OKサイン

ひとりの少女

大勢の大人たち


なんて無力なヤツら


人の「OKサイン」が出ないと

動けないの?


笑わせてくれるわ


私は

何がなんでも、アイツだけは許さないんだから



* * * * * * * * * * * * *


古い、酒のにおいとタバコのにおいがたちこめる

サイアクなバーで、やつは飲んでる


「ははっ」



くだらないバラエティ番組で

腹をかかえて笑ってる


何がそんなに楽しいの?

今すぐこのナイフをあいつらに突き刺してやろうか



そろそろ限界時に、

「待て」というように携帯が鳴る


でも、聞こえたんだ


「オーナー・・・・・・っこの前殺したの・・・・・・誰だっけ?」



お兄ちゃん



行ってくるね




* * * * * * * * * * * * * *


店には、おしゃれなBGM

客やオーナーたちの声はぴたりとやみ

注目は、私の手元に集まる


そんなことも気にせず

ぽたぽたと垂れる

汚らしい血


すっ と引き抜くと

男は倒れこんだ



「ふふっ    ふははははははっ」



店内には、私の笑い声が響く


殺人鬼と化した一人の少女を

疑いの目で見つめる

卑怯な大人たち



元は、あなたたちが悪いのよ?


テレビで手に入れた情報しか信じず

次の日には、大勢の人たちが言ったわね

「怖いですね

 気をつけないと」


結局は、自分のことしか考えてない


今だってそう

もう店内に残ってる人たちは少ない

警察に囲まれてる私を

哀れみの目でみる大人ばかり



でも、ちゃんと聞こえたよ



「よく頑張ったね」



おにいちゃん・・・・・・

OKサイン

ニュースのインタビューを見て

思った今日この頃です


すぐ忘れられていく

亡くなった方たちに

私たちはいったい何ができるのでしょう?

OKサイン

兄を思う妹。 残酷な現実・・・・・・

  • 小説
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-03-26

Copyrighted
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