16

気取り顔で振りかざした正義から
目をそらすように本を読む白髪頭に
ペットボトルを落としてやりたかった

もしこれでだれかが死んでいたら
それでもおまえは笑えるんだろうか

行き場のない衝動をおさえるために
爪を立ててみても怒りはおさまらなかった

だって、わたしのせいだった
つらいのもくるしいのもさみしいのもしあわせを見落とすのも全部
わたしのせいでしかなかった

ひかる君をあいしても
なにも変わらなかったみたいに
わたしはいつもなにもだれも
受け入れないで嘆いている

中吊り広告の立派すぎる詩を読んで
絶望をおやつにオレンジ味の天然水を飲んだ

頭の中で白髪頭をころして
呪いのことばを吐きながら
王子様を待っていた
ずっとずっとずっと待っている

ここから連れだしてくれるだれかを



1508010823

16

16

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-08-08

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted