都会

すこし後ろを振り返ってみようかな・・・。

私がこの町に来てからずいぶんと時がたった。
甘いようで苦いようなこの生活にもゆっくりと馴染んできたような気もする。
でも、心は一向に馴染まない
どれだけ時間をかけようとも馴染まない
田舎に気がかりなことがあるわけでもない、なにか別の思いだ。

寂しい心のまま人と出会い
人と恋に落ち、人と子を作る
これが一般的な女の人生
そのルーツから外れることなく私もそうなった。

この人と冬を越えて、夏を迎える。

私はこの町に来て、恋をして、子供を産んで。
気づけばもう、42歳だ
当たり前の日々を過ごし、当たり前のような暮らしをして生きてきた。

ふと私は気づいた、
ゆっくりと進んだこの人生が、思い返せば光のような速さだった事に
心が潰れそうなほど痛んだ
でも、やっと気づけたことがある
私の心が馴染まなかった本当の理由

私はこの年になってやっと心のそこから笑えるようになった
そして、全てを理解した私は泣いていた
あの人の遺影と、後20回ぐらいしか夏が来ないことに・・・。

都会

幸せでも不幸せでもいつかはきっと誰でも笑顔になれる。

都会

昔々の話

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-03-31

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