君の見つめるその先に 【あとがき小話集 完】

君の見つめるその先に 【あとがき小話集 完】

 
 
※【番外編 最終話】の裏話・裏設定になりますので、ネタバレ要素あります。
 
 
 
サブタイトル ~ オトナになった日 ~
最終話のキーワードは ”オトナ ”です。
 
 
 
サクラが、離れ離れになってしまうハルキに駅のホームで言った言葉。
 
 
 
 『あたしがオトナになったら・・・ ケッコンして。』
 
 
ハルキはその時『オトナの定義は?』と訊ねました。
その時すでにサクラの中では、明確な目標があり ”それ ”になる事は決めていました。

”それ ”とは ”教師になる ”という事。

そして、この最終話で教員採用試験に合格し、ハルキに報告をしにゆく話です。
色んな意味で ”オトナ ”になった日の、話です。
 
 
 
 
 
 
サクラは婚約指輪のお返しを買いたくて、週末にスーパーの試食のバイトをします。
ちなみに、生まれて初めてのアルバイト。
一歩、小さく ”オトナ ”の階段を上がってます。

親たちに知られるのは恥ずかしいので、一応、自宅の買い物圏内から少し離れた
スーパーでバイトをしているというのに。

そこは、ハルキ母サトコ・・・ 鼻が利きまくります。

偶然ですがそのスーパーに行き、 ”ハムのおねーさん ”を発見。
その時のニヤけ顔たるや。

まぁ、サトコはサクラを溺愛してますので、見られたのがサトコで逆に良かったのでは?
ハム類をカゴに山盛りに買って去ってくあたりに、サトコの愛情が溢れてます。
 
 
このバイトで、サクラはめちゃくちゃハム類の知識が豊富になりました。
ハルキとファミレスでご飯食べたときの ”生ハムうんちく ”
アレ、放っといたらいつまでもハム談義止まらないです。
 
 
ちなみに、婚約指輪のお返しに買ったペア腕時計は、ベルトの色だけでも変えれば
良かったのに同色にしちゃったもんだから、ドッチがドッチのだか分からなくなり
朝のバタバタと忙しい時間に大慌てです。
ふたりで学校に同じのしてってます。

生徒にからかわれ、サクラは赤くなりムキになって言い返し、ハルキは得意気な顔で
ニヤリほくそ笑んでます。
 
 
 
ファミレスでご飯の後、ハルキ宅へ向かう途中。
サクラはハルキに、もう一度正式なプロポーズをしようと思っていました。

しかし、それはハルキも然り。
そこはやはり男ですから、ハルキからが良いでしょう。

『ダメ。俺に言わして』とサクラを遮ります。
 
 
プロポーズの言葉は、なんて言おうかハルキはずっと考えていました。
言いたいことは湯水の様に溢れます。
愛の言葉なら、いくらでも出てきます。

でも、結局ごくごくシンプルな一言になりました。
 
 
 
 
 『ミナモト サクラさん。

        結婚してください。』
 
 
 
今までも、ハルキはSB同好会部長ヨシナガを訪ねて行った帰りに
感極まってサクラに『結婚しような。』と言ってはいますが、
やはり今回の正式なものは別格です。
 
 
サクラも、
 
 
 
 『・・・こちらこそ・・・

         よろしく・・・おねがい、します・・・。』
 
 
 
と、きちんと返事をし、丁寧に頭を下げます。

あー・・・サクラ、 ”オトナ ”になったなぁ・・・、とココでもキーワードがチラリ。
17才当時の、あのひねくれ者とは違います。感慨深い。
 
 
 
そして、サクラが二次試験合格した日に言った、母ハナの言葉。
 
 
 
  『今週末。 お父さん、いないから・・・

   もし、もしも。 万が一・・・ 終電に乗り過ごしたら。

   その時は、ハルのトコに泊めてもらって、次の日に帰って来なさい。』
 
 
 
THE 外泊許可。
まぁ、これで終電乗らないのは火を見るよりも明らかですね。

母ハナも、自分の若かりし頃なんかを想い出して、父コウジがいない今がチャンスと
サクラの背中を押しました。
ちなみに、コウジパパは年1回のイタリア研修に行っていました。
イタリアンのシェフなので、現地で実際美味しいものを食べて勉強する為です。
今回は、ユリの夫ジュンヤも同行していました。
よって、ミナモト家では久々、母ハナとユリのふたりでのんびりしてました。
 
 
 
 『・・・乗れなかったら・・・

       ・・・・・・・・・・・泊まって。 明日。帰る・・・。』
 
 
 
サクラの口から恥ずかしそうに出たこの言葉。
ハルキの脳内G8サミットが暴走します。コントロール不能、トランス状態。

ハルキも、そりゃ男だもの。
毎回毎回、小鳥のチュウ。じゃ可哀相すぎる。
【あとがき小話集その2】を書いた時点で、最後の最後にハルキにはビックウェーブを
起こしてやろうと思っていました。

でもよくガマンしたよ。
サクラ高2(17才)~大4(22才)まで5年のガマン。

それまでもチャンスが無かったといえば嘘になりますが、なんせ物理的に離れましたから。
そして、ハルキの街に遊びに行くのを、サクラ父コウジがなにかと阻止して・・・

だから、実は今回が初・ハルキ宅訪問でした。

ハルキが実家に戻って来た時は、ミナモト・カタギリ両家でなんだかんだとワイワイ
やってますから、そこでも中々ふたりっきりってのは難しい。

まぁ、サクラが ”オトナ ”になってからでいいや。という思いもあったのでしょうが。

ちなみに、ほんとに ”雄ライオンは仔ライオン食っちゃう ”らしいです。
縄張り争い的な意味合いですが。

コンビニに買い物に行く行かないで悩むあたり、青い若者だな~・・・
(つっても、この時サクラ22才、ハルキ30才ですけど。)

この時のハルキ部屋の冷蔵庫には、サクラが好きなドリンクやらスイーツやらお菓子やら
ギッシリ詰まっていました。
サクラが来るって分かった時点で、張り切ってハルキひとりで買い物に行ったみたいです。
一緒に買いに行って好きなの買ってやれば良かった・・・って、後で反省したみたいです。
それだけ、サクラ来訪が嬉しくて楽しみだったんだね。仕方ないよ。

サクラがサカキ(ハタ)と、”なんかあったのでは ”と今更悶々と考え込んで
ましたけど、それは無いから大丈夫。
ほんとにハルキなら八つ裂きにしそうで恐ろしいです。

まるで初めて同士みたいにぎこちない感じが、なんだか・・・(照)
サクラ、”オトナになった日 ”です。 

こっそり覗き見ちゃってスマン、おふたりさん。
プライバシー侵害も甚だしいね。
 
 
 
翌春。サクラは奇跡的に?ハルキと同じ高校に赴任が決まります。
3月中旬にやっと赴任地が決まり、それによってバッタバタでふたりの新居を探し
引っ越し、部屋の中はまだ段ボールだらけ。

サクラはぎこちなくお弁当も作っています。
よって、指先の絆創膏は健在。
ハルキはその指先を困った顔して眺めながら、なんだか幸せそうにしてます。
 
 
 
フォトフレームに入った結婚式の写真。

サクラ母ハナは、予想通りヨユーを醸し出し微笑んでいます。
サクラ父コウジは、目を真っ赤にして。
挙式でサクラとヴァージンロードを歩いている時から、ガマンしてガマンして
喉元強張って強張って、でも、最後まで雫は落とさなかった。堪えましたね。

ハルキ父サトシ・母サトコ コンビは、最初っから最後まで泣いてました。
それは、愛しい愛しいサクラが我が子になった喜び一色で。
ちょっとコウジパパの気持ちも考えたげて?

ジュンヤとユリは結婚して、ユリは今、妊婦さんです。
この後、ユリ似の女の子みたいな可愛い可愛い男の子が生まれました。
ミナモト家・カタギリ家そしてアンドウ家の親たちに、溺愛され幸せに暮らしております。

ちなみに、サクラも初・甥っ子に目尻を下げまくり、初めて抱っこした時は嬉しくて
嬉しくて大声あげて泣きました。その声に、甥っ子も驚き泣いてました。
 
 
サクラは結婚式の時、髪の毛をアップにしていました。
ハルキにからかわれながら伸ばした髪の毛。ちゃんと女の子でした。可愛かった。
ハルキの頬が緩みっぱなしだったのは、言わずもがな。

ブーケとブートニアには、ガーベラが使われました。
ちなみに、ガーベラの花言葉は「希望」「常に前進」
ヨシナガを訪ねた日の帰り道、ハルキがサクラに渡した花束がガーベラでした。
 
 
サクラが式中に読んだ ”両親 ”& ”ハルキ両親 ”への手紙。
会場中、爆笑でした。
さすがサクラです。
記念にビデオ撮影していた専門家が、笑って手が震えちゃって、手ブレが
ハンパないです。
みんなが笑顔でした。
 
 
 
その他の面々はと言うと・・・

サカキはミズキと同棲しています。
互いに大学に進み、就職し、相変わらず尻に敷かれています。
ミズキの小悪魔パワーは健在です。
 
 
リンコはヨシナガと友達以上・恋人未満の歯がゆい関係を続けています。
そうゆうトコだけ、意外にモジモジしてるリンコ。
ちなみに、ヨシナガはオネエではなかった模様。
それだけでちょっとホっとします。
 
 
 
そして、今現在のサクラとハルキは・・・

相変わらず、あのまんまのふたりです。
変わったことと言えば、サクラの指先から絆創膏がなくなったぐらいです。
体育教師と化学教師を続けています。

子供はまだ考えていないそうです。
ふたりの生活をもう少し楽しみたいとの事。

休日はふたりでキャッチボールをしたり、カレーを作ったり、のんびりと
幸福な時間を過ごしているようです。
 
 
 
  みんなに、たくさんの溢れる程の幸あれ・・・。
 
 
 
 
 
長い長い本編と、それに続く番外編・スピンオフ等。
お付き合い頂いてありがとうございました。

自分の頭の中で動き喋る ”こども達 ”が、泣いたり笑ったりするのを、彼らに代わり
文字に起こしてゆくのが楽しくて楽しくて・・・

でも、きっと。多分に拙い部分、下手くそな部分等あったと思います。
お目汚し、大変失礼いたしました。
でも、やはり ”失礼しました ”ではなく ”ありがとうございました ”と言いたいです。

これで、【君の見つめるその先にシリーズ】は完了です。
読んでくださった皆様に、心からの5文字を。。。
 
 
 
                                   ひなも
 
 
 
 

君の見つめるその先に 【あとがき小話集 完】

君の見つめるその先に 【あとがき小話集 完】

『君の見つめるその先に』の【番外編 最終話】の小話集です。 本編に載らなかった裏話・裏設定モロモロ。 『君の見つめるその先にシリーズ』も、どうぞご一読あれ。

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-07-08

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