朝起きて爪が割れてることに気付く。

せっかく伸ばしてたのに。勿体無い。

なんて事を考えながら、起きてキッチンに向かってみる。


午前10時18分。


頭が重い。昨日はいつもより飲まなかったはず。いや、いつもより飲んだっけ?

髪はベタベタしていて、服は昨日のまま。

本当に酷いものだ。大の大人が、しかも女性が。部屋の中なんてさっきまで空き巣がいたかのように物がそこら中に散らかっており、服はぐちゃぐちゃのまま。勿論、片付けなどしていない。料理なんかろくにできず、カップラーメンの死骸が至る所にある。

たしか一昨日買ってきた食べかけのチョコがあるはず。

冷蔵庫の中から食べかけのチョコを出し、食べながらそこら辺に転がっていたバックを拾い上げ、中から携帯を出し、あ、と昨日彼氏と喧嘩した事をようやく思い出す。

たしかあっちから誘ってきて、2人で飲んだ後帰る途中に喧嘩してー、あーあの後どうなったんだっけ?うーん。思い出せん。

チョコを頬張りながらとりあえず彼氏に電話かけてみるか。酔ってて覚えてないし。私が悪かった時は謝ろーとまあ軽い気持ちで通話ボタンを押してみた。

割れた爪の間にチョコが挟まっている。

血が出てるみたい。あれ、デジャウ?

いよいよ酔いが覚めてきたようだ。

風呂場から何故が聞こえてくるダサイ着信音が、重い頭に鳴り響いた。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-08-10

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