Truth of war another story
2018年二月十四日、悲劇のバレンタインの一つのストーリー。
イェーイ・トロールの襲撃。
その出来事には、まだ続きがあった。-------------------------------
「うぐ・・・はっ!?ここは?」
「ここは医務室だよ、先任伍長。いや、CIAのオフィサー君。」
アンタレス准将がコーヒーをすすりながら言った。
「っ!?な、何をいってらっしゃるんです?私はただの先任伍長で・・・」
「まあ落ち着け。CIAから情報をリークしてもらってるんだ。」
「・・・しかしなぜCIAだと?」
「失礼、勝手に懐をまさぐらせていただいてね。」
その手にはCIAの証明証が握られていた。
「君に返そう。・・・おっと、まだ動かないほうがいい。わき腹に一発ぶち込まれてるんだ。まず状況の説明から入ろう。」
「あれは君が部屋に入ろうとシステムにハックを仕掛けた時だ。その時から君を監視していた。」
「・・・気づいていらっしゃったんですか。」
「ああ、いい腕だ。しかし不用意にハックを仕掛けたのはよくなかったな。まあいい。」
「そして侵入したことを確認してから君のところへ向かった。そしたら君が銃弾をぶち込まれてたわけだ。」
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回想
「おいおい、この基地に日本人の軍人は派遣されてないはずだが?」
「!?」
アンタレス准将が問いかけると日本人は咄嗟に銃口を向ける。
アンタレス准将はそれをいち早く察知し、拳銃を蹴り飛ばす。
「どうした?判断力がなってないぞ。さあ、かかってこい!」
「・・・チッ」
日本の軍人は低く舌を鳴らした。
「・・・大日本帝国万歳!!」
そう叫びながら隠し持っていたハンドガンを取り出し、自分の頭を撃ち抜いた。
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「そして医療兵と参謀部を呼んで今に至るわけだ。」
「・・・・結局その軍人は何がしたかったんでしょう?」
「さあな。多分君の見ていた情報は重要なものだったんだろう。」
「でも、日本は反モスクワ派の国でしょう?なぜ秘密裏に行う必要があるんです?」
「・・・はっきりとしたことは言えないが私にはわかる。きっと世界はもっと複雑で薄汚い欲望が絡んだ大戦に陥るだろう。・・・私にはもう止められない。それになぜここにそんな情報があったのかも気になる。」
「・・・・・」
「とにかくここを離れよう。君はマークされてるだろう。近くの海岸沿いにある民間空港に輸送機がチャーターして・・・」
ズドドドドン!!とその言葉を遮るように連続して爆発音が鳴り響いた。
「何事だ!?」
アンタレス准将が無線で問う。
『国籍不明の攻撃ヘリに襲撃されました!!それに輸送ヘリから多数の敵兵が!交戦していますが敵が多すぎます!!』
「くそ・・・しょうがない、脱出するぞ!」
「え!?ど、どうやってです!?」
「なんとか空港までたどり着いたらいいだろ!チャーター機に護衛ぐらいつけてる!」
「むちゃくちゃですよ!!絶対たどり着くまでに襲撃されます!!」
「大丈夫だ・・・隠れろ!!」
鉄製の棚の後ろに隠れた瞬間、ロケット弾が飛来し、壁に大穴を作った。
その穴からライフル弾が撃ち込まれる。
「チッ!もう強襲してきやがったか!」
すかさずハンドガンを取り出し、発砲されたと思われる場所に2,3発撃ち込む。
イェーイは目視していない敵に当たるのかという疑問の念に駆られていたが、すぐに聞こえてきた悲鳴を聞き、その考えは消えた。
「よし、まず武器と移動手段を探すぞ!」
遮蔽物から素早く移動し、外に出ると、ハンドガンで撃ち抜いた敵兵の死体が転がっていた。
「装備はAKか・・・モスクワの一派か?」
分析をしながら装備を奪う。
「君はこのハンドガンを使ってくれ。護身用にはなるだろう。」
「護身用って、准将はそのAKで?」
「そうだ。弾は敵を倒して奪えばいいだろ?よし、移動手段を探そう。」
「待ってください!戦闘ヘリがいるんですよ!?無誘導のロケット弾はよけれても誘導ミサイルを撃たれたらどうするんです!?」
「・・・ミサイルか!よし、高速ボートを使おう!操縦位できるだろ?」
「人の話聞いてたんですか!?ボート程度じゃ確実に沈められますよ!!」
「いいから行くぞ!」
イェーイの反対を振り切り、ボートがとめてあるドッグへ移動する。
国連の兵に引きつけられている敵兵をうまくかたずけながら、歩を進める。
移動中准将は何か連絡を取っていたが、聞き取れなかった。
幸いヘリは警備の多い地区へ向かっており、スムーズに進行できた。
無事ドッグにたどり着くと、すぐにボートに飛び乗った。
「よし、場所はこのマップを見て把握しろ。最短コースで飛ばせ!」
「どうなっても知りませんよ!?」
イェーイは自暴自棄にでもなったかのようにエンジンをフルスロットルに入れ、操縦する。
「よーし、指示したら思いっきり曲がるんだ!いいな?」
「わかりましたよ!!」
敵から連絡が回ったのかヘリが飛来する。
「ちょっと!?これヘリの音じゃないんですか!?」
「気にするな!運転に集中するんだ!」
ヘリから機関銃が撃たれる。
「避けろ!!」
咄嗟のところで回避し、航路を進む。
しばらく避けていると、銃撃が止んだ。
「ミサイルの照準を合わせているな。」
「ちょ、ちょっと!!誘導ミサイルなんてよけれないですよ!!」
「ふ・・・よく見とけ!ベテランの腕を見せてやるよ!」
ミサイルが発射されると同時にアンタレス准将がAKの弾を撃ち込む。
イェーイは圧巻した。後方で爆音が鳴り響いた。
准将はミサイルに弾を命中させ、その爆風でヘリを落としたのだ。
「誘導ミサイルはこっちに飛んできているんだ。あとは計算と運で撃ち落とすぐらいできるさ。」
イェーイは文句を言おうとしたが、口に出すのはやめた。
無茶な作戦だが、すでにそれを成功させていた准将に言える文句はなかった。
「よし、空港は目の前だ!」
そういったとき、イェーイは何かが近づいてきているのがわかった。
「あれは・・・!?ヘリだ!もう一機いたんですよ!!」
そう言うと、この危機的状況にも関わらず、准将はにやりと笑った。
「あの滑走路の手前の崖の傾斜が少ないところわかるか?そこで思いっきり空港に向かってジャンプするんだ。」
「無理です!そんなことしたら、着地した後仕留められるのが落ちですよ!」
「いいからやれ!」
イェーイはしぶしぶながら、しかし期待を込めて従った。
また何とかしてくれると思ったからだ。
「しっかり捕まっとけよ!」
ボートが弧を描きながら飛ぶ。
丁度弧の頂点を通り過ぎた時だった。
ボートのすぐ頭上を何かが通り過ぎた。
今度はそれがなにかすぐ理解できた。
ロケット弾だ。
ロケット弾はまっすぐヘリに突き刺さった。爆風でボートが煽られ、逆さに落下しそうになるが、間一髪のところで免れた。
「私は次の戦場へ向かわなければならない。君は合衆国のセーフハウスで待っていてくれ。」
「また・・・お会いできますか?」
「できるさ、そう遠くないうちに。・・・君には危ない橋を渡ってもらわなくてはならない。」
「招致しています。それを覚悟してCIAに入ったんですから。それに・・・もうすこしあなたの人生を見届けたくなりました。」
「ふ、また会おう。」
そういうと准将はどこかへ去って行った。
合衆国への飛行機の中、謎の増援部隊によって基地は救われたという報告を聞いた。
アンタレス准将。その身分とは裏腹に謎も多い人物。彼の暗躍は今後の世界にどういった影響を及ぼすのか?それは限られた人物のみが知ることとなる戦争の真実。
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Truth of war another story…西暦2018年二月十四日「イェーイ救出」
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