メタルマクベス
5/16・17日 『メタル・マクベス』青山劇場
SINKANSEN☆RS
原作=W/シェイクスピア
脚色=宮藤官九郎
演出=いのうえひでのり
音楽=岡崎司
出演
内野聖陽=ランダムスター/マクベス内野
松たか子=マクベス夫人/ローズ
森山未来=レスポールJR/元きよし
北村有起哉=グレコ/マクダフ北村
橋本じゅん=エクスフローラー/バンクォー橋本
上条恒彦=レスポール王/元社長
他
青山劇場は何年か前に隣の円形劇場へ来た事が有る。
地下鉄からも渋谷からも歩いて10分ほどなのだが、歩くのが苦手私にとってはこれがかなり遠いと感じるんだなぁ!
劇場に入るとまずパンフレットを買った。
うわぁ?重いーーーっ! でもとても豪華なパンフで、二つ折りになった片方には昔のLPそのままの形の中にDVDが組み込んであるし、劇中で歌われる歌詞も載っていて中々行き届いている。勿論CDも買った。帰って中を見て笑っちゃった! 作詞・作曲マクベス内野だって(笑)
舞台は中央にかなり高い(踏み段が3段くらいあったか?)八百屋舞台になっている。正面にはエリザでも使われたような電飾のスクリーンがデーンと座っていてメタルマクベスのシンボルマークのような赤いハート型をした目を持ち廻りに蜘蛛の足を持つ髑髏が映っている。このスクリーンに突然アニメのキャラが映ったと思ったら「携帯電話をkill?ッ」とでた(笑)
舞台下手に大きなダクトのような物が見える。このダクトそのものは最後まで使われることは無かったが、舞台の最後に鋼鉄城が爆破する場面が有るのだが、その時このダクトの一番上の部分からミサイルかロケットのような物が上昇していくのが見えた。これは現代の危機を象徴した物なのだろうか?
時は2206年のESP王国、魔女3人が大なべでカレーを煮ている。そのぐつぐつと煮える様が後ろのスクリーンへ映し出される。しかも魔女の中の一人が林さん(右近)と言うんだそうだ(笑)あのカレー事件の事をかなり皮肉ってる。この物語の中で出てくる「きれいは汚い、汚いはきれい」の言葉の説明は「すごーく疲れてるのにセックスした?い!」みたいな意味なんだと・・・(笑)
ESP王国のレスポール王(上条恒彦)が、ランダムスターの際立った働きを評価し、裏切ったマホガニー領主の処刑を行いその領地をランダムスターに与えると宣言する。
坊主頭の上条さんのレスポール王は、流石に恰幅も良く威厳もあり何より良く通る声が素晴らしい!勿論歌も!
内野さん、ビジュアル的にはとても綺麗・・・、というかカッコイイ! メイクも衣装も。ランダムスターはトートをワイルドにした感じとで、鬘は獅子のたてがみの様で良く似合っているし、衣装は黒を基調にメタルを打ち込んだ皮のコートをカッコよく翻して登場。
親友のエクスプローラを演じる橋本じゅんさんは、やはり劇団の役者さんだけ有って雰囲気に滑らかに溶け込んでいる。笑いを取るタイミングもバッチリだし、内野さんもそれに吊られてかなり良い感じだわぁ・・・(^^ゞネットの中で橋本じゅんさんのアドリブが出てくるのは多分この場面だろうと思うんだけど、初日は私は全く判らなかった。
2日目に「俺もエリザベートやりたい」と聞こえたが・・・(笑)
カレー鍋の林さんが、後のシーンでコラーゲンのお陰ですっかりスマートになりお肌も艶々になって出てくる。
この林さんを松たか子さんが演じる(^o^)/
新感線のギャグは一度観たくらいでは中々消化しきれないよ!この魔女達がランダムスター(内野聖陽)の将来を予言する。『万歳!マクベス!何れは王になるお方』 そしてエクスプローラ(橋本じゅん)には『バンクオゥー、王にはならないが王を生み出す男』この詳しい事はこの中に入っていると1枚のCDを渡す。そのなかには有るのは1980年代のロックバンド「メタルマクベス」のメンバー達(原作の「マクベス」に出てくる登場人物の名前はこちらが近い)、それらはそっくり今の自分たちに重なり未来を予言している。こうして舞台はこの「メタルマクベス」と2206年代のランダムスターの時代が交互に出てくるのだが、この辺りが少々理解し難い処があった。
ランダムスターが自分の城へ帰ってくる。出迎えたのはランダムスター夫人(松たか子)、松さんがほっそりとした体にこれも黒を基調にメタル調の柄を配した衣装がとてもよく似合って素敵に綺麗!・・・なのに台詞は荒っぽくて蓮っ葉な感じ(^^) それに引きかえ内野さんはここでコートを脱ぐのだが、コートの下にはお臍の上辺りまで開いたベストを着込んでいて、コートを脱ぐと太い腕はむき出しになるが、その白い腕がまるで女性の腕のように脂肪でコーティングしてあるみたいに滑らかで筋肉はあまり見えないし・・・(笑)うぅーん、内野さんチョッと肥ったよ!!!(^^ゞ
シースルーのベストを着たときはお腹廻りの脂肪がはみ出ていたし、もう少し体を絞らなきゃダメだ!
そこで逢いたかった?っ!と二人は抱き合い幼児言葉のやり取りで会場を大いに笑わせる(^^ゞ この時の二人の状態を、誰が言い出した言葉かわからないが「バカップル」というらしい(笑) だがそんなラブラブのシーンが終わると生臭い会話が交わされる。夫人はより高い地位を望んでいて王が居なければ・・・、と顔に似合わずすごい事を口走る。明日マホガニー城へレスポール王が来ると言う。(王を)やるんでしょう? と、迷いのあるランディを叱咤する。
場面は1980年のメタルマクベスの時代に変る。
ここではレスポール王はプロダクションの社長だ。ランディはマクベス内野、エクスプローラーはバンクォー、夫人はローズというマネージャーという役割。マクダフ北村は妻が妊娠していてお金が要ると言う。このマクダフ北村を演じるのが北村有起哉さん、この場面ではチョット情けない役なんだが、背はスラリと高くほっそりとして髪を赤く染めているのがとてもお似合い!
そしてなんだか訳の判らない歌を歌うんだが歌も中々いけますよ?!
「リンスはお湯に溶かして使え」「ダイエースプレーこうてこいや」・・・これがプログラムの中のDVDに入っているんだよなぁ?!(爆)
ここでナンプラー(栗根まこと)がマクベス内野の事をうーちゃんと呼ぶんだが、マクベスはこれが気に入らない。
「うーちゃん言うな!」(爆)
この辺りがやはり新感線だなぁとおもう(^^ゞ
この社長の息子・レスポールJR(ジュニアー)は演歌歌手の元きよし・森山未来くん、この時の衣装は紫のダサいスーツに頬紅を赤く塗ったメイク(笑) 2幕ではストレスの為毛が全部無くなって「ズル剥けJR」なんて呼ばれたりして、気の毒なほど変な格好をさせられているんだけど(^^ゞそれを撥ね退けるほど強烈な印象だった! 歌もパンチが効いているし、勿論踊りも素晴らしい。むしろ変な格好だからこそ余計にインパクトが強かったのかも。
元きよしがメタル演歌「七光り」はまさに演歌調だし、タップダンスも素晴らしい!
この社長の演歌路線がマクベスには気に入らない。これが社長というか王に対する殺意に変るのか?
私はどうも幾ら予言に有ったにせよ何故自分を引き立ててくれた王に殺意を抱くのかが、今ひとつしっかりと理解できていない。
場面はマホガニー城に変る。
小さい人間が大きい事をやるのだとランディ夫人は嫌がる夫にレスポールジュニアーの短剣を渡し王殺しの罪をジュニアーに被せれば良いと助言、ランディはその言葉に従って王を殺す。手は真っ赤に血で染まり片手にはジュニアの短剣を持っている。夫人はその短剣を戻しに行くが帰ってきた時、その手も赤く血で染まっている。
♪マクベスは眠りを殺した?、マクベスはもう眠れない♪
翌朝グレコが王の死体を発見し、王殺しの疑いを掛けられたジュニアはその場から逃げ身を隠す。
王の葬儀の場面で1幕が終わる。
2幕はランディがESP王国の主になってもう5年が経っているらしい。親友のエクスプローラーはランディに対して最近笑顔が消えたという。そんなエクスプローラーに対して苛立ちを覚えたランディは刺客を差し向ける。
2幕は時代の隔たる人物が度々錯綜する。マクベス内野はバンクォーの亡霊におびえ、夫人はそんな夫に苛立ち始め妄想に取り付かれ手のしみが落ちないと何度も手を洗う。
「マクベス」は小さきものが無理な高望みをした、その結果の悲劇なんだなぁ?!と思う。 夢破れた夫婦が語り合う場面が心に沁みた。
夫人は精神を病み城の上から飛び降り、ランディはグレコに殺される。この時キーワードの「女の股から生まれた男に俺は倒せない」という歌が入るのだが、このグレコは月足らずで帝王切開で生まれたので、その予言には当たらないという。しかしこの舞台はスゴイ台詞が度々出てくるなぁ?!(@_@;)
鋼鉄城の地下には核兵器が隠されているとジュニアーはいう。屋上にはこの城のブレーカーがありそれを落とせば城の電気は消えるとこの城の元住人のジュニアーは屋上へ駆け上がりブレーカーを落とす。しかし鋼鉄上の爆破の原因が判らない。地下の核兵器が爆発したのか?それとも雷が落ちたのか? 兎に角城は爆破され跡形も無くなった。
生き残ったエクスプローラーの息子が次の王になる事になった。王にはならないが王を生み出す男、此処でも予言は当たった!
瓦礫の下からグレコが現れ片手にランダムスターの右腕を高く掲げ「これが悪魔の右腕だぁーーーっ!」
一言で言えば強烈な舞台・・・、音も台詞も(笑) メタルロックという音楽を私は始めて聴いたのだけど、かなりの爆音と聞いて覚悟はしていたがロックの音は意外に心地よかった。松さんは歌も上手いし、まことに刺激的な台詞もさらりとこなす悪妻ぶりに目を見張り、他の役者さんも皆達者な人達ばかりでとても楽しめた。時々に入る音楽もとても面白かったが、内野さんの歌が時々フラ?ッと・・・(^^♪ いう感じがした箇所か有った気がしたけど、初日という事を考えればライブまでやって練習した成果が現れていたと思う。公演を重ねていけばもっともっと良くなるだろうと。
ただカーテンコールは頂けなかった! 皆が勢揃いした後、主役の内野さんが中央から現れるのは当然だと思うのだが、その後一歩前へ出て一人手を振ってなんかのパホーマンスをしているのがとても厭だった。舞台は例え主役であっても全員の協力があってこそなのに一人目立っているのはどうなんだろう? 2日目はこの仕草が見たくなくて終りまで見ずに会場を出た。あれは止めて欲しいなぁ?!
とは言いながらも私は舞台上のうっちーが発するあの熱さがやっぱり好きだわぁ?(^^ゞ 大阪へも行く予定なんだけど東京公演をもう一回観たいなぁ?と思う(笑)
この日記を書いている最中に一路真輝さんとの結婚が発表された(^o^)/ おめでとう??!!これからも良い舞台を見せてください!!
5/24『アラビアンナイト』テアトルシェルネ
6/18「メタルマクベス」東京楽 青山劇場
全く行けるとは思わず諦めていた東京楽のチケットが2日前になって突然舞い込んできて・・・(笑) 急遽行ってきました、東京楽!!
座った席はF列、今公演で最も前の席ですよ?! ○○さん、有難うございました?っ!
弾けまくったとても楽しい舞台でした。
今日が3回目の観劇だけど前回見た時は判らなかったものが色々見えた。
今更ですが、まずランダムスターが何故親友であるエクスフローラーを殺害する気になったのか? やはりそれも魔女の予言だった。 「王にはならないが王を生み出す男」 そしてその意味をランダムはこう呟く 「君の子孫が王になる」 共に魔女の予言を聞き、その予言どうりに行動している自分を知っている、王になった自分の地位を脅かす男・エクスフローラー!
やっぱり放っては置けないだろうな?、と納得。
メタルロックという音楽、私はこの舞台で初めて接したのだが、まことに心をワクワクさせるリズムだなぁ?、と改めて認識した。かなり好きだわ(笑)
そのロックのリズムに合わせて頭を激しく振る「ヘッドバン」というのかな? 松さんの頭の振りが本当に激しい! この場面では流石のうっちーも追いつけない。 負けてるよ?(笑) 内野さんはホンの少しだけ痩せたかな? 腕の太さはあまり変らないと思ったけど腰のたるみが少々減っているように見えた。 幸せ肥りなのかもね・・・(^^ゞ 以前は体の切れがスゴク良くて軽々と動く動作に惚れ惚れしていたのだけど、この舞台では殺陣のシーンでも体が重たげで、以前の切れの良さが感じられなかったのがとても残念。
錯乱した夫人を優しくベットに横たえ頬にキスをするランダム、その時松さんの目から涙が溢れていた。そしてキスを受けると引きつっていた顔が和らぎ安らかな寝顔になる。
こんな細かい演技が見られて感動した!その松さんが初日のカーテンコールではシラーーーッとしていたように見えたのだが(^^) 楽では本当に弾けまくっていた!!存分にやれたという満足感が伝わってきて良かったなと思う。
グレコの北村さんが相変わらずカッコイイ! 妻と子供を殺され、暗殺者の首を手に死んだ妻を抱いて現われ、死んだ子供と共に横たえる場面の北村さんには、ほとばしる悲しみと復讐を決意する凄みがひしひしと感じられた。ランダムの最後はてっきりグレコに殺されたと思っていたのだが・・・(笑) あれほど斬られていながらまだ死んでいなかった!そしてjrがブレーカーを落とした事で電源が変り感電死していたのだ!最後の鋼鉄城が破壊される爆音が凄かった?っ!! ズズーーーン・ズズーーーン・・・、場内全体が地響きがした。
そしてダクトの上部が壊れ銀色のロケット状のものが上昇していく。これをマクベスは「天を切り裂く陸(おか)の鯨だぁ?」と言っていたような気がするが定かでは無い。
前回の日記で鋼鉄城の地下に有ったのは核兵器と書いたが実際は大量破壊兵器だった(苦笑) まぁ?たいした違いはないと思うけど・・・。
マクベスは勇猛果敢でではあったが根は善良な人だったのだろう。だから心の動揺がそのまま顔に出る(^^♪ この舞台でも「自問自答」で歌われるし、舞台でも「顔・・・、顔・・・」と指摘される場面が度々あったが、その時のマクベス(内野さん)の顔は寄り目の変な顔で・・・(爆) 何を意味しているのかは判らない。
善良な小さな人間だったのに突然に振って湧いた大きな野望に振り回され、自滅していく物語、最近現代社会でも起こったホリエモンも村上ファンドも似たような事かもしれないと思う。手を伸ばせば届く所にある大きな野望なら、つい手を伸ばすのが人間なかもしれない。マクベス夫人が呟く「小さい方にしておけば良かった」という台詞は本当に哀しいなぁ?
新感線の舞台はどれもビジュアル的にヒーローをとてもカッコよく見せ、笑あり、涙ありと、お客様サービスに徹し、観た者を存分に楽しませる。その手法を知り尽くしている劇団員の一人橋本じゅんさんと、初めて新感線の舞台に立ち、戸惑いながらもアドリブがバンバンと飛び出すその雰囲気に懸命に溶け込もうとしている生真面目で天然なうっちーとの係わり合いがとても微笑ましかった。カーテンコールで舞い上がってしまっている内野さんを、笑いに託けてフォーローするじゅんさんに感謝したい思いで一杯で・・・、まるで身内気分(笑)
もう一つ作曲を担当した岡崎司さんも赤いコートを着て一緒に舞台に立ち、人の良さそうな顔をして真面目に演技をしているのが可笑しくて・・(笑)
新感線の舞台は本当に楽しめる!
カーテンコールでは内野さんが早々と拍手が終わっちゃったらどうしようかと思ったと笑わせながら「リンスはお湯に溶かして使え」と「ダイエースプレー買うてこいや」の2曲をバックスクリーンの映像付きで演奏・・・、会場は爆笑!
そして新感線千秋楽恒例の煎餅撒きで終わった! 全員に行き渡るだけ数はありますからと、注釈が付いていたけど残念ながら私の所へは届かなかった??!
「ベガーズ」も楽しい舞台だったけど、私の中では音楽もビジュアル的にも「ベガーズ」を越えたかな(^^♪
だがまだ終わったわけじゃない・・・、次は大阪だ!(^o^)/
少し間が開くので又何か変更があるかもしれない。
内野さん、それまでには絶対に痩せてきてね(爆)
楽しみだわぁ?!
7/3・4日『メタル・マクベス』大阪 前楽・楽
あぁ?終わっちゃった―――。
脱力してます・・・・、でも気を取り直して書かなくちゃ・・・(^^)
まず3日のソワレ・前楽では今公演で始めての2階席の後ろの方だったので、見え難いのは仕方がないと半ば諦め気味だったのだが、なんのなんの、これが素晴らしい眺めの美味しい席だった!(^^)
八百屋舞台の真ん中に四角に開いていたせりの部分は意外に底が浅いらしく、せりが沈んだ後役者さんは屈んだ姿勢のまま横に移動していたし、カレーを煮ていた大鍋も舞台から見えなくなった後はどうやら人力で上手の床の下にひっぱりこまれていたらしい、ゾロッ、ゾロッ、ゾロッと3度に分けて動いていた(笑)しかもその大鍋は裏側に当たる部分はぽっかりと開いていて、なるほど内野さんはあそこから人が出入りしてたのかぁ?(^^♪ と舞台裏もチョッピリ覗けて興味深かった。
舞台全体が見渡せるし、ライトはきれいだし、激しいロックのリズムも音はクリヤーでとても心地よく響く。勿論役者さんが全員マイクを使っているので、台詞もしっかり聞こえるし、その所為か物語の全体像がすんなりと理解でき、舞台にどっぷりと飲み込まれた感じがして不思議な陶酔感に包まれて観ていた。
オケボックスの中まで良く見えたが、なんと最初の ♪きれいは汚い・・・♪ の歌の最後、舞台で役者さんが揃って頭を振り手を振りしている時、キーボードの人が激しく同じ動きをしていたよ?(^^♪ 普通はバンドの人は裏方さんに徹することが多いけど、今回の舞台では役者さんと同じ様に舞台へ出て演技をする場面が多くみられた。中でも私が注目したのはギタリストでもあり、この舞台の作曲を担当した岡崎司さん、髪を茶色に染め色の付いたメガネをかけ、シーンに合わせて赤や黒の衣装にも着替え、ホッソリとした指で激しい音楽を弾きながら頭を激しく振る。内気そうな風情なのに役者さんの後ろに立って同じ様に足踏みをし手を振る演技をしているがとても微笑ましかった。華奢な体の何処からあの強烈なロックのエネルギーが生まれてくるのだろうか?そのギャップに惹かれて舞台上の彼の姿をオペラグラスでかなり追っかけた(笑) これも2階席だったからこそできたのだと思った。 千秋楽のカーテンコールでは内野さんとがっしりと握手をしていた!良いコンビだったのだろな?(^^♪ メタルロックなんて初めてで、私の中では喧しい音楽という認識しかなかったのが、この作品で一変にひっくり返ってしまった! 舞台の中のどの曲もビンビンと胸に心地よく響く。もう?痺れたよ?!司さん、この作品の出会いに本当に感謝です。有難う?!!
前楽では内野さんの声が掠れる場面があり、明日は大丈夫かと内心ヒヤヒヤしたけど、千秋楽ではスゴイ迫力で歌い切った!ビジュアル的にもとてもカッコよかったし、歌にも不安は全然感じられなかったし、大阪に来てから殺陣の動きも切れが格段に良くなっていて素晴らしかったよ!
オープニングでギター片手にロングコートを翻してカッコよく登場し、親友役の橋本じゅんさんとの笑いのシーンもピッタリと息が合っていたし、心ならずも王殺した後は魔女の予言に自ら縋りつき殺人を重ねた後は亡霊に怯えながら頂点から転げ落ちていく哀れなマクベス、精神を病んだ夫人を優しく抱きながら小さい自分たちが大きい事を望んだのは間違いだった、と語る場面ではしみじみとした語り口に、こちらが哀しくなってしまった。王を尊敬し妻を愛し武門の誉れ高かったランダムスター・マクベス、本当は良い人なのに何処で道を踏み違えたのよ?。魔女の予言なんかに振り回されなければ幸せな人生を送れたはずなのに・・・、と私の方が泣きたくなった。可笑しい場面、剣を振るって戦うとき、妻への愛あふれる優しい時、愛する人を失って悲しむ時、そして絶望する時も・・・どの場面も肩の力が抜けた自然体で演じていて、それがとても嬉しかった! でもどのシーンも存在感たっぷりで、これぞ新感線の舞台?っ!と鳥肌が立つ思いで観ていた。
そして橋本じゅんさんにとても感謝したい気持で一杯なんだ(^o^)/ 色んな情報を盛り込みグッドタイミングで放たれるアドリブは、新感線初出演の内野さんを違和感なく笑いに巻き込み、新感線の舞台に溶け込んでいる姿をみられたのがとっても嬉しかった。王が殺害される夜、ゲロの後始末を頼み手土産を渡して去っていく時のアドリブ「東京にはうってぇへんでぇ??」(売ってないよ)・・・思いっきりの大阪ネタだったなー(爆) 歌もとってもお上手で、バイクに跨ってバックスクリーンに流れていく背景を背に歌う♪あの娘のブーツは豚の耳の臭い♪なんてスゴイ変な題が付いているけど、実はこの歌がとても重要な意味を持っているのだが、その声がとっても良いんだ。新感線生え抜きの役者さんとして客演の役者さんを引き立てながらも劇団の持ち味である迫力ある殺陣は素晴らしいし、そこまでやるかーーーっの笑いもしっかりと見せてくれる。千秋楽では「大河、がんばれよ!」とエールを送ってくれたじゅんさん!!ブラボーーー!貴方はホントに素晴らしい?!
千秋楽の日のお昼前、劇場の前の喫茶店から出た時ぱったりとじゅんさんに出会った! 意外に華奢な身体つき、黒のTシャツに短パンを穿き首にタヲル掛けてスタスタと歩いてきた。昨夜の飲み会のアルコールを抜く為ジョギングでもしてきたのでは・・・、と話し合ったのだけど(笑) すぐ隣のホテルに泊まっているみたいだった。そう、その喫茶店(食堂)では私達(三人)のすぐ隣で冠君が居てお食事中だった(^o^)/ 勿論お食事中に話しかけるなんて失礼は致しませんよ!で、終わって席を立たれた時に「頑張ってくださ?い!」と言ったら手を振り答えてくれた?(^^ゞ なんかこの辺りは新感線の役者さんたちがウロウロしていて、それぞれのフアンの人達も沢山居てサインをねだる姿もアチコチでみられ、なんか舞台の興奮がここまで来てる?ような雰囲気だったゎ!(笑)
その冠君の千秋楽の昭和メドレーでは冠君いわく、「何でも応えてくれそう?」とか言いながら大阪ネタ(?)を振り撒き、それにばっちり応えるお客さんも多かったけど、よそ者の私達には何がなにやらさっぱりで・・・、でも私も一度で良いからあんなやり取りしてみたかったなぁ?(笑) とても良い雰囲気で、一旦終わったのに内野さんが「冠君、もういいのか? これが最後だよ」みたいな事を言うと、それでは?と又続きが始まったけど、これも全然判らない(爆) 側で笑をこらえながら立っていた内野さんの表情がまたなんとも素敵でねぇ・・・(^^♪ 素晴らしい歌声を聞かせてくれた冠君もこの舞台で充分スポットライトが当たって良かったね!
大阪公演になってから松さんと森山未来君のハジケ振りが一層激しくなって、未来君など舞台上にいるときは殆どジットしていることは無いくらい。飛んだり跳ねたり転げまわったり・・・、そしてグレコ役の北村さんとの関係がより親密になり、パール王の館で再会した時はjrのずるむけになった頭を抱きこんで撫で廻したりキスしたりで、もう異常なほどのべたべた状態!(笑) 個人的にも中が良かったのだろう、前楽が終わった夜、打ち上げでも有ったのか役者さんたちが次から次へとタクシーで出て行ったけど、松さん、北村さん、未来君が一緒の車に乗っていた。
松さんのヘッドバンも相変わらず激しい。あれだけ頭を激しく振って変にならないんだろうか? 内野さんも結構振っていたけど、松さんほどに激しく振らないのは、もしかして鬘が飛んではいけないという心配があったからかも・・・(^^♪
北村さんも新感線初出演だそうだが、メイクも赤く染めた髪もとてもよく似合って、少々いかれたマクダフ北村と最後までエスポールjrを守る忠臣グレコと、両方とも良い役どころだったね。北村さんの舞台を観るのは多分これが始めてなので、舞台で歌を歌うことがあったかどうかは知らないけど、歌もそこそこいけるし、踊りとまでは言えないけど音楽にあわせて踏むステップもきれいに決まっているし、スタイルは良いし、これならミュージカルでも大丈夫みたい(^^♪ 勿論笑のシーンもOKだけど、芝居も良い!特にグレコが妻と子を殺され復讐を誓う顔は凄みがあり、最後にマクベスを討ち破壊された残骸の中からマクベスの右腕を掲げて「これが悪魔の右腕だぁーーーっ!」と叫ぶ所は圧巻だった! このシーンは東京初日ではこちらを向いていたがいつの間にか背中に彫った刺青をこちらに見せながら向こう向きで叫ぶように変っていった。
それにしても千秋楽の爆破の時のライトと地響きは凄かったぁ!
「新感線千秋楽恒例のおせんべ撒き・・・」(笑) 内野さんがレジ袋を下げて出てきて、こう言う前に上手から出てきた上条さんが2・3枚撒いちゃって、慌てて内野さんが止める場面もあったりして(^^♪ 後ろのスクリーンに人数分は有りますが、1枚食べて1枚は保存用とか、A子さんの分もとか、余分に取らない様に!と但し書きが出た(^o^)/
私も通路から配られたのが廻ってきて、お陰で1枚ゲットーーーー!
カーテンコールは本当に盛り沢山、まず内野さんと松さんが「私の殺意」をデュエット、上条さんと冠君の「炎の報告」、森山君の「親の七光り」とタップ、そしてメタルマクベスバンドの「リンス」と「ダイエースプレー」
脚本を書いたクドカンさん、有り得ない様な喜劇仕立てでありながら要所要所にしっかりマクベスの台詞を、それも激しいロックのリズムで歌われる歌詞の中に多くの言葉をはめ込んだのがスゴイ!、台詞で語れば一瞬にして通り過ぎてしまう言葉も、挿入歌として歌い上げる事によって効果的に観客の心に飛び込み、観終わればなるほどこれは「マクベス」だ?!と言わしめた才能にまず脱帽・・・<m(__)m>、もともといのうえさんが最初に抱いた「メタル・マクベス」の構想の中に、この事は有ったのかも知れないが、それを形にしたのは、やはりクドカンさんだろうと思う。
だが理解しがたい部分も有ったなぁ?。
「狼の子孫が剣で空を切り裂き、陸の鯨が目を覚ます時・・・」こんな言葉、原作に有ったっけ・・・? ちなみに私が読んだ原作は勿論内野さんがお薦めの松岡和子さん訳のものです(^^) 原作の中ではマクベスはグレコに殺される、と この一行だけでまことにアッサリと終わってしまう。
原作のパーナムの森が動く、という部分がこれに変り、空を引き裂くのは今まで見た事もないような落雷で、上昇して行く陸の鯨はミサイルだと思うのだけど・・・。
jrがブレーカーを落とすと真っ暗になり電光掲示板に非常電源に切り替わりますと出る。マクベスがエレキギターの電気が足りないと喚くとJRが再び電源を入れた途端、感電したような稲妻が走り、やがてそれがものすごい光となり鋼鉄城が爆破されるのだが、これが大量破壊兵器による爆破だったの? その光の中で陸の鯨がゆっくりと上昇するのだが・・・、何回観ても鋼鉄城の破壊の真の原因がなんだったのか説明できないんだなぁ???(涙)
だが濃くて熱くて激しくて、もう?最高の舞台だった!
いのうえ演出は勿論だが脚本、音楽、衣装など、この作品に関わったスタッフの方たち、そして舞台に登場した一人一人の役者さん達の全てに心から拍手を送りたい!
新感線の舞台だからきっとDVDになるだろう、と期待しているのだが発売は何時頃になるだろう?
早く欲しい???っ!
ナント千秋楽の私が座った少し後ろの席にあっきーがいた?!
彼は2日前に『アワハウス』東京公演を終えたばかりの筈・・・。
遠征して大阪まで『メタルマクベス』を観にきたんだ。
昨年彼が主演した新感線『SHIRHO』も素晴らしい舞台だった!
そのあっきーの目に、耳に、この作品がどのように映ったか聞いて見たいなぁー(^^♪
『アワハウス』大阪公演を観に行く予定にしているので、こちらもたのしみぃ?!
メタルマクベス