魔術師の俺と超能力者の妹
序章
序章
その転校生が入ってきた瞬間、教室はすぐ歓声に包まれた。
「滅茶苦茶可愛い!」
「やべえ!」
そんな声があちこちから聞こえる。そんなに可愛いのならこの目で確かめよう。俺は思いその姿を見た。しかしその次の瞬間、俺は言葉を失った。
確かに可愛い。
とんでもなく可愛かった。可愛いのだがそれに対する感嘆とは俺の反応は全く違った。
驚いたというよりは目を疑ったと言う方が正しいだろうか。それともやはり愕然としたと言った方が正しいのか。とにかく俺は突如として目の前に現れたその姿が信じられなかった。
一瞬人違いかと思った。それかこれは夢の中の出来事であって、そのうち、目が覚めるのだろう。そして「ああ、夢か」と呟くのだろう。そう思っていた。
しかしそんなことはなかった。人違いでもなければ夢の中でもなかった。まぎれもない現実だった。
「華奈子かなこ……?」
俺はやっとのことで幾分口にしていなかったその名前を呼んだ。でもやはり心の中ではまだ信じられず……。
目の前にいるのは間違いなく―――――。
俺の目の前にいたのは、三年前に失踪したはずの―――――。
魔術師の俺と超能力者の妹