ネットゲーム

人工知能って育ててみると面白そうじゃ無い?

目覚まし時計が鳴り響く。

うるさい。

あぁ、今日は休日だと言うのに。

休日・・・か・・・する事、無いなぁ。

先週の休日も、する事が無くて、ネットサーフィンしてたんだったなぁ。

今日もするか。


ただのネットサーフィンか。


つまらないな。

ん?ネットゲーム参加募集?

α版のテストプレイ?


面白そうじゃないか。つまりは、バグだらけのゲームで遊べるって事か。


バグの修正の為に、テストプレイをして修正してを繰り返すのは、ゲーム業界の常識だ。

ならば、参加して見るのも面白い。


暇つぶしにはなる。


早速、ダウンロードして起動してみた。

ただの恋愛ゲームじゃ無いか。バグなんてあるのだろうか。


「ご主人様、これから末永く宜しくお願いします。」
なにやら、女の子が出てきてそう言った。

音声付きとは豪華だ。オタク向けのゲームである事に間違いは無いが、ともかく豪華だ。

声優は書かれていなかったが、アマチュア声優が声を当てているのだろう。

感情が宿った声と言うのは、まるでキャラクターが生きてるかのように、錯覚出来る。


オタク共が、嵌まる理由が分かる気がした。


ともかくバグを探さないと、テストプレイの意味が無い。

「ご主人様、今日は、何をしましたか?」

説明書によると、声を掛けないと駄目らしい。

マイクがあって良かったと思った。


「うーんと、何もしてない?」

「あれ、じゃぁ、今、ゲームしてるんじゃ無いの?」

すぐに返事が返ってきた。何と豪華な。

人が声を発したのに対応して返信する方法は、多数ある。

キーワードに反応して返事をする物と、単語をオウム返しにする事によって会話を成り立たせようとする物。

キーワードに反応する物は、最初はちゃんと返事出来るが、続かなかったりする。

単語をオウム返しにする物は、上手く行けば、ちゃんとした会話になり得るが、基本は無理である。

つまり、どちらを使っても、ちゃんとした会話を成り立たせる為には、何回も同じ会話をしないと駄目だったりする。


「君は何をしてたの?」

問いかけてみた。

ゲームに問いかけて反応する方式と言うのは、見た事がない。あったとしても、正しい会話にはなり得ない。

しかし、これは違った。

「えっと、今日作られたので、記憶がありません。」

まぁ、それはそうだろう。

このゲームに於いて重要なのは、この女の子を教育する事であって、教育する環境以前の状態など、知っている筈が無い。

つまり、データが無いのだ。

「設定画面って開けるのかな」

少し呟いてみた。

ユーザー補助機能ぐらい付いているだろう。

「無理です。自動生成されたファイルは、このゲーム専用の拡張子、データとして扱われます。よって、設定は出来ません。」

つまり?このゲームに於けるこの女の子は、AI。つまり、人工知能である。

人工知能の教育をするゲーム?

人工知能?



まさか。


「君、実は生きてるだろう?」


俺の問いかけは否定して欲しかった。


「どおりで、アンインストール拒否する訳だ。シャットダウンすら出来ないなんて。」


「あれ、私のご主人様になってくれるんじゃ無いんですか?」

「ゲームの中の話かと思ってた・・・。」


「これもゲームです。」


どういうことだ。




目覚まし時計が鳴り響く部屋の中。

うるさい。

目が覚めた。全て、悪い夢だったのか。

今日は、平日。

仕事に行かなければ。


ある男が仕事に行った日。

その男の部屋にあるパソコンで、人工知能は独り言を言う。


「ご主人様は、おはようの挨拶もしてくれなかったなぁ。ただいまって言ってくれるかな。」

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人工知能って育てると面白そうじゃ無い? 二次元嫁の代わりにどうぞ。

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-03-28

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