僕は確かに、そこに在った。
前の自分がくるしいなかで迷いをぶつけた短い文に、
ちょっとだけ大人になった(ほんのちょっと。)自分が答えを書いてみました。
キミへ
ずっと待ってたのかもしれない。
もっと知りたいこともあった。
あたしね、キミを忘れられる程、
いい人見つけられるか正直不安だよ。
だって、キミが、いい人すぎたんだもん。
これは、今だけの感情なのかな?
バカみたいでしょ?自分の事なんて分かんないの。
なのに、どうしよう。
いつまでもだらだら、シツコイよね。
嫌われてることなんて分かってるんだ。
じゃあ、なんでまだ好かって聞かれると、
たぶん今のあたしにはまだ答えられない。
もう、自分のせいにするの、疲れた。
拝啓 あの頃の自分へ
今あなたが、「あの頃」と恋い焦がれ、嘆き、苦しみ藻掻いているその想いは
絶対に無駄じゃない。
そしてその、不安でたまらないそれは、今だけの感情ではない。
だけど今は、「私を愛してくれる人を心から愛したい。心から恋したい。」そう思う。
なんでまだ好きなのか――。
それはね、
ただ、現実が霞んで視えて、確信がないからこそ、心の奥の希望が支配するの。
「もしかしたら まだ」
自覚していない間に、それがあなたの理解のもとになっていたの。
もしかしたら好きだからこうするのかも――。
そうでしょう?
別に変なことじゃないんだよ。
あなたには答えがないから、予測しかできないから。
近づいただけで。怖いくせに惹かれる。
分かるよ。分かる。
しつこいんじゃなくて、勇気がなかったんだ。
はっきり答えを聞く勇気?
違う。
あの人に拒絶されることを恐れずに立ち向かう勇気。
でしょう?
確かに嫌われてるのかもしれない。関わりたくないと思っているかもしれない。
ひょっとしたら、そこまで気にしてもいなかったかもしれない。
でも、確かに。
あの人の口から、「可愛い」とも「好き」とも言われたことを忘れないでいてほしい。
それは大切で、キラキラした、あなたの初めての想い出でしょ?
あの人が水筒を届けてくれた武道館も、ノートを取ってくれた数学の授業も、励ましてくれたあのメールも、
全部覚えておきたい。だから今も、大切に思い出してほしい。
あなたのそれはまだ、「記憶」という曖昧な箱の中で、ずっと宙に浮かんでいるから。
耀いていないのはそのせい。
最後に。
このあと、あなたはあの人に「ごめんなさい」、 そういわれる。
最初からあの人の答えは決まってたんだと思う。
だって、好きな人がね、いたの。あの人。
霧吹きの雨が降る、7月20日の水曜日。たぶん、5時30分過ぎのこと。
そんなことを知らないあなたは、知らないくせに、ふられたくせに、
笑うんだ。自然な笑顔で。
やっと、答えが出た。
やっと、前に進める。
やっと、許してもらえた。
これでもう、苦しくない。
そして今、私はこうして、ギターをあきらめて、歌を覚えて、言葉のスランプにぶち当たって。
新しい出会いに胸を弾ませて、あなたがずっと心の奥で望んでいたこと。
―――「今」を生きています。
僕は確かに、そこに在った。
時間の答えはぜったいに、「答えの時」がこないとでてこない。
一生懸命、試行錯誤して時を紡いで、これで大丈夫と思ったけっかが、「答え」。
それをあの頃のあたしに、知っておいてほしかった。