書く女
10/21 『書く女』 ドラマシティ
作・演出=永井愛
出演
寺島しのぶ=樋口夏子(一葉)ひなつ
筒井道隆=半井桃水
八木昌子=母 たき
小山萌子=妹 くに
石村実伽=田辺龍子(花圃)
栗田 麗=伊藤夏子=いなつ
江口敦子=野々宮菊子
小澤英恵=半井幸子
向井孝成=斉藤緑雨
中上雅巳=平井禿木
杉山英之=馬場孤蝶
細貝弘二=川上眉山
このチケットはぴあで取ったのだが、やや上手ながら2列目というかなり良い席が当たった!そして携帯へダウンロード、入場は携帯を器械へ向けてピッと押すと日にちや座製番号が書かれた紙、つまりチケットと同じ物がで来る仕組みだ。チケットを郵送する事も要らないし手数料も安い。これを使うのは2度目だが中々便利が良い(^^♪
この公演を取った理由は2つ、主演が寺島しのぶさんだった事と、演出が永井愛さんだった事。
以前にこまつ座の「頭痛肩こり樋口一葉」を観た事が有るが、この時は主に一葉の生活を描いていたと記憶しているが、今回の作品は一葉の作家活動に重点が置かれているようだ。
作者の永井愛さんが参考にしたのは一葉の日記だとプログラムに書いている。
この舞台装置はナント表現したら良いんだろう? 細い木組みで様々な家の形を現していて、それは和風の家の壁だったり、障子だったり、窓だったり・・・、それが舞台の三分の二くらいを占めている。
役者は残りの三分の一くらい空いている前の方での演技をするのだが、私はこのセット、あまりにボリュームが有り過ぎて少々うっとうしかった(笑)
その障子をスーッと開けて寺島しのぶさん演じる樋口夏子(一葉)が半井桃水(なからいとうすい)に弟子入りしたいと桃水の家を訪ねてくるところから始まった。寺島さん、クルクルッとした目が印象的で・・・(^^♪ 色が白くてとっても可愛いんだわぁ?!
相手役の桃水を演じるのが筒井道隆さん、何時もながらのほんわかとした雰囲気で何時もながらの喋り具合、全然変らない(笑) でも私はこの雰囲気の筒井さんに何時も心が癒される気がする。彼はこれで良いんだと思う。
桃水は小説を書くのはお辞めなさいと説得をするが、戸主となった夏子は家族を養わなければいけないので、桃水のような小説が書きたいと懇願する。硬くなって切り口上で話す夏子が可笑しい(笑)でも声は良く通るし台詞の歯切れは良いしとっても可愛い声。
桃水は自分は生活の為にお金になる新聞小説を書いているという。この筒井桃水さんがお汁粉を振舞ったりしてとっても優しいの(^^ゞ
夏子も桃水もお互いに好きだったにも拘らずそれ以上の関係に踏み出せなかったのは、お互いが戸主という責任を負わされた時代背景が有るんだろうなぁ?と切なかった。
桃水が「帰らないで・・・、あと30分・・あと20分・・・後15分・・・」と叫ぶ声が耳に付いてはなれない(笑)
だが桃水との中が人の噂になった為夏子は桃水のもとを去る。
生活の為に小説を書きたくないと夏子は吉原の前で荒物屋を始めるが、これもうまく行かない。文学青年が尋ねてきている前で今夜のお米が無いと大声で話す母と妹(笑) そんな困窮した生活をしているのかと驚く青年に吉原界隈に住む子供の事を話しているうちに小説のヒントを得る夏子・・・(たけくらべ)
荒物屋をたたんだ夏子は今度は居酒屋が並ぶ場所に引越しそこの女給さんたちの手紙の代筆をしているという。
此処での生活から生まれたのが(にごりえ)
一葉は24歳という若さで結核を患い亡くなっているが、その前の1年数ヶ月の間に後に代表作といわれる作品を書いている。
樋口一葉の舞台を観たのは、こまつ座の「頭痛肩こり樋口一葉」だけだが、あの作品は夏子の生活苦がメインテーマだったように思う。何度も引越しをする年代を舞台に映し出していた。だが今回の舞台は一葉の生活が文学や作品と関わる面を主に取り上げている。ただこの内容で3時間を越える上演時間は長すぎる気がした。特に青年文士達とのやり取りは時代背景が判っていなければ理解し難いのでは無いか?もう少し短い方が良かったと思う。でも寺島さんが演じる樋口一葉は貧乏にもめげず、明るく可愛くそして後半の世間の荒波にもまれた女性として逞しくなっていく様を見事に現していたと思う。
良いなぁ?寺島さん! 大好きになった!
筒井さんとの絡みのほんわかとした雰囲気も、とても良かったし・・・、勿論 筒井さんも良かったよ(笑)
書く女