二つの心

二つの心

2011年、10月、冬の気配が感じられ、肌寒さを感じスト-ブに火を入れようかと
迷ってる季節に、一人の女性と巡り合った。
出勤の際、この事務所の前を通り、いつも気になっていたのだと彼女は言った。

その頃、公一はFBに興味を持ち、登録をし記事を書き始めた頃だった。
以前は、ヤフーを使っていたが、それも消え、結局FBの流行に押されて消えて行ったのだろうが、時代の流れとはそういうもので、目新しいもの、より多くの条件を満たしたものが生き残れる時代でもある。

FBは、ブログ、HP、チャット、メ-ル、その全てを兼ね備え、使い方によて、その価値のあるソフトだと言っていい。
私の待ち望んでいたソフトであり、仕事にも、プライベ-トにも大いに役立つ媒体で気に入っていた。

ある日、FBで、浴衣を着た女性の写真に目が留まった。
着物を着こなす女性が少なくなり、古風な日本女性が少なくなった今、私にとっては着物を着ているだけで、古風な性格を持つ女性だと思ってしまう節があり、時々
外見に惑わされ、失敗することがあった。

思い込みとは恐いもので、自分の意識の中で出来上がってしまった感情は、心に残ってしまい、それに相反する言葉や行動が相手から出ると、それに反発してしまう。
思い込みの人格を自分の中で作り上げ、相手に対し・・「それは ちがうやろ!」、と言ってしまう悪い癖でもある。

FBのホ-ムにも、彼女は書き込みをし、友達の投稿にもよく反応していた。
彼女に、友達登録を出し、承諾してもらい、そこからドラマが始まることになる。

そもそも、FBの目的は、仕事と趣味を多くの人に見てもらい、自分の考えや
想いを発信すれば、共鳴してくれる人を探すには、一番手っ取り早く、その中から、仕事の世界、趣味の世界が、もっと広がればいいと考えていた。

松田恵、41歳、和歌山でデイサ-ビスの事業所で代表取締役として席を置き、順調に売り上げを伸ばし、決算期には純利益500万以上をだす、介護事業所
としては、優良企業だと言えた。

介護保険料により、支払われる割合は9割で、利用者負担率は1割のため
未収金が発生しにくく、踏み倒されても会社には大きなダメ-ジにはならない仕組みになっている。

彼女と出会い、付き合いだした頃、「私は 仕事を最優先にしています、そこは理解してください」・・と彼女は言った。

人とは、あくまでも動物の中に類し、別格の生き物ではなく、人間以外の生き物の中の動物に分類され、哺乳類の中に位置づけらる生き物であることは間違いない。

よって、進化の中での遺伝子は受け継ぎ、他の動物に備わっている欲望や
遺伝子に組み込まれた欲望は同じように備わっている。
その、最も大きいのが繁殖行為であり、遺伝子そのものが生き延びようとする
手段が性欲だと言える。

全ての生き物がその繁殖手段をもっており、その方法はそれぞれ生き物が、最も
確実に命を繋ぐ方法を考えている。

考え方によれば、植物や動物は、遺伝子という、生き物を操るエイリアンであって
夫々の生き物に姿を変え、生き残るために我々人間も操られているのではないか?
とまで、考えてしまう。

木の葉の擬態を持って生き残り、子孫を残そうとする動物。
生き物の中に寄生し、生き残ろうとするもの。
大人になって、交尾をすれば死んでしまう雄ネズミ。
これらは全て、生き残るためエイリアンが考えだした結果なのではないか?・・そう
考えれば、辻褄があってくる。

動物を進化させ、類人猿を生み出し、地球の気象条件が変わった事により
歩く事を覚えさせ、脳を進化させた。
脳を進化させ、動物の持っている遺伝子に組み込まれた情報を保存したまま
人間と言う動物まで進化させたのが、今の自分であり、他の動物を、欲望によって
死滅させているのも、人間なのだ。

地球の存在さえ危うくさせているのも、我々人間なであって、
このように、生き物の枠の中から物事を考えると、日常の中の出来事は
取るに足りない出来事だとも言え、なるようにしかならない!
そう、考えなければいいのかもしれない。

一喜一憂しなくていいじゃない!
遺伝子に乗っ取られているのだから!

二つの心

私の価値観は少し違っていた、仕事は確かに大事だし、仕事をする以上、自分の身の丈に合った仕事に出会え、日々仕事が苦にならず進められれば、幸せだと思っている。
しかし、仕事が全てではない!
どこか違う!・・・そう思いつつ、「それは素晴らしい!」・・とその時は、彼女にはそう答えた。

出会ってから、彼女と関係を持つまでは、そんなに時間がかからなかった。
本能的な響きもあったのだろうし、新鮮さもあった。
今まで、多くの女性との出会いがあり、本当に支えてくれた人もいた。
今ここで、仕事が出来、夢が叶ったのも、過去に心の支えがあったからだと言っていい。

日々ストレスは一切なく、優優と生きられるのも、彼女たちのお蔭だと思っている。
人生とは不思議なものだと振り返ってみたときに、そう感じる。
あの人と出会っていなければ、今はない。

あの人と別れが無かったら、今は存在しないだろうと。
全てがいい方向に繋がり、別れた原因は何にしても、腹立たしさも無く、恨むこともなく
今も、友達とっして関係は保っていられるのも、感謝する心があるからだと
自分ではそう思っている。

遊びの付き合いもあるだろう。
自分の中にもそれがあり、「人として」と言う価値観がしっかりしていれば、遊びで
付き合い、性を満たすだけの関係は否定しなければならないのだろうが、やはり
煩悩が一人歩きを始めるのだろうか、そこまで厳格な人間では無いと思い、また
その、価値観が自分の中に根を張るのを、阻止したいとさえ考えている。

自分の中に、あやふやさを残し、相手が真面目に向かって来れば、こちらも
真面目に向き合わなければいけないと、常には思っている。

彼女は、明るい性格の持ち主であり、投げる言葉にもよく響き、私に対する
意識の大きさは、こちらから打ったメッセ-ジにも反応し、その反応に
こちらの心も徐々にはっきりとしなければならないと思うのだった。

二つの心

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 成人向け
更新日
登録日
2015-08-05

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  1. 二つの心
  2. 2