頭の中
頭の中で起こる現象、殺す、殺す、死ぬ。ナイフで犯す。手首を切り落として、煙草を押し付けて、これ以上ない残虐な行為をし続ける。すれ違う老人を撃つ。手にはピストルを構えている。全員、あぁ、血塗れで内臓物が飛び出ている。私はいつもおまえを殺している。犯している。飛び降りてぐちゃぐちゃになっている。ホームで跳ねられ躰が分裂される。首を吊り青ざめた顔で笑っている。背後には何もない。いつもと同じように宙に浮いた感覚で生きている。生きていることが憂鬱になればなるほど頭の中では死を連想して遊んでいる。自分の血縁を経つことすら苦ではない。私の手はいつも深い紅に染まっているし、あぁ、血腥い。街を彷徨しながら、衣服を乾いた血で染めている。そのうち後ろから刺されて死ぬ。思考は幾度も同じシーンを再現する。誰も息絶えることはなく勝手に呼吸をする。騒ぐことも呻き声をあげることもない。思考と現実が入り混じれば私は終われる。憂鬱なのだ。知らない誰かを殺したくて、知らない誰かに殺されたい。ぐちゃぐちゃにして、ぐちゃぐちゃにして、ぐちゃぐちゃにして、ぐちゃぐちゃにして。何とも馬鹿げた妄想だろうか。何とも無慈悲な人間であろうか。人間たちは平和を求めて死を恐れている。いつかは死ぬのに?あなたの死は約束されている。奪われるか、奪うか、或いは使えなくなるまで酷使するか、いずれでしかない。くだらないよ、くだらない。死ぬまで生きることの何が偉い?命を奪うことの何がいけない。草花も動物もすべて同じ。殺して、殺されて、死を免れた生き物たちが生きているだけだ。ビルの屋上から飛び降りようが、幸せな家庭に殺人犯が入り込んで殺そうが、生きている人間は一定数存在する。躰なんて不自由な乗り物でしかない。自由に空を飛ぶのも海を潜るのも、思考だけならばいくらでもできる。躰に大した重要性などない。制限を欲しがる意味も価値もないのに何故それを理解しないのか。不具合の塊を常に動かしていることそれ自体、無駄な労力を要する。要らない。ガラクタを大事に持ち歩く少年だ。私はそれを壊したい。頭の中で要らないものをできるだけ排除したい。あぁ、だから殺したい、殺されたい、死にたい。
頭の中