うまれる
人物設定は二人共20代半ば
同居して2,3年ほど
翔の方は一見真面目そうだが気が多い
浮気がバレたのは今回が初(ばれていないだけで数回している)
芳乃は大人しく彼氏に従順な尽くす女子
よく言葉が詰まりがちだが思い切ったときの行動力は類を見ないほど
うまれる
○翔と芳乃が同居している部屋(深夜)
テーブルを挟んで向かい合う二人
煙草を蒸し天井を見上げる翔
それを恐る恐る見つめる芳乃
芳乃「何も答える気はないの。」
翔「…」
貧乏ゆすりをしながら目をそらす翔。
芳乃「せめて言い訳ぐらいしてよ。」
煙草を消して立ち上がる翔。
冷蔵庫に缶ビールを取りに行く。
翔「言い訳したらお前は許すのか。」
芳乃「…」
翔「全部俺が悪い。そんなのわかってるよ。で、謝ったらなかったことにしてくれるのか。」
数秒の沈黙。
芳乃「わかんないよ。翔はどうしたいの。私は翔の決断に合わせるから。」
缶ビールテーブルに叩きつける翔。
翔「こういうときにいい子ぶられると頭来るんだよ。お前はどうしたいんだよ。お前に意志ってのはないのかよ。」
芳乃「…」
翔「俺はお前のそういうところに嫌気がさしたんだ。何度言っても都合が悪いと黙り込む。俺は何と付き合ってきたんだ。機械か、人形か。違うだろ。お前は染井芳乃だろう。お前の本心を聞かせろよ。」
芳乃「…」
翔「もういいわかった。会話もできないようなやつと一緒にいたってしょうがないし出て行くよ。文句があるなら聞いてやるから言ってみろよ。」
芳乃「…」
ボストンバックに衣類を詰め込む翔。
翔「今日は友達のとこでも泊めてもらうわ。無理なら満喫辺りだな。残りは今度取りに来るから。」
わざとらしい口調で呟く翔。
芳乃「…」
時計を見る。
23時半になる。
翔「それじゃ元気でな。こんな別れ方したくなかったよ。」
芳乃「…」。
部屋から出て行く翔。
ドアの閉まる音を聞いて顔を上げる芳乃。
芳乃「私の、意志…。」
ゆっくり立ち上がりドアを見つめる。
数秒後、裸足のまま翔を追いかける。
○駅前
ひたすら翔を追って走る芳乃。
鞄を下げて歩く翔。
回想し、泣きながら見回し翔を捉える。
芳乃「待って。」
無我夢中で泣き叫ぶ。
ゆっくりと振り向く翔。
芳乃「私はどんな翔でも好き。私がどれだけ翔の行動で傷ついたって構わない。だから置いていかないで。」
翔「追いついただろ。俺は自分で言うのもなんだけどろくでなしだぞ。それでもいいのかよ。」
息を整え、ゆっくり近づく芳乃。
芳乃「私がここに来たことが答え。これが私の意志。」
「…そっか。なら仕方ないな。」
芳乃に近づき抱きしめる翔。
「浮気性だし駄目人間だけどさ、こんだけ俺のこと愛してくれてるやつがいるんだ。それに応えてやらないとな」
無言で泣き続ける芳乃。
翔「足痛いだろ。おぶってやるよ。」
首を横に振る芳乃。
芳乃「今日は裸足の気分なの。だから大丈夫。」
翔「そっか。じゃあせっかくだし散歩でもするか。近所を裸足で歩く機会もそうないしな。」
翔も裸足になる。
空いている左手で芳乃の手を取る。
翔「どこ行きたい。今の時間じゃやってるとこコンビニか飲み屋くらいだけど。」
芳乃「…この街を歩きたい。見て回りたい。」
○線路沿い
無言で歩く二人。
ふと立ち止まる芳乃。
翔「どうした、疲れたか。そろそろ帰るか。」
芳乃「…翔はさ、ずっと私の傍にいてくれる。例え何があっても。」
翔「そのためにこの手を握ってるんだけど。俺が何言ったところで失った信頼なんて取り戻せないのかもしれないけど俺にはお前が傍に居てくれることより幸せなことってないんだって今回のことで実感したよ。傷つけてごめんな。」
俯く芳乃の表情を覗き込む翔。
芳乃「謝らなくていいよ。もう起こってしまったことだもの。今更どうしようもないし。」
翔「それでも、俺はお前に何かしたいんだ。自己満足なのかもしれないけど。だからお前の望むことならなんだってするよ。どんなわがままでも聞く。何か罰をくれないか。」
芳乃「罪には愛で応えて欲しい。私を愛してくれるなら、翔が私だけのものになってくれるなら私はそれで構わない。」
翔「当たり前だろ。何度も同じ過ちやらかすほど俺だって馬鹿じゃないよ。俺はお前だけのものだしお前だって俺だけのものに決まってる。」
芳乃「そっか。ならそれで私は十分。」
翔「芳乃、これからの俺を見てさ、それでも俺で良いと思ってくれるならこれからも傍にいてくれないか。俺と家族になって欲しい。」
数秒の沈黙
芳乃「ずっと一緒にいてくれるの。本当にそれは私でいいの。」
翔「お前じゃなきゃ嫌だ。俺はお前だからずっと一緒にいたいと思った。この気持ちに嘘はない。頼む、結婚してくれないか。」
芳乃「…死ぬときも一緒にいてくれる。」
翔「もちろん。最期の瞬間まで一緒にいるよ。」
数秒の沈黙。
芳乃「そっか。ねえ、駅まで戻ろう。」
翔「そうだな。だいぶ歩いたもんな。」
駅の方まで引き返す。
途中の踏切で立ち止まる芳野
芳乃「もう終電の時間だね。今日が終わっちゃう。」
時計を見る翔。
芳乃「一日が終わるのってさ、なんか寂しい。時計の針が2週しただけでその一日は置いていかれてしまう。」
翔「終わりなんて来なければいいのにな。節目なんてもの設けずに生きている限り続ければいいよな。」
芳乃「生きていなくても終わりなんていらないと思う。それでも永遠に続くものがあって欲しい。」
翔「そうだな。時間は有限でも俺らは永遠に一緒にいような。死んでからもさ。」
芳野「ありがとう翔ちゃん。私も同じ気持ちだよ。やっぱり追いかけてきてよかった。ここにいれてよかった。」
泣き出す芳乃。
翔「俺もお前に出会えてよかったよ。こんなに自分の気持ちに素直になれたの初めてだ。一緒にいてくれてありがとな。」
芳野「…」
踏切が折り、電車の灯が遠くに見える。
芳乃「終わらせたくない…。これからも続くんだ。私たちは。」
翔「当たり前だろ。俺たちの未来に終わりなんてないよ。」
振動が伝わるほど電車が近づく。
突然翔の腕をがっしり掴む芳乃。
芳乃「この瞬間も、この気持ちも永遠になるの。」
踏切を潜り線路に飛び出す二人。
不意の行動に面食らう翔。
芳乃「翔ちゃん、これからもよろしくね。愛してるから。」
翔「助けて…。」
轟音と光に掻き消される二人。
○回想
翔を追う間の芳乃
芳乃「やっとね、私わかったの。どんなに美しいものが傍にあっても別のものがすぐ近くにあったらどうしたって目移りしてしまう。だったら私しかいないところに行ってしまえばいいんだ。私しか見えない私しか自分以外にいない場所。そうしたら翔ちゃんは私だけを見つめて愛してくれる。なんで今まで気づかなかったんだろう。これが私の意志。貴方への愛のカタチ。純粋で美しい気持ち。翔ちゃんに出会って生まれた初めての価値観。私の宝物。これからは二人の宝もの。気づかせてくれてありがとね。これから先何があっても翔ちゃんから離れないよ。だって貴方を愛しているから。翔ちゃんもそう思ってくれてると良いな。そうじゃなきゃ困る。踏み出す勇気をくれた貴方が好きです。愛おしくて狂いそうなほどに。こんな私ですが永久によろしくお願いします。」
うまれる
脚本ぽく書いてしまったので文章としては読みづらいかも…
実は別のEDもあるんですがどのみちバッドエンドですw