朝顔と母

梅雨の明けたてのまだ湿り気の残る午後。
あなたは何かに怒っている。
私は何だかわからないあなたの怒りにまた怒っている。
窓を開け放ち北から南へ風を通す。
私は部屋を片付け、細々とした毎日の家事をすます。
あなたは怒りを忘れ、テレビに没頭している。
私とあなたの2人の世界。私とあなたの2人の毎日。
逃げ場がどこにもないような。
でもここが居場所と思えるような。
心がザワザワするような。
でもなんだかホッとするような。
あなたに出逢ってからというもの、私の中にはつねに波打つ気持ちが静まらない。
穏やかで深い静かな海のふりをして私はあなたと日々を過ごす。
あなたが午睡にまどろむと、ようやく私の波が少し穏やかになる。
あなたのすこやかな寝息を感じながら、夕飯の献立を考える。
あなたの我が儘に振り回され、あなたにどれだけ辛くあたられようと、あなたの寝顔を見ていると、逆にじぶんのいたらなさにため息が出てしまう。
どうしたらあなたを幸せに出来るかしら。
どうしたらあなたを上手に愛せるのかしら。
どうしたらあなたと一緒にいきられるのかしら。
深い静かな海の気持ちにまたさざなみが立つ。
あなたは私の可愛い子。
永遠を誓った尊い子。
毎日通り過ぎるあなたとの思い出。
どうかどうか、今の気持ちを長くとどめていられますように。
私の海の深いところに。

朝顔と母

朝顔と母

母親の安らかな気持ち。ざわつく気持ち。我が子への切ない気持ち。なんてことないお母さんも実は毎日いろいろ考えてんのよっていう日常の話です。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-07-20

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