光導

第一天体観測部


星路高校の旧校舎には、限られた者のみが入部することの出来る部活がある。
その名も「第一天体観測部」
略して「天観」

この学校の誇りでもあった天観は今尚沢山の入部希望者を出している。
その中の選抜メンバーがこの、第一天体観測部に所属される。

人気の理由は、その知名度が大きく関わっていることは確かだ。
しかし最近このような噂を耳にする。
「天観に入ると特別な何かがある」
と、そんな漠然としない噂如きだと口にする者も多い。

その実態を知る者は少なく、
現在の部員数は5人。
選ばれし部員の知られざる活動記録が今明かされていく。

infinity


空は無限大に広がる。
森も、海も、山も、人も、地球の全てを包み込む。
そして色を変えて俺たちの前へとやってくるのだ。


午後7時
旧校舎の特別活動室にて、
天観の活動が始まる。

いつもの席につき、いつものお茶を飲み、いつものメンバーで、いつものように過ごす。
そしていつもと少し違うようで、同じような会話を続ける。

「僕は月と地球の関係について研究発表をするといいと思う。」
3年副部長 白銀 皐月 男

「月は宇宙の神秘よねー、皐月先輩なかなか良いセンスしてますねぇ」
2年平部員 真白 かおる 女

「こら、かおる。皐月さんに向かって生意気よ?口の聞き方直さないとダメかな?」
2年平部員 青道 三星 女

「自分は先輩方の意見を優先したいです~。」
1年新入部員 水簾 星来 女

「最近立て続けに発表会があるからネタも尽きてきたし…今回は皐月の意見を通すか。」
そして俺、3年部長 柊 宇宙 男

7月の研究発表会で発表する内容について、話をする。この夏の時期と冬は発表会が多いこともあり忙しく過ごしている所が多い。
此の天観も、周りの期待に応えるべく議題を考えていた。

「でも実際月と地球って研究題材としては王道って感じじゃない?他の所も持ってくるかもしれないね」
「だったら俺達は他より上を行けばいいだけだろう?青道はいつからそんな臆病になったんだ」

第一天体観測部として名を轟かせる天観はこれまでにも様々な研究発表をしてきた。
高校生ながらにして研究題材の深さ、知識は大人にも勝るものがある。
無限に広がる宇宙の可能性は俺達の脳を、心を躍動された。

しかし、今回の研究発表は今までのように新しいことを研究するということでは上手くいかないのだ。
研究され続け、今なおその神秘を保っている月と地球。より深く、誰も成し遂げなれなかった研究を俺達天観が研究する。

それを成し遂げてから、真の宇宙は完成するのだ。

「まずは関東だ。どんな小さな舞台だって気を抜くなよ。」
「抜いてないよ。関東が小さいって言ってる宇宙こそ、気ィ抜かないでよ?」
「何時でも全力追求!宇宙を完成させるまでは気は抜けないからねー!」
「どんな困難もこのメンバーなら乗り越えられますし、気張らずいつも通りやりましょう。」
「先輩と一緒にやるのに気を抜く方が馬鹿みたいですしね。頑張りましょ~。」

最高のメンバーと最高の舞台に立つ準備が今、始まる。

「よし、今日は各自解散。明日からは忙しくなるぞ。いつも通り、準備をしておくように。

では、解散」

パンッ

手を叩き、深呼吸。

これから最高の宇宙が広がっていく。

光導

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  • 小説
  • 掌編
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  • 青春
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  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-07-10

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