白いあなたと黒い私

ああ、黒いなんて黒い


道を埋め尽くす人ごみが様々な方向へ進んでいく

ひとりは無機質なビルへ
ふたりはホテルへ

そんな人ごみはお世辞にも綺麗とは言わない
こんなごみの大行進 見てるだけで酔ってしまう

そんな私もごみのひとりなのだと知りたくない
知ってしまう、嫌でも頭に押し込められるように
理解せざる終えない

ああ、きたない、汚ない、私も人間もお前も汚れている

黒い雪がどこからか降ってくる、落ちてくる
これはきっと汚ない私を綺麗にするための汚れたちり

汚れた私は汚れたちりで綺麗にするのが一番良い
白い雪なんて眩しすぎて汚れを落とす前に目がつぶれてしまう

白い神様
あなたは綺麗ね、お世辞なんて笑えるくらい
白くてとても綺麗ね
私たちを作ったくせに汚れたままで放っておかないで
私を私たちを綺麗に出来るの、あなただけは

どうしてあなたは白いままでいられるの

人間のキャンパスは真っ黒に塗り潰されたまま
それを綺麗だという人間が私は嫌い


私は目をつぶった
そして宙に向かって足を踏み込んだ

私は黒から赤になった

白いあなたと黒い私

白いあなたと黒い私

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-07-04

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