私見 植物記

「昆虫記」、「動物記」とくれば当然「植物記」も書かねば…!!
という訳で書いてみました。
自分的には、意外と結構気に入ったカテゴリーになりました。
(^_^)v

無花果(イチジク)の話

盛夏 ――― 。
この季節になると、何処ともなくほんのりと甘いような、ハーブにも似た香りが漂ってくる。
私は現在10㎞近い職場迄の道のりを自転車通勤しているのだが、その道すがら、その香りが漂う場所が幾つかある。
その正体は無花果、そうイチジクである。
もうすぐ収穫期なので果実からだろうか、それともあの大きな葉っぱからだろうか…。実に何とも言えない良い香りである。

私はその香りもさる事乍ら、果実も大好物である。
まぁどちらかといえばマイナーで割と癖もあるので、好き嫌いが結構はっきり分かれる果物である。実際私の周りには共感者はほぼいないのが少々哀しい…。

で、実際どんな所が好きかと言うと、先ずはその味である。
“薄ら甘い”という言葉がぴったりな、ほんのりとした甘さが実に良い。
最近ではやたら果物に品種改良が施され、糖度許りを追求する風潮があるが、私的にはこの位の甘さが丁度良く実に心地好い。
そしてもう一つは、その食感。若い実は少々歯応えのある食感が楽しめ、完熟の実はクリームのような口の中で蕩ける食感が愉しめる。
亦、好みの違いはあろうが、中の種子のプチプチとした食感も実に楽しい。
私はこれを食す時、いつも心地好い恍惚感に襲われる。
尚、蛇足だが、我々が果実と思っている部分は実は花の一部(花托というのだそうだ)という事らしい。一応、念の為。

さて、無花果は皮が剥き辛いという話をよく耳にするが、茎の方から剥くと案外するりと剥ける。完熟した実は、このやり方でも結構剥き辛いが、これは致し方ない。
亦、冷やし過ぎも良くない。皮がより剥きにくくなるからだ。
やはり無花果は新鮮なものが一番!! もぎたてが最も理想だが、なるべく買って直ぐ食べるのが美味しさの秘訣だろう。

悲しいかな、無花果は足が早い。冷蔵庫に入れておいても、早いもので一日経つともう先っぽの部分が劣化している。やはり、前述の通り“なる早”で食べるのが基本である。
が、まぁ私などは、少々の劣化ならびくともしない。
先っぽに若干カビが生えた程度なら、その箇所のみを軽く削ぎ落として食べる。
無論他の箇所は味に全く変質は無く、私はこれ迄只の一度も腹痛など起こした事は無い。

“無花果は新鮮さが命!”と言っても過言ではない。
無類の無花果好きの私だが、ドライフルーツの無花果、あれは頂けない!!
味が凝縮されているのが、却って無花果の持つ悪い癖を前面に推し出している………
ように私は思う。
缶詰めの無花果もそうだ。今イチ美味しいとは思えない。
だが、最近例外を発見した。
お洒落なスイーツ・ショップ等で目にする「無花果のコンポート」なるものである。何度か食べた事があるが、これは絶品!! 無花果をシロップやリキュールに漬け込んだものだが、これがタルト生地に実に良く合う。
一度ご賞味戴きたいが、何やら季節の商品っぽいようなので、発見したら即ゲットしないと中々お目にかかれないケーキのようなのだ。
兎に角、一度食べたら病み付きになる味である。
尤も個人差はあるだろうが…。

季節と言えば、無花果は季節を感じさせてくれる数少ない果物の一つだ。
最近では農業技術の進歩で、嘗ては季節の風物詩だった野菜や果物が、年中スーパー等の店先に並んでいるのが当たり前のように見受けられる。西瓜などは、今や全く珍しくもない。
そんな中、季節の“旬”を味合わせてくれるものの一つが無花果なのである!!

日本では好みが両極端な無花果だが、意外と外国、とりわけ中東や西洋では“聖なる果実”として珍重されている。
“永遠のベストセラー”といわれる「聖書」の中では、神様が最も好む果物の一つとされ(もう一つは葡萄)、人類最初の男女とされるアダムとエヴァ(イヴ)が、羞恥心から最初に身に纏った物が無花果の葉だと言われている。
(確かにあの大きさなら、十分大事な所を隠せるかも!!)

まぁそんな下世話な余談はさておき、兎にも角にも私は無花果が大好きでなのある!!!
そしてもうすぐ、“彼等”に巡り合う季節がやって来る!!
通勤時のあの、そこはかとない爽やかな香りが、私にそれを思い出させてくれた。

私見 植物記

最後迄お読み頂き有難うございました。
これからも“植物”に纏わる様々な思い出話なんかを書き綴っていくつもりですので、宜しくお願いします。
m(__)m

私見 植物記

“植物”に纏わる、私の体験談等に基づいた独断と偏見による、私見的四方山話です。 少々ノリと思い付きで書いた感もあります。(笑) 尚、植物なので野菜や果物、菌類等も含み入れたいと思います。

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更新日
登録日
2015-08-03

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