特別な朝の

 特別な朝の小鳥の叫びは
 私を祝福するでしょう
 どことなく緋色の
 靡く木々と萎れた空気

 死が私を眠りへと誘い込み
 詩のBGMはもうこないと
 夢のうちに本を燃やしてしまおう
 塵となった記憶を殺そう

 落ちて気付いたのは
 まだ死ねなかったということ
 なぜか生きていたということ
 泡がしゅわしゅわと響いている
 
 絵を描いて
 風景を切り取って
 煙草を抜き取り
 ライタで火をつける

 たしかに私は消えていたし
 それとも存在していた
 煙と同じ
 何もかも霞む

 薬を大量に飲み込んでみたし
 手首を格子状に傷付けた
 腕には煙草も押し付けた
 脳を撃ち抜くことに躊躇いもなく

 どうせまた生き返るだろう
 特別な朝は明日もくる
 今日だって
 何度も同じ朝をみた

 あと少しで死ねるのだろう
 詩で私は幾度も生命を捨てたし
 そしてあなたを殺している
 私の腕に手錠をかける者よ

 特別な朝がもう訪れないよう
 私を牢獄にぶち込んで
 もう二度と再生できぬよう
 射殺(ころ)してくれ
 

特別な朝の

特別な朝の

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-07-01

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