残響に問う
「小説家になろう」時代。
彼は王だった。
祖国のため、民のため、その生涯を捧げて心を砕いた。
侵略者は多かった。
何度となく犠牲を払いながら、それでも土地を守るため、誇りを糧にして、王は戦った。
たくさん死にながら、たくさん救われた。
臣下も、民も、それを称えた。
称えられたけれども、王は救われなかった者たちを思って涙を流した。
そして終わりが訪れる。
これまでで最大の敵――臣下の率いる軍を蹴散らした後の玉座で。
傷ついて、みるみる温かさを失う身体を玉座に預ける王に、ただ一人付き従った騎士が乞うた。
――貴方は、最高の王です
――どうか、もうお休みになってください
最高の王と称えられて、王は最期まで涙を流していた。
国を乱し、それを見捨てて死に行く自分を呪いながら、最期まで泣いていた。
誰も、彼の名前を知らない。
残響に問う