taraleva
「理解されないなら」と僕は言う
『理解出来なくても』と君は言う
何の気なしにただ真っ直ぐに
其れすら理解からほど遠いのに
「わけもなくただ怖いんだよね」
震える僕の声はきっと造りモノで
『わけがわかんないからきっとそうなの』
答える君の声はとても美しかった
「弱いかな」
『強くはないよね』
「嘘つきでゴメン」
『私だってそう』
『それで円満ならむしろ私たち……』
僕等にとってそれが生きることで
なんて考えたりもしていたりしました
醜い僕がどうしても認められなくて
綺麗な君に透かされて生きていたいと
そう想っていました
それだけを想っていました
「理解なんてない」と僕は言う
『そんなモノいらない』と誰かが言う
拾って欲しいヒトは君だったのに
そうじゃないから僕は拒絶したんだ
「いやでも本当そうじゃなくて」
震えた僕の声はそれが本当で
『ううん少し驚いただけだよ』
答えた君はあまりに残酷で
『ねえねえ』
「どうしたの?」
『ううんなんでもない』
「そっかおやすみなさい」
『違うよそうじゃなくて……』
僕等にとってそれがただ愛しくて
なんて考えたりもしていたりしました
醜い君といつも傷を舐め合って
偽りの僕に出来ることなんてなくて
そう悟っていました
そんな話をたくさんしました
君が語る全てが
僕に悟られてはいけないからと
そんなこと考えているんだよね
わかっているよ手に取る様に
だってあなたは私の鏡
だから僕は知らんぷりして
ただそれを可愛いなと
そう想っていました
僕等が綴る物語の日々を
捲って記す本当の意味を
僕等は何処か遠巻きに見ていたんだ
目の前の淋しさ圧し殺す様に
互いに縋って愛で合う時間よ
なんで
どうして
今を教えてくれなかったのですか
『惜しいな……』なんて唐突に
「どうしたの?」とか平坦に
『だって貴方この世界に生きてるんでしょ』
『ああ勿体無い』
『もうそれじゃあ』
『どうしようもなくなっちゃうじゃない』
真っ暗闇の静寂の中で
哀しい音色を僕に聴かせた
「泣いているの?」
なんてくだらない問いに
『まさか』
と言って泣きじゃくるんだ
「そっかそっか」
と笑った僕に
『だってだって』
と子どもの様に
暫く続いた嗚咽の後に
『安い涙に意味はないんだよ』
と
君が描いてる僕への価値は
一体全体如何なものか
そこに零れたただの一滴が
頬を伝ったふたつの線が
僕が描いた君への価値で
「拭ったりはしたくないな」と僕は言う
『どおして』と君は僕に問う
「溢れた感情」
「代わりに表現してくれているから」
「それはそれは」
「勿体無いでしょ」
僕等にとってそれがただ哀しくて
なんて気付いていたけど無視しました
世界の決まりに侵される前に
生きると言う呪いに掛けられる前に
僕等の日々を永遠の刻を
この物語を終わらせる前に
どうかいつか
どうかどこかで
そんなことを想っています
taraleva