星座

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夜に鳴く蝉の声が、星の落ちる音に聞こえる。
夜に鳴く蝉の声に揺すられて、星は やっと落ちてくる。

それは触るのを憚られているから、直視しようとも心は遠ざかる。
ホタルを捕まえに来た子供たちだけが 近づいて拾うことができるのだ。

大人は人の目を見て笑顔であればいい。
わざわざ禁忌に構うほど、余裕はないから。
(そうやって子供を羨む気持ちを否定したくて、大人ははにかむ)

星の落ちる音は、やはり星の落ちる音。
星は禁忌
この世に生まれて、すぐに泣き出す。

不安定な成長と生存率を懸念されずに、この先の世界の変動など微塵もわからぬまま
始まりはいつも不確定。


「おやすみ」って、震えながら囁いてみた。そしたら「寝たら?」って返ってくる。
「寝たらキミが寂しくないから」って。

星が眠る。
何年眠り続けるのだろう。たった100年が待てないほど飽き性じゃない。
たとえ100万年眠っても、裏切りはしない。

星が生まれ落ちて、眠り始めて、何百年か経った。
薄っすら夢を離れて 生まれて初めて目が覚めた。
そのとき僕の寿命はもう、あと少しというところ。
燃え尽きるまでの針が迫るのを、体で感じる。

脆い祈りの輪に手をかけて、見えもしない何光年も先を見つめてく。
キミの人生がとても幸せでありますように、と願いながら。

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禁忌の星を、「僕」だけが見守り続ける。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-08-13

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