~」
「ホントですよね!私2年くらい前からここの喫茶店に通ってますが何回来ても飽きない程メニューの数が多いんです!」
「へぇ~そうなんですか!」
「じゃあ、行きましょうか!」
カラーン、カラーン。
『いらっしゃいませ~』
「こんにちは!」
『あら、千鶴ちゃんじゃないの!』
「お久しぶりです!恵子さん!」
『ホント久しぶりね~!隣の方は?』
「あっ、さっき出会った……」
「初めまして。桐島明宏です。今日は海を眺めに来ていました。」
『あら、初めまして!私は、成嶋恵子です!この喫茶店の店長してます!よろしくね♪』
「こちらこそよろしくお願いします。」
「あっ、私自己紹介してない。ごめんなさい!私は、葉山千鶴です!好きなことは、貝殻を集めることです!よろしくお願いします。」
「あっ、そういえばそうでしたね!大丈夫ですよ。俺はの好きなことは、海を眺めることです。」
『へぇ~お二人さん初対面なんだ!前から知り合いみたいなのオーラを感じたんだけどな~』
「初対面ですよ?恵子さん!
『そうみたいね〜二人の会話を聞いてて気がついたわ。』
『まぁ、とりあえず座って座って』
「これ、メニューです。」
「あっ、ありがとうございます。」
…………………………
「恵子さーん!」
『はーい?何にするのか決まったのぉ?』
「はい!私は、ほっとレモネードといつもの抹茶とホワイトチョコのホットケーキで!」
『オッケー!』
「恵子さん!海に見つけた貝殻置いて来ちゃったみたいなので取りに行ってくるね!」
『あらー置いて来ちゃったのぉ~!しっかりしなさいよ!行ってらっしゃい!』
「行ってきまーす!」
カラーン、カラーン。
『えっと、明宏くんだっけ?何にする?』
「あっ、俺は、ハニーパンケーキとミルクティーでおねがいします。」
『オッケー!先に食べながら戻ってくるの待ってる?』
「あっ、いえ。戻ってくるまで食べずに待ってます。」
『あらー優しいわね~じゃあ、それまで、おしゃべりでもしてよっか!』
「あっ、はい。」
『2人はどうして出会ったの?』
「えっと~……………………それで、転んじゃった葉山さんに手を差し出して立たせたら、喫茶店に行こうと誘われて……。」
『転んじゃった千鶴ちゃんを立たせたら恋に落ちた?』
「えっ!………。」
『当たりでしょ?( ̄ー ̄)ニヤリ』
「…当たってます…葉山さんの可愛さに惚れました。」
『そりゃーそうよね~。千鶴ちゃん可愛いもん!告白をする予定は?千鶴ちゃんだれもいないわよ?』
「そっそれはできません(汗)」
『なんでよ~明宏くんはどこに住んでるの?おいくつ?』
「千葉に住んでて22歳です。」
『今日告白しなかったら、彼女にはできないわね。だって、彼女神奈川に住んでるんだもの。勇気を持って千鶴ちゃんのハートを射って千葉に帰るのか、心を奪わずに後悔だけを残して千葉に帰るのか。もし、ここで告白をするなら私が、手助けしてあげる。って言っても、こっそり、消えて二人きりにするだけだけどね!どうなの?』
「神奈川に住んでるんですか…そうすると今日しかない。恵子さんも力を貸してくれる…でも、俺にそんな勇気はないです。」
『ホントにいいの?千鶴ちゃんを見てると、あなたの事が好きなのかなって思えるんだけど。ずっと顔が、赤いから。」
「初対面の人といるからじゃないんですか?」
『ううん。千鶴ちゃんは初対面は人と話してても顔は赤くはならないし、テンパることもないわよ?だから、明宏くんの事が好きなのかなって思った。』
「そうなんですか……。」
『そうなんですよ!どうする?そろそろ千鶴ちゃん戻ってきちゃうわよ?』
「……よし!恵子さん!力を貸してください!葉山さんが戻ってきたら男らしく告白します!」
『よしよし!それでこそ男だ!』
カラーン、カラーン。
『おかえり!千鶴ちゃん。これから、ホットケーキ焼くわね~』
「ただいまです!あれ?桐島くんたべてなかったんですか?」
『千鶴ちゃんが戻ってくるの待ってるって言うからおしゃべりしながら待ってたのよ!ね?明宏くん!』
「あっ、はい。葉山さんの事待ってたほうが良いのかなと思いまして…」
「わざわざありがとうございます!」
「いっいえ。大丈夫です。」
『んじゃ、作ってくるわね~!あっ、先に、ほっとレモネードとミルクティーね~。』
「ありがとうございます!恵子さん!」
『ごゆっくり♪』
ふぅーーーこんなに女性と話すのって緊張するものなのかな?………
「あのっ、今日はどちらからいらしたんですか?」
「俺ですか?俺は、千葉の方から来ました。」
「千葉ですか。いいところですよね~!」
「葉山さんはどちらから?」
「神奈川県の横浜からです!とにかく、夜景が綺麗なところです!」
「あっ、俺その辺行ったことあります!確かー海が目の前に広がっててー奥の方に夜景が広がってるんですよね?」
「そうですそうです!よくご存知ですね!嬉しいです!」
「横浜が好きで何回か行ったことがあるもので!」
「へぇ~そういえば失礼かもしれませんがおいくつですか?見たところ私と変わらなそうだな~と思ったんですが。」
「俺は、22歳です。」
「あっ、やっぱり変わらなかった!私桐島くんの2つ下です!」
「確かに近いですね!なんか嬉しいです!」
「私も!」
『盛り上がってるところ悪いわね~焼けたわよ!抹茶とホワイトチョコのホットケーキとハニーパンケーキね!!あってる?』
「あってます!恵子さん。恵子さんも一緒にお話しましょう?」
『いいわよ~千葉の話し聞いてみたいわね。私、行ったことないからさ!』
「私も!行ったことない!千葉ってどんなところなんですかー?桐島くん。」
「えっとですね~……………………」
『スゴっw』
「ホントすごいですね~!行ってみたいなー千葉。興味湧いちゃった!」
『わかるわかる!その気持ち!』
カラーン、カラーン。
「おーい!恵子さんいるかー?」
「あれ?おっちゃん!」
「その声は千鶴ちゃんやな?」
「はい!久しぶりね!」
「最後にあったのいつやっ?」
「いつやったかな~去年の夏じゃない?」
「おおーそうかもしれん!千鶴ちゃん、隣のイケメンは何者じゃ?」
「あぁー彼は桐島明宏君で、海で偶然にも会ってここでゆっくり、話したいと思って呼んだの!」
「そうじゃったんかい!ゆっくりしてってや!恵子さん、ちょいと外に来てもらってええか?」
『はいよ。ってことで、ちょっくらおっちゃんと話してくるから、千鶴ちゃんと明宏くん留守番頼むわ!んじゃ!あとで!』
「はーい!いってらっしゃーい!」
カラーン、カラーン。
「行っちゃいましたね?」
「えぇ。えっと、あの方は一体?」
「おっちゃんって呼んでるけど、名前は窪島智さん。でも、私は、おっちゃんって呼んでるけどね!」
「窪島さんか。でも、なぜおっちゃんって呼んでるんですか?」
「簡単な事よ?おっちゃんだから、おっちゃんってだけ!くだらないでしょ!」
「えっ!それだけですか!?」
「はい!それだけです!」
…どうしよう。話のネタが無くなって来ちゃったわ…
…どうしよう。何話したらいいんだろ葉山さんと…
……沈黙の1分間……
「あっあの。失礼かもしれませんがご結婚は?」
「いいえーしてるわけないじゃないですか!付き合ってる人もいないですし!そう言う、桐島くんは?」
「俺も、付き合ってる人は、いません!」
「そうなんですか。」
……………………
「あのっ!今日初めて出会った人にこんな事言うのは失礼かもしれませんが、好きです!付き合ってください!┏○」
「えっオロオロ(゚ロ゚;))((;゚ロ゚)オロオロほんとに私なんかでいいんですか?」
「あなただから、いいんです!!俺は、本気で好きです!葉山さんの事が!」
「じっ実は…私も…桐島くんの事が好きです…(´ฅωฅ‵๑)…こんな私でいいのならよろしくお願いします!」
「ホントですか!嬉しいです!これから、よろしくお願いします┏○」
「こちらこそよろしくお願いします○┓」
こうして、4年と6ヶ月前2人は出会った。
交通事故と記憶喪失
「私達は初めて出会った時から両思いだったんだよね!」
「そうそう!俺も、それは驚いたわ!しかし、懐かしい記憶だな~あの時、千鶴の帽子が飛ばされなかったら俺達は結ばれなかったわけだろ?帽子を飛ばした風にマジ感謝だわ!」
「私も、それ思った!風が吹かなかったら交わることのなかった2人。なんか、ロマンチックだね!!あの風が吹いた時から4年と6ヶ月。めでたく結婚!色々あったけど明宏と結婚できるってほんとに幸せだなって思えるよ!」
「照れちゃうぜ!俺も、お前と結婚できて幸せだよー!これからもよろしくな!」
「こちらこそよろしくね♪」
「そろそろ、帰ろうか?」
「それもそうだね!あんまり遅いと危ないし!」
2人は今日、一生を誓い合って新たなスタートを切り更に幸せになれるはずだったが…夜9時を過ぎた東京の夜道で鈍い音が聞こえた。まるで、夜9時の静寂を破るかのように…
……キキードンガッシャーン……おい2人巻き込まれてる…
「ちずる…。」
「あきひろ…。」
《おい!二人ともしっかりしろ!!》
《ヤバイぞ。反応ないぞ!》
《とっとにかく、救急車を呼べ!》
《おっおう!ピッポっぱーもしもし?救急車おねがいします。場所は……》
《しっかりしろよ?すぐに救急車来るからな?》
二人が、一生を誓った今日。幸せに包まれていた彼らに車は突っ込んだ。幸いにも車のスピードがそこまで出ていなかったことと、周りの人の迅速な対応によって2人は命は取り留めたのだが、交通事故よりも前の記憶を失ってしまったのだ…そう、その記憶に含まれる永遠の愛も。
こんな悲しいことがあるだろうか…こんな辛いことがあるだろうか…どうして神様は2人…
明宏は事故から3日後に、千鶴は事故から1週間後にそれぞれ意識は戻った。
当然のことながら、二人とも記憶を失っているので自分が誰なのかはもちろん、なぜ、指に婚約指輪がはまっているのかも分からない。二人して婚約指輪は外してはしまったのだがなぜか捨ててはいけないと思い箱に入れてしまっておいた。
『私は、俺は、一体誰と永遠の愛を誓ったのであろう…』
交通事故によっての体へのダメージは小さかったのだが、記憶喪失という精神的ダメージは大きかった。でも、千鶴も明宏も記憶を取り戻したい。必ず、愛した人を見つけたい、そう思って、少しずつ少しずつ記憶を取り戻す作業をすることにした。
彼らは再び結ばれるのだろうか…?それとも違う人生を歩むのか…
記憶を失った明宏
俺の名前は桐島明宏と言うらしい。なぜ、自分の名前も曖昧なのかと言うと、俺は、3月14日に交通事故にあい記憶を失ってしまったのだ。交通事故の事は何となく分かる。しかし、それよりも前に俺は、一体どこで何をしていたのか。そして、どうして指輪をつけているのか。それが思い出せない。忘れてはいけないと何かがあるはずなんだが。こういう事を思い出すまでに既に意識が戻ってから3ヶ月。思い出したいことを思い出すまであとどれくらいかかるのだろうか…?
俺は、まず母親に聞いてみた。
「なぁ、母さん。」
「どうした?あきひろ?」
「俺って事故に合うよりも前って何してた?少しでも聞いたら何か思い出せるのかなって。あと事故の時の事もきかせてくれない?俺は、どこでどのような事故にあったのか。母さんは話すの辛いかもしれないけど力を貸してくれないか?」
「……分かったわ。母さんが少しでも力になれるのならいいわ。事故に合うよりも前の事は長いからまず、事故の時の事を話すわよ。」
「ありがとう。母さん。」
「事故が起きたのは3月14日のホワイトデーの夜9時頃。あなたは、東京で事故にあってしまった。どうやら持病を持ってる人の運転する車だったみたいなんだけど、あきひろが渡っていた交差点の少し手前で発作が起きてしまったの。それで、渡っていたあきひろにぶつかった。幸いにも、スピードが出てなかったことと周りの人の迅速対応によって命は助かった。ここまで何か質問は?」
「俺が東京に…?なんで?」
「警察の方から聞いた話によると財布の中に○○って名前のレストランのレシートが入ってたって。」
そのレストランの名前を聞いても思い出すことは特には無かったが、どうして俺がそんなところに…。
「俺は、なんでレストランに行ったんだ?」
「あきひろが目を覚ました時指輪をしてたでしょ?これだけだと分からないけど、あなたは、事故に合うよりも前からずっと前からお付き合いをしていた女性がいた。あなたは、3月14日の朝指輪を持って家を出て行った。きっとプロポーズをしたのね。事故にあった時隣にはもう一人いた。その人は私も、知っている女の人だった。そして、彼女も指輪をはめていた…。」
「えっ!俺は、結婚しようとしていたの?その人も現場にいたって言うけどその人は大丈夫なのか?どんな人?」
「あなたとその人は付き合い始めて4年と6ヶ月くらい立ってた。あきひろは付き合いはじめてすぐに私に言いに来たのよ?一目惚れした人のハートを掴んだって。その人の誕生日があきひろがプロポーズをした3月14日だった。わかりにくいかもしれないけどこんな感じだったのよ。質問は?」
「母さん。その女の人に会える?今すぐとは言わないけど、その人と会ったら何か思い出せるかも。あっ!」
「どうした?あきひろ。会えるかしらね…その女の人も記憶を失ってしまったみたいで。」
「母さん!俺ってどこに行ってからレストランに行ったの?わかる?」
「あっ。それは警察の方がしらべてい教えてくれたわよ。確かね~○○○って海岸。そこにいたみたいよ?あきひろもその女の人も。」
「海にいたのか。俺は。何してたんだろうか?」
「あきひろはずーっと海を眺めてるのが好きだったんだよ。もし、その女の人と会うことができたらそこに行ってみたら?もしかしたら思い出すことがあるかもよ?」
「そうしてみるよ。母さん。その女の人に会えるか聞いてみて?」
「分かったわ。とりあえず、寝たら?色々考えて疲れたでしょ。」
「そうするよ……おやす……。
「おやすみ。」
記憶を失った千鶴
私は、葉山千鶴。今まで病院なんて一度もお世話にならなかったような娘が病院にいる。ってお母さん?が言っていた。なぜ、私が、こんなに曖昧なのかと言うと、わたしは交通事故にあってしまったらしい。お母さんにそういわれたうえで、自分の名前を聞いた。
「ねぇお母さん。どうして私はここにいるの?なんで、記憶喪失になっちゃったの?私が何をしたの?」
「千鶴…。」
「お願い!教えて!お母さん。話すの嫌かもしれないけど、どうしても思い出さなきゃいけないものがある気がするの。ダメ?」
「そう…あなたは受け入れることができるの?無いなら無いでも損は無いような事なのよ?」
「お母さん…私は、大丈夫だから。聞かせて?何があったのか。」
「あなたがそこまで言うならしょうがないわね。決して聞いてて気持ちの良い話では無いのよ?いいわね?」
「ありがとう。お母さん。」
「あなたが、記憶喪失になったきっかけは交通事故だったの。時間は夜の9時頃。場所は東京のとある交差点。車を運転していた人は持病を持っていた。千鶴が渡っていたところに持病を持っていた人が運転する車が来た。普通なら赤信号だから止まらなきゃならないのに、ちょっと前に、発作が起きてしまっていてほとんど意識がない状態で交差点に突っ込んできて、あなたにぶつかったの。ここまではいい?」
「お母さん。なんで私は、そんなところにいたの?東京なんてそうそう行かないところなのに。」
「それは、お母さんも気になって警察の方に調べてもらった。そうしたら色々分かったの。まず、あなたは、事故にあった時一人ではなかった。男の人と一緒に倒れていた。周囲にいた人から見てた感じ、あなたとその男の人は親しそうに話していたと。その男の人の財布からは○○って有名なレストランのレシートが入っていた。どうやらあなたは、その男の人とそのレストランに行ってたみたいだった。そのレストランの帰りに交通事故にあってしまった。他に何か知りたいことは?」
「…私は、そのレストランに行くまではどこで何をしていたの?」
「あなたはねーそのレストランに行くまで○○○って海岸にその男の人といたみたいよ。」
「ほぉーーその男の人と合うことってできるの?もしかしたら、その男の人と会えば何か思い出すことができるかもしれない。それに、海岸にも行ってみなきゃ。絶対、何か鍵があるはず…。」
「そう…千鶴が会うことを望むなら向こうの方に聞いてみるわね?」
「ありがとう。お母さん。よろしく!」
お互いに会う事を望んでいる千鶴と明宏。二人は会うことで何かを思い出すことができるのだろうか…?
あの場所にて
「えっと…葉山千鶴さんですか…?」
「えっあっはい。桐島明宏さんですね?」
「ええ。そうです。えっとその…よろしくおねがいします…。」
「こちらこそ、よろしくお願いします…。」
どこかよそよそしい今、いるのはとある海岸である。
「どうやら俺と葉山さんは交通事故に巻き込まれる数時間前からこの海岸にいたとか…。」
「そうらしいですね…。この海岸に来たあと東京のレストランに行ったとか…。」
「ええ。俺もそうやって母親から聞きました。」
「何て言うかここ懐かしいですね…来たことがあるって言うだけ。あきひろさんと会ったことがあるのかどうかは分からないですけど…」
「俺もそう思いました!確かに初めましてなんですけどなんつーか懐かしさを感じるし千鶴さんとは赤の他人では無いって思えるんです。この海がなにかを教えてくれてる感じがあるんですかね~」
「そうなんですかね~?初対面だけど初対面じゃないんですよぬ…」
「あっ!これ見覚えないですか?目を覚ましたときにこれをはめてたんです。」
っと言って、千鶴に見せたのは二人の誓いのリングだった。
「こっこれ…(汗)私も目を覚ましたときに母からこれをしてたんだよって教えられて渡されました!これです。」
「ほっほんとだ!あのっ3月14日ってホワイトデー以外になにかありませんか?めでたいこととか」
「えーなんかあったかしらぁ……あっ!私の誕生日です!」
誕生日にホワイトデーそして二人お揃いのリング…
「「あっ!!」」
「もしかして、俺プロポーズしたのかな?」」」
「私もそれ思い浮かびました!1度将来を誓った人だからこそこんなに安心するのかも知れないんですね!」
「もしかしたらあの日ここ以外にも行ったかも知れないので少し海の回りを歩いてみませんか?」
「いいですね!行きましょ!」
「とりあえずあっちに行ってみましょっか!」
「そうですね♪」
果して二人の記憶はどこまで戻るのだろうか…
休憩しませんか?
冬の海辺を散歩していた千鶴と明宏。海の周りにも行ってみることになり浜をでた。
「ねぇねぇ?明宏さん?」
「ん?どうしたんですか?千鶴さん。」
「あのお店なんでしょうか。」
「喫茶店ですかね?」
「お洒落な雰囲気ですね~」
「そうですね~あそこで休憩しませんか?」
明宏と千鶴の二人は海から近い喫茶店に行くことになった。
「「こんにちは~」」
『いらっしゃ~い(*´∀`)』
「なんか懐かしい~♪」
「確かにそれはわかります。千鶴さん。」
『初めましてでは無いのかしらね~(*´∀`)』
「「へえっ!?どういう事ですか?」」
『初めましてじゃないわよぉ~?何となく新聞で読んだけど二人とも事故に遭ったんだって?』
「あっ、はい。」
『その事故で二人揃って記憶喪失になったって聞いたのよ。びっくりしたわぁ~』
「えっと、その僕たちのことはなぜ知ってるんですか?」
『すぐそこの海に事故に遭った日に来たのは思い出せたんでしょ?海に行ったあとにどこにいって何をしたのかも。どうなの?』
「はい。確かに事故に遭った日、この町の海に来ていました。そのあと東京の有名なレストランに行ったことも。そのレストランで僕は千鶴さんにプロポーズしたんです。」
『そうね、合ってるわね。私があなた達を知ってる理由を話すわね?まず、私と千鶴ちゃんは元々知り合いだった。千鶴ちゃんは、そこの海で貝殻を拾うのが好きで、貝殻を拾って終わるとここに来て私とゆっくり話ながらパンケーキ何かを食べてたわよ。千鶴ちゃんと明宏君が出会ったのもこの町の海だった。千鶴ちゃんはいつも通り貝殻を拾いに来てたの。明宏君は海を眺めにこの町に来てた。そうしたら、千鶴ちゃんの被ってた帽子が風で飛んじゃったのよ。帽子が飛んでいった先には明宏君がいて、千鶴ちゃんは拾ってくれたお礼がしたかったのよね。この店に来たのよ。そこで、あなた達二人と私は親睦を深めた。あなた達二人は初めて会ったときから両思いだったわ。それが、今から約6年前の3月14日ホワイトデーであり、千鶴ちゃん。あなたのお誕生日の日ね。どう?私に聞きたいことは?』
「あのっ、、、」
『ん?どうかした?千鶴ちゃん。』
「もしかして、恵子さん?」
『ふふふっ♪もしかして千鶴ちゃん、全部思い出したの?初めて会ったときから好きで、一生を誓いあった日の事も全部。違う?だから、私の名前も分かったんじゃない?』
「やっぱり恵子さんには敵わないなぁ~(照)確かに私は全部思いだし「あっ!!!千鶴!千鶴?千鶴?千鶴なのか?」
「えっ、うん。明宏さん?」
「俺も全部思いだしたよ。この海も、この喫茶店のことも、恵子さんの事も、事故の事も、プロポーズしたこともぜーーーんぶっね!!千鶴、久しぶり!また会えて良かったよ。」
「あきひろさん、、、私も再び会えて良かったと思えてるわ」
『ふふふっ♪二人の記憶が本当に戻ってよかった~(*´∀`)』
「「恵子さん!色々思い出させてくれてありがとう!」」
『どういたしまして♪』
3月14日
千鶴と明宏の記憶が戻って1年後。今日は、千鶴の誕生日をお祝いするべく、とある町の喫茶店に来ている。
『いらっしゃい!』
「「こんにちは~」」
『じゃあ、早速始めようかしら。座って座って!』
「せーの!」
「『はっぴばーすでー!千鶴!』」
「ありがとう!恵子さん!明宏さん!」
『さぁ!食べて食べて!腕振るったのよぉ~(*´∀`)』
「この、牡蠣美味しいです!」
「こっちの、お魚もっ!!!」
『ふふふっ♪ありがとうね~(*´ω`*)』
………………………………………………………………………………………………………………
『明宏君、私ちょっと行ってくるね?(コソッ)』
「わかりました。(コソッ)』
「千鶴。俺の話聞いて貰ってもいい?プロポーズした日に事故に遭ったなんてなんてついてないんだろうって思ってた。でも、こうして千鶴に再び出会って二人揃って記憶も戻って本当に良かったと思う。千鶴と一緒ならどんな山でも越えられると思うし越えていきたいと思う。だから、結婚してください!」
「明宏さん、、、約6年前に起きたことを聞いて驚いたよ。でも、こうして再び出会えたのは偶然じゃない。必然だった。私も、明宏さんと色々な山を乗り越えて行きたいって思うよ。
こんな私で良ければよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
『二人ともおめでとう!これからも頑張りなさいよぉ~(*´∀`)』
「「ありがとうございます!!」」
あの日のあの場所で。
一緒を誓いあった日に事故にあい記憶をなくしてしまった二人。しかし、約2年の時を経て今日改めて二人は結ばれた。
二人はそっと寄り添って生きて行くのだろう。