好き。

普通の恋愛ものです。「普通」ですよ。

好き。

「さくら」
そう、私の名前を呼ぶ、あなたの声が忘れられないの。

「さくら」
2回目のデート、初めて名前を呼んでくれたね。
私も続けてあなたの名前を呼んで、見つめ合って、顔を赤く染めて笑ったね。

「さくら」
いつも、待ち合わせに遅れてくるあなた。
少し怒ったけど、実は小走りで来るあなたが好きだった。
そして、いつも、アイスクリームをおごってくれた。
私の好きないちご味。

「さくら」
花火大会の日。
絡まれていた私を「俺の彼女だから」と言って追い払ってくれた。
俺の彼女、その言葉で、不安も怖さも吹きとんだ。
花火が上がる瞬間のキス。
少しだけ、りんご飴の味がした。

「さくら」
最近、寝れなくて体調の悪い私を気遣ってくれたね。
大丈夫、と言ったけど、本当は傍にいて欲しかった。
「私は平気だから…」

「さくら」
泣きながら、また私の名前を呼ぶ。
もう、この世にはいない私を、悲しそうに、悔しそうに。
そうだよね。
だって、大丈夫だって言った日に死んじゃったんだもの。
ごめんね、嘘ついて。

「桜」
ああ、あの子とは違う呼び方。
彼女じゃない、幼なじみの私の名前を呼ぶ。
どうしてそんな顔をするの?
私があなたを殺めれば、大好きな「さくら」と一緒にいられるのに。
え?もちろん私も一緒に行くよ。
あなたの大好きな「さくら」になるために、あの子のことをもっと知らなくちゃいけないもの。
ずっと、ずーっと、あなたたちと一緒。
だから、ね?
行くよ?

「さくら」
そう、あの子を呼ぶ、あなたの声が忘れられないの。
いつか、「桜」を上書きできるように、今日も「さくら」と「あなた」の傍にいる。

好き。

「普通」ですよ。

小さな頃から、ドロドロ系のドラマを見てきた中3の私にとって、「普通」ですよ。(嘘です)

あ、ちゃんと次は純愛もの書きます!

「「普通」」ですからね!!

好き。

「普通」の恋愛ものです。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-07-30

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