彼と僕らの話

昨日歩いてたらカナブンを見つけた
次の日見たら死んでいた
カナブンは蟻に食べられていた
彼はカナブンを悼み、蟻を恨んだ

蜘蛛の巣に蝶がひっかっかて必死にもがいている
次の日には糸でぐるぐる巻きにされていた
蝶はいずれ食べられるのだろう
彼は蝶を悼み、蜘蛛を恨んだ

何故かは解らないが彼らは
被害者に弱いらしい
それは僕らにも言えること

害を被ったもの
害を加えたもの

この関係が崩れることはない
この関係を崩そうとする彼はきっと

僕たちから見れば彼は加害者で
彼を責め、悪とみなし自分たちを被害者とするのだろう

だが彼から見れば彼を責め、悪とみなした僕たちをきっと
加害者と思い、彼の正義を貫く事を阻止された自分自身を被害者とするのだろう

難しく思う必要はない
害を加えるものがいたら自然と害を被る者が生まれる
害を被った者がいたならどこかに害を加えるものがいるということだ

害を加えるも被るも紙一重

最後に彼に一つ聞いておこう

僕は君にとって
被害者かい?
加害者かい?

彼と僕らの話

彼と僕らの話

ふと思い出した、彼と僕らについてのお話

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-07-13

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