字融落下 ―時間が死んだ日―
今日がそのまま止まってしまった。
時間が鼓動の音をゆるめていって、皆が気づかないうちに息をひきとった。
僕だけはそれに気付いていて、でもそれが何を意味するのかはまだわからない。
皆は何時ものように過ごしていて、鳥も雲も流れてゆく。
時間が死んだことに気付いたのはしばらくしてからだった。
皆は何時ものように過ごしているが、意識してみてみると、僕の視界から外れるとループすることに気付いた。
これに気付いたのは同じ日である。
今日が終わらないのだ。朝も夜もくる。しかし、やって来るのは今日だった。
日々が寄せ集めのデジャヴで出来ていた。
時間の死は生物の寿命さえも奪っていった。
ゆったりと流れる今日。
きっと明日も既視感のある日常なのだろうが、なにも問題はないのだ。
生きているし、食料は尽きない。皆も同じように生きている(恐らく皆も気付いているのかもしれない)。
ただ今日を生きている。
ある時、人が死んだ。
何をしたのかは分からないが、寿命の変わりとなる死の概念があるようだ。
ただ僕は今日を生きている。
字融落下 ―時間が死んだ日―
私が書き遺して、私が読み解く。
――溶け出した行間。空想の中に落ちてゆく――。
そして私に伝える。きっと、もうすぐ。