指先で紡ぐぼくらの・・・ 【あとがき小話集】
※指先で紡ぐぼくらの・・・の【本編】 【スピンオフ】 【番外編】の裏話・裏設定
になりますので、ネタバレ要素あります。
【本編】 指先で紡ぐぼくらの・・・
もし、相手が自分だと気付かずに、自分への想いをありのままに語り出したら
どうなってしまうんだろう・・・ そこから始まったお話です。
ハヤトとミノリ、ふたりのキーワードは”はんぶんこ ”
毎夜のチャットで、嬉しいことも哀しいことも互い分け合ってはんぶんこにします。
本音を隠し決して泣き言を言わないハヤトと、自分に自信がなく人の顔色を伺うミノリ。
このふたりが指先で ”本音 ”や ”偽り ”や ”伝えられない想い ”を紡ぎ、
泣いて笑って、強くなってゆく様を見守りたいと思って書きました。
ハヤトの告白シーンを目撃したミノリが、鯛焼きを10個ヤケ食いしますが
ミノリはそれほど鯛焼きが好きではありません。 ハヤトが鯛焼き好きだから
自分も好きになりたくて・・・程度です。 だから10個はキツかったはず。
ハヤトは毎昼パンを食べていますが、いつもメロンパンと焼きそばパン、そして
ブラック缶コーヒーです。 本当は甘~い菓子パンと激甘ミルクコーヒーがいいのですが
カッコ悪いからと我慢している模様。 ブラックコーヒーはツラいらしいです。
中学時代、不登校になったミノリに『ごーほい』と言って励ました担任教師は
よっし~部長( ”君の見つめるその先に ”SB同好会ヨシナガ部長)です。
大学卒業後、中学校教師になり初めて担任をもった中の生徒のひとりがミノリでした。
学校祭実行委員になり、じゃんけんで負けてジュースを買いに行ったハヤトとミノリ
ですが、財布を取りに教室に戻ってきます。 その時、実はやたらとタケルがニヒヒ。と
ほくそ笑んでいました。 タケルはハヤトが自販機に向かう際にしっかり財布を尻ポケットに
入れているのを目撃していました。 誰よりも早い段階でハヤトの気持ちに気付いていた
タケルはミノリにメアド教えようとしたり、帰り道ふたりにしようとしたりしていたのです。
おまけに、タケルがミノリにメアド教えてた最中にかかってきた電話。 アレ、実は
ハヤトからでした。 振り返って遠目にタケルとミノリを見た時のふたりの仲良さげな
空気に居ても立っても居られなくなり・・・まぁ、予想通り電話したはいいがシドロモドロ
タケルは半笑いで『?』な感じでした。
そんなタケルですが、スピンオフ1,2にあるようにハヤト達よりも先にナナと付合いはじめます。
でもまだ内緒にしていたので敢えて人前では『ナナ』ではなく苗字で呼んでいました。
そうそう、学校祭本番ですが。 前日に ”急接近事件 ”があったため、ふたりは
意識しすぎて殆ど喋ることも目を合わせることも出来ず・・・ まぁ、あの現場を
最凶ハルカに目撃され執拗にハヤトは引っ付かれていたというのもありますが。
大晦日の夜。 ミノリから出汁巻き玉子を食べに来ないか誘われますが、当たり前に
行くことは出来ないハヤト。 あの翌日、あまりに出汁巻き食べたくなっちゃって
ひとりで買いに出てます。 元旦に出汁巻きと鯛焼き買って食べてました。
付き合い始めてから下の名前で呼び合うふたりですが、あのチャットのアカウントは
消さずに残してあります。 たまにチャットもしているようです。 電話のが多いですが。
そして、ハヤトはミノリとのデートのために、毎日の3千円を少しずつ節約してデート代を
貯めています。番外編1のスケートデートであんまん買う際にも、ミノリに財布を放ってました。
とは言っても、実は地味なハヤト。あんまりお金使わないので結構貯まってます。
ミノリが夢だと語った ”花火大会 ”を絶対に実現させようと思っていたハヤト。
『言っちゃダメなんだろうけど、やっぱ。 ・・・言っちゃうわ。』 と
『・・・すっげぇ、可愛い。』 ってキスします。 あれ?キスは設定に入ってないのに。笑
本編最終話で ”グローブ ”の名前の意味が判明します。
このお話考えたはじめた頃にHNはどうしようか迷って、”**LOVE ”にしたいと考え
思い付いたのが ”GLOVE ”でした。 結果、ハヤトの苗字は ”G ”で始まるゴトウに
なったという経緯があります。 ちなみに、グローブの意味に気付かれている事を
ミノリはいまだに知りません。笑
【スピンオフ1】 ~ じゃんけん&ダッシュ ~
【スピンオフ2】 ~ もうイッコと、もうイッコのたいせつなこと ~
本編が終わり、スピンオフを書こうと思った際、”指つむ ”は極端に登場人物が少ないので
書くとしてもタケルとナナしかいなくて、さてどうしたもんかと思ったのですが。
このふたり、いい意味で気の抜けたお気楽な子達なので、書いてみると楽しくて楽しくて
大好きになったふたりです。
このふたりのテーマは ”笑う ”
たかがじゃんけんでこんなにも笑い合えるか、と。 そんな年頃って可愛いなぁ~と思いました。
ちなみに、タケルは姉がいる甘ったれ弟気質で、ナナは弟がいる姉気質。
デコとボコで相性はバッチリです。
ハヤト達をパシリに使い、”ハヤト・ミノリデート大作戦 ”考案しますが、これだって
ただのテキトーな暇つぶしです。 でも結果、ハヤト達このデート行ってますので結果オーライ?笑
ジュース買いにダッシュした時、靴を履きかえるの面倒で内履きのままで走りました。
実はタケルは内履きの踵を踏んずけて、いつも擦って歩くので、いざ走ろうと思っても
靴がいうことを聞かず、イマイチ早くは走れませんでした。 なので、ナナとの
デートでバスケ対決時には靴はバッチリ!バスケ経験もありなので、カッコ良く決めて
ナナに勝とうと思っていたのに・・・ ナナはボール持った途端、嬉しくてはしゃいで
スキップしながらドリブルしたり、わざと左手でドリブルしたりしてます。
それはただおどけていただけで、利き手の右手を使っていなかったから少しぎこちなく
見えただけのこと。 ナナ、小学生のときジュニアチームでキャプテンですから。
ナナと付き合えることに喜びテンションMAXのタケルは、レイアップシュートを
華麗に決めてカッコいいトコ見せようとしますが、全シュートはずすという逆に奇跡を
おこします。 ダサすぎる・・・ でもナナはそうゆうタケルが好きなんだよ。
君はそのまま、ダサいままで充分魅力的だから大丈夫。笑
付き合うにあたっての、大切なこと。 イッコは ”手をつなぐ ”、もうイッコは
”下の名前で呼び合う ”でした。 微笑ましいカップルだな~と目を細めます。
【番外編1】 ~ ミノリのヒーロー ハヤトマン ~
タケル・ナナ考案のスケートデートに行きますが、意外な形で ”ハヤトマン ”の素性が
バレます。THEビギナー@ハヤトマン・・・ 逆にミノリは子供の頃スケート教室に
通っていた経験者でした。
大作戦にあった通り、ちゃんとスカート履かないで来るあたり、ミノリさん生真面目。
リンク中央で床ドンします。 目立ってたでしょうね~、日曜の昼間でいっぱい人いただろうに。
休憩の際、あんまんに缶しるこって、ハヤトさん・・・ どんだけ・・・。
ポケットに手を入れてつなぎあう定番スタイル。 このふたりは、そんなド定番が似合う
ふたりにしたかった。 ふむふむ、微笑ましい~
ハヤトはいまだに、タケルと仲良さそうにしてたミノリの後ろ姿を根に持っています。
結構ネチっこい? 大丈夫だよ、ミノリのヒーローはハヤトマンだけだからね。笑
【番外編2】 ~ ふたりで、大晦日に ~
ハヤト・ミノリが大晦日にふたりなのではなく。 ハヤトと母サキのお話です。
この母子の関係を少しでも修復してほしいと願っていました。
スケートデートの際、『ハヤトん家に遊びに行くのは誰もいないからキンチョーする』
と言ってたミノリ。 あれから数日後の話です。なので、部屋には上がらないつもりで
来ました。 でも、ハヤトにしてみたら会えて嬉しいし、ちょっとでも一緒にいたいよね。
ふたりの玄関先でのすったもんだが可笑しくて・・・
母サキは仕事の合間をぬって自宅に戻りました。 やはり息子が気になっていたのです。
去年はひとりぼっちにさせちゃってるし。 そしたら、あーぁた。 目に入ったのは
息子のカノジョ・・・ 心臓飛び出そうに驚きます。それはハヤト・ミノリも然り。
母サキはミノリと買い物に出る際、ハヤトに『クール便が届く』と言って留守番させますが
実はアレ、嘘です。 ミノリとふたりで出る為に咄嗟に嘘つきました。
母サキの”お嫁さんはミノリがいい ”発言に、ハヤトからは”将来ケッコンする ”宣言
が飛び出します。 ちょっと涙ぐむサキ。 嬉しい反面、寂しさもあったようです。
お正月に鯛焼き食べながらお茶を飲むふたり・・・ ホッとしました。
【番外編 最終話】 ~ 小指となりの、約束をする約束 ~
3年越しのバレンタインのチョコレートを渡すお話です。
互いの溢れる想いを形に出来た、2月14日の夕暮れの話。
ミノリは3年分のチョコを渡しますが、中身は勿論全部違います。
高1:手作りトリュフ。
高2:手作りザッハトルテ。
そして、高3:手作り鯛焼き(INチョコクリーム)
家に帰って包み開けて、ハヤト笑ってました。 嬉しくて記念に何枚も写メ撮ってました。笑
ハヤトからミノリへ渡したペアキーホルダー。
ポジショニングから言って、手の平で包み込むのがミノリで、包まれるのがハヤトな気も
するのですが、鍵につける時『俺、ハートだと、ちょっと・・・。』とハヤトが恥ずかしがり
ハヤトが手の平、ミノリがハートを各々持ちました。 甘党をひた隠しにしたり、なにを
そんなにカッコつけているのでしょうか、ハヤトさんは。
後日、コンノ家に遊びに行ったハヤト。
その時の小話を、以下。チラリご紹介します。
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指先で紡ぐぼくらの・・・ 【おまけ】 ~ 大事なのは、愛と勇気なんだ!! ~
『おおおおおお邪魔します・・・。』
はじめて訪ねたミノリの自宅。
気怠さが出ないよう、しっかりアイロンをかけたチノパンを履き、ボタンダウンの白シャツに
トリコロールラインのカーディガンを羽織った、爽やか少年スタイルで玄関先に佇むハヤト。
その表情は強張るだけ強張り、すでにその目は潤んでいた。
『ねぇ・・・ダイジョーブ?』 ミノリがクスクス笑いながら覗き込む。
『・・・・・・ダ・・・ダメかも・・・。』
蚊の鳴くようなハヤトの声は、むしろ、蚊よりも小さく心細げだった。
前日に、デパートに買い物に出ていたハヤト。
勿論、ミノリと一緒だった。
コンノ家への手土産を買いたいが、なにを持って行ったらいいのかサッパリ分からず
ミノリはミノリで『そんなの要らないよ。』 と言うけれど、やはりそうはいかない。
『手土産のひとつも持参しない』などと思われたら、将来、”ご挨拶 ”の際に影響が
出るやもしれぬ。 半ばケンカ腰で『いいから買うのっ!』 とミノリを連れ出していた。
デパ地下でふたり、手をつないでウロウロ徘徊する。
ハヤトの目は真剣そのもので、売り子から差し出される試食のお菓子を全て味わって吟味し
納得顔で頷いたり、眉間にシワを寄せ首を傾げたり。
ミノリが笑って言った。
『ハヤト・・・ 暑いんじゃない? 手ぇ離そうか?』
イッパイイッパイなハヤト。 ハンパない手汗にミノリが堪え切れずに大笑いした。
コンノ家のリビングテーブルに、ハヤト・ミノリ、そしてミノリの母親が座る。
ミノリは母親似のようだ。 穏やかな母の雰囲気に、少しだけ緊張がほぐれる。
前日デパートで買ったゼリーの詰合せをしずしずと差し出すと、ミノリの母は嬉しそうに
目を細めてお礼を言った。
(ミノリも、こんな感じになるのかぁ・・・。)
ハヤトは、礼儀正しく膝に置く手に、少しだけ照れくさそうに目を落とした。
3人で和やかに会話をし、笑い声も響き、いい感じではじめての来訪は進んでいた。
その時、玄関のドアチャイムがリビングに響き、ミノリがイスから立ち上がって柱の
ドアモニターを覗くと、目を見開いて固まった。
『ん? ミノリ、誰・・・?』 母の声に、ミノリがハヤトに一瞬目をやり、
『・・・お父さん・・・。』
ガシャンッ!!!
その一言にハヤトがあからさまに動揺をして、飛び上がり、テーブルの上のお茶が
引っくり返って零れた。
一気に血の気は引き、背筋が寒い。 急に冷房を付けられたのかとエアコンの
設定温度を確認したくなるほどだった。
『あら、お父さん。随分ゴルフ早く終わったのねぇ~』 呑気なミノリ母の声。
チラリ、自宅リビングにいる見知らぬ少年に目を遣り、『あぁ。』 と不機嫌そうに返す父。
ミノリが慌ててハヤトを紹介した。
『ゴトウ ハヤト君・・・。 で、こっちがウチのお父さん。』
慌てて立ち上がったハヤト。パニクりすぎて、イスを引く前に立ち上がったものだから
テーブルに激しくぶつかり、再びお茶の湯呑が倒れて零れた。
『ごごごごゴトウ・・・です。 おおおおおおおおおお邪魔して、ます・・・。』
涙目になって90°上半身を倒し頭を下げ挨拶をする大袈裟な少年を、父は一瞥すると
手に持っていた袋を母に渡した。
『あらっ!』 袋の中身に母が目を細めて微笑み、ミノリを手招きしてそれを見せる。
ガッチガチに緊張して固まるハヤトへ、父が低く唸るように言った。
『・・・好きだって聞いてるが。』
こんな唐突にミノリとのことを突っ込まれるとは思っていなかったハヤト。
まだそれについて了承を貰う心の準備も、その前に父親と対峙する準備も、なにも出来て
いない完全なる丸腰だっていうのに。
『・・・好きなんだろ・・・?』
続けて問い掛けられた言葉に、ハヤトがゴクリ。 息を呑んで真っ直ぐ父を見た。
『・・・好きです。 ミノリさんのことが大好きです。』
(い・・・言ってやったぜ・・・。)
この、達成感たるや。
まさか今日ラスボスと闘うことになるなんて思ってもいなかったけれど、勇気を出せば
丸腰でだって互角に闘える。 大事なのは、愛と勇気なんだ!!
満足気なハヤトに、
『いや・・・あの・・・・鯛焼き、 好きだって聞いたんだが・・・。』
母が、袋からお皿にうつして持ってきた鯛焼きが目に入る。
父はハヤトが鯛焼き好きだと小耳にはさみ、わざわざ買って帰ったのだった。
気絶しそうな、ハヤト。
(・・・・・死 ぬ・・・・・・・・・・・・・。)
母は大笑いをし、父は微妙な表情で俯き、ミノリはハヤトが零したお茶を布巾で拭き
ながら真っ赤になって目を見開き固まっていた。
『まぁ、取り敢えず。
その気持ちはありがたく受け取って・・・ さぁ、食べましょ、鯛焼き。』
4人、テーブルにつき、この上なくぎこちない時間が流れた。
鯛焼きを咀嚼する音だけが、静まり返ったリビングに響き渡る。
すると、突然。
父が大笑いした。 それにつられて母も、再び大笑い。
ハヤトまでが恥ずかしさMAXで可笑しなテンションになり、笑った。
そんな様子を、ミノリが俯いて微笑んでいた。
テーブルの下でこっそりにぎる手と手。
ハヤトの尋常ではない手汗を愛しくさえ思い、ミノリはぎゅっと握り返した。
そっとハヤトを見つめるミノリ。
その顔は真っ赤になって、涙目になって、必死感が溢れている。
(わたしのために、こんなに頑張ってくれてる・・・)
俯いていたミノリがまっすぐ顔を上げ、両親に宣言した。
『将来、ハヤトとケッコンするから。 よろしくね。』
言い切ったミノリが、堂々と胸を張り眩しいほどの笑顔で笑った。
【小話 おわり】
長い本編と、それに続く番外編・スピンオフ。
お付き合い頂いてありがとうございました。
前作の ”君の見つめるその先にシリーズ ”から読んで頂いている方、
この ”指先で紡ぐぼくらの・・・ ”が初めてという方、どの方々にも
ただただ感謝の一言です。
ド素人のカキモノですが、ほんの少しでも暇つぶしになればと思います。
多分に拙い部分、下手くそな部分、お見苦しい点多々あるかとは思いますが
これからもチマチマとしたためていこうと思っておりますので、宜しくお願い致します。
これで【指先で紡ぐぼくらの・・・ シリーズ】は完了です。
読んでくださった皆様に、心からの5文字を。。。
ひなも
指先で紡ぐぼくらの・・・ 【あとがき小話集】