東京喰種 二次創作 金木編

金木編

……冷たい唇。
氷の唇にキスをして命を吹き込む。
「ふふふ……これで君は僕のものだね?」
死んだ様に眠る君に僕は何度も話しかける。
「ずっと僕のものだ。一生離さない」
信じたくないから。
君の時はもう既に止まっていることなんて信じたくないから。
ねぇ……? 僕の命を捧げても君に熱を灯す事はできないのだろうか。
どんなに愛しても、側に居てももう君は戻らないの?
僕だけがこの世界にいるなんて苦しいよ。
僕の凍った冷たい心を君の笑顔で溶かす事はもう、出来ないのかな………?

「いや、だ……」

ねえ、お願い、目を開けてよ。
僕のこと見て「大好き」だって言ってよ。
深い眠りに落ちたお姫様は大好きな王子様のキスで目を覚ますんだろう?
ずっと君が僕に話していたことじゃないか。

なのに……何故……

涙が……

わかっているんだ。君が居ないことぐらい。
だけど信じたくなかった。まだ間に合うって信じたかった。
僕が存在する意味はまだあるって思いたかったんだ。
でも……
もう君がこの世界にいないなら。
もうすぐ僕の時さえも止まってしまうなら。
ねえ? 神様?
僕をこんな運命にした貴方に願うのは癪だけどーー
僕の命が消える前に一つだけ願いを叶えて

お願い、もしこれが最期なら

もう一度、彼女のいる世界に連れていって

僕達を深い闇が切り裂いたのなら、またその闇で僕達を巡り会わせてよ。
君が居ない世界でなんて僕の生きる価値はない。
だから……だからこそ
もう一度だけ、最初で最後の想いを伝えさせて
僕が今まで恥ずかしがって上手く君に言えなかった言葉をーー

「僕は」

君と次に会うための約束を。

「僕は、ずっとーー」

この言葉で紡ごうーー。
涙でもう君の顔もよく見えなくなってしまったけど……
最期の力でこの言葉を言えたのなら僕にはもう未練はないからーー。

ありがとう、また明日ーー。

「「君のことが大好きです」」


目が覚めると、風が吹く草原に僕はただ一人。
目の前には君の姿。
「ありがとう」
僕はもう一度彼女に言い、笑った。

全てが枯れたその場所には、ただ時の止まった幸せそうな男女が横たわっていた。

金木編 END

東京喰種 二次創作 金木編

これは、ツイッターアカウント名 白カネキくぅぅぅんまぢ2000%ラブ!さんのを元に書かせていただいたものです。
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東京喰種 二次創作 金木編

これは東京喰種の二次創作です。 金木編と姫編で構成されており、独白文のように書かれています。 投稿初心者ですが、東京喰種好きの皆様や好きじゃないと言う人にも是非読んでいただきたいです。 感想などはツイッターアカウント名 @rinne0620 までどうぞ!

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-07-19

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