5回目。

ふと夜中に目が覚めた。
時計をに目をやるとわかったんだ。

「今日で5回目だね。」
「20歳の誕生日おめでとう。」

返ってこない返事。沈黙。

「あのさ、」

なにも変わらない笑顔なのに姿はどこにもなくて、もう背中に触れることすらできなくなった。
いつもそこにいるような気がしてるのに君はどこにいるの。

最後に一緒に過ごしたときは笑ってたね。久しぶりに帰ってきたんだって連絡をもらって私はすぐに迎えにいったね。
危ないからゆっくり来なさいって着いて早々説教された。ふて腐れた私にソフトクリームを買ってくれて、すぐ機嫌が直っちゃうもんだから吹き出して笑ってたっけ。
昔、一緒に遊んだ公園に行ったら遊具が全部変わってて驚いた。夜には久しぶりの君のベッドで匂いとぬくもりに包まれて眠った、まるで小さい頃に戻ったみたいに。夜中にイビキで起こされて、朝方には冷たい空気の中で貴方のぬくもりともう一度眠った。手を伸ばせばすぐそこにぬくもりはあったんだ。確かにそこにあったのにな・・・・・・

また戻る日に駄々こねて困らせてごめんね。「またね。」って言ってくれたのにその未来はこなかったね。

ねぇ。
今君は私の隣にいてくれてるのかな。またイビキで起こしてくれたのかな。ぬくもりを思い出してもう一度まぶたを閉じた。

5回目。

5回目。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-07-19

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