朝顔と母
梅雨の明けたてのまだ湿り気の残る午後。
あなたは何かに怒っている。
私は何だかわからないあなたの怒りにまた怒っている。
窓を開け放ち北から南へ風を通す。
私は部屋を片付け、細々とした毎日の家事をすます。
あなたは怒りを忘れ、テレビに没頭している。
私とあなたの2人の世界。私とあなたの2人の毎日。
逃げ場がどこにもないような。
でもここが居場所と思えるような。
心がザワザワするような。
でもなんだかホッとするような。
あなたに出逢ってからというもの、私の中にはつねに波打つ気持ちが静まらない。
穏やかで深い静かな海のふりをして私はあなたと日々を過ごす。
あなたが午睡にまどろむと、ようやく私の波が少し穏やかになる。
あなたのすこやかな寝息を感じながら、夕飯の献立を考える。
あなたの我が儘に振り回され、あなたにどれだけ辛くあたられようと、あなたの寝顔を見ていると、逆にじぶんのいたらなさにため息が出てしまう。
どうしたらあなたを幸せに出来るかしら。
どうしたらあなたを上手に愛せるのかしら。
どうしたらあなたと一緒にいきられるのかしら。
深い静かな海の気持ちにまたさざなみが立つ。
あなたは私の可愛い子。
永遠を誓った尊い子。
毎日通り過ぎるあなたとの思い出。
どうかどうか、今の気持ちを長くとどめていられますように。
私の海の深いところに。
朝顔と母