白と黒

俺のものになれ

貴方はそう言って私を塗りつぶそうとする。

私は「嫌よ。」と言った。

貴方はしょぼんとして、その場を立ち去った。


私達はそんな関係になってはいけないの。

私が貴方を欲しいと手を伸ばしてしまったら、貴方は汚れてしまうから。


「ごめんなさい…」


私がこんなに汚れていなければ、貴方を愛することが出来たのに…ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。



「なあ」



立ち去った筈の貴方の声がした。


「お前の汚れを俺にも分けてくれねえか。そうしたらお前も明るくなるだろ。」
と言った。


私の頬に温かいものが流れた。



不器用で汚い私は



貴方の色を吸収して



綺麗な灰色になった。



綺麗な貴方は



私の汚れを受け入れて



薄汚れた灰色になった。



「これで俺達はお揃いだな」


「そうね…」



「ありがとう」



愛してる

白と黒

白と黒

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-07-01

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