好きならば-4-
恋ってこんなのにも難しいものなんだって思い知った。
-誤解- side natsuho
あの日は、文化祭前日ということで実行委員と他数名で最終チェックをすることになっていた。
私は運悪く、沙耶が実行委員になったものだから一緒にチェックをすることになっていた。
「あれ?蓮田も手伝い??」
ふと声をかけてきたのは、同じクラスの結城 昴。高2には見えないその大人っぽさと、整った顔立ちが人気の秘訣だ。
「ぁ..うん!結城くんも?」「うん」「そっかぁ、頑張ろうねっ!」
`頑張ろう`その意思を顔に出そうとして自然と笑みがこぼれた気がする。
side subaru
反則だろと思った。自分に向けての笑顔が可愛すぎて...
「おう」なんてかっこつけて返事をしてしまった。
今日このまま少しの間だけでも蓮田といれるのが幸せだなぁ...なんて考えてたら急に今井が声をかけてきた。
「結城- 夏帆狙っても落とせないよ-!この子ちょ-かっこいい彼氏いるから!」「ちょ...!沙耶!??」
夏帆に沙耶..名前で呼び合ってるということは仲がいいんだろう。
「ふぅん。ま、狙ってねぇけど」いや、嘘。本当は狙ってます..すみません。
「へぇ...」と今井が言った。ニヤリと弧を描くようにつり上がったこの表情...幼児にやったら泣かれるな、必ず。
「沙耶、顔怖いよ。せ-っかくの奇麗な顔が台無しっ♪」「あはは、それはどうも♪」
どこが奇麗な顔だよ。360°どっからどう見ても奇麗じゃねぇ!!
「結城-!御前先行くとかひどくね!?」と笑いながら隣に並ぶ、天野。別に御前が遅いだけだからひどくないだろ。
「ねぇ、最終チェックってそこら辺のファミレスでいい?」と素っ気なく天野に聞く今井。
「あぁ..いんじゃね?学校でやるより気が楽-」「んじゃファミレスで!」
そんな会話をしながら、校門に一歩一歩近ずく。下校時間のせいかやけに賑やかな校門だった。
その校門を出ようとした時...
「孝悠先輩?」驚いたような、何処か嬉しそうな蓮田の声が耳に入った。
「な...何でいるの?」「メアドもケ-番も知らねぇから連絡とれないし..だから会いにきたってわけですよ」
「ねぇ、俺..分かったよ」「何が?」「愛がないってのあれ、違うかもしれない」「ぇ..?どういうこと...?」
長くなりそうな話だったので今井の提案で、蓮田より一足先にファミレスに行くことになった。後で今井が蓮田にメールすると言っていた。
その後の会話は全く知らない。
だから、この後、蓮田の瞳が少し潤んでいたことや、首筋に赤いあざがあることに気がついても
それが何の理由でどんなことがあったかなんて気がつくこともなかった。
To be continued
好きならば-4-