思いをつたえる

自分の思っていることが
人つたわるということは
どういうことか

声や文字になって体の外にでた瞬間から
それは自分のものでなくなる
そしてひとり歩きする
受け取る人によって解釈が変わり元々の意味とズレる

思っていることはストレートにつたわらない

空気の媒体を通るからでなく
文字の媒体を使うからでなく
そもそもこの思いとか考えとかは
形なく実体なく色もなくニオイもないので
とらえどころがなく
つかまえようにもつかまえられない

ふとなにげなくちがうことが頭にうかぶと
今までかんがえていたことはどこかえいってしまい
この瞬間のことでいっぱいになる

二つの事柄が重なるような思いはなく
たいてい一時に一つの思いだけが浮かび
それは寝ている時以外ずっと連続している
汽車の窓から景色をながめているように
現れては消え
また現れては消えてゆく

どこが継ぎ目かもよくわからない
なにがきっかけで景色がかわるのかもわからない

瞬間の一景色を時間軸に並べて記号化し一本の糸にする
受け手はその糸をたぐりよせながらもとの景色を再構築しようとする

どこまでできている
こんなむつかしいこと

思いをつたえる

思いをつたえる

人に自分の思いをつたえるのは、ほんと、難しいです。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-07-06

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