《神霊捜査》第八部「男、一、二、三」(上巻)」

《神霊捜査》第八部「男、一、二、三」(上巻)」

《目次》
第一章 国際詐欺事件
(1)呼び出し電話
(2)二つの詐欺事件
(3)犯人追跡調査
第二章 中国大陸
(1)神伺い
(2)ニイハオ中国
第三章 北の天山天池
(1)延吉
(2)長白山(白頭山)

第一章 国際詐欺事件

(1)呼び出し

五島は、夕食の準備の野菜を切っていた。
突然、携帯電話が鳴った。
五島は急いでタオルで手を拭いて、呼び出し音の携帯電話に出た。

「はい!五島です。」

「もしもし、先輩ですか?本郷ですが、突然すみません。」

「どうしました?」

「実は、警視総監がおいでになられておりまして、先輩と会食をしたいとのお申し出がありまして、先輩に何か頼みたいことがあるそうでして。
今からすぐ玉の井迄来て頂けませんか? 今ここに着いたばかりでして。」

「突然だな! 分かった、すぐ行くよ。」

五島は急いで身支度をして玉の井に向かった。

玉の井の玄関先で本郷課長がウロウロして待っていた。
五島を見付けるなり、駆けて来て、

「先輩! 驚きましたよ、警視総監が、公用で福岡においでになり、いきなり連絡が先程あり、玉の井に先輩を連れて来てくれと電話がありまして、ビックリですよ!。」

「そうか、只野君は忙しいからな!」

玉の井の個室の奥座敷に只野警視総監と外山秘書室長が一人の初老の紳士と待っていた。

「お疲れさま、只野君ひさしぶりだね!どうしたんだい?急にこんなところで?」

「いやあ!先輩ひさしぶりです。
お元気のようで何よりです。
公用で福岡に来たんで、貴方の顔でも見て帰ろうと思いまして、それに何時も請求書でしか知らない、この玉の井の味でも見て帰ろうかと思いまして、寄りました。
少し頼みたいこともありまして。」

「そうだったのですか! で、頼みとは?」

「まあまあ、喉を潤してからにしましょう。
此方は王さんと言って中国大使館の大使秘書室長で、外山君の友達ですよ。
こちらが先程からお話しておりました五島先輩です。」

と、初老の紳士を紹介した。

「私は中国大使館秘書室長をしております王文礼といいます。
先生のお話は外山秘書室長から良く聞いております。
よろしくお願いいたします。」

と、流暢な日本語で挨拶をした。

「先輩がおみえになるまで、何も注文しておりませんでした。
先輩何を飲まれますか?」

「ああそうですね、、今日は暑かったから、とりあえず、生ビールで、乾杯でもしますか?」

「分かりました。生ビールですね、先生付きだしは今日はタコ酢ですがそれで宜しいでしょうか?」

と、女将が尋ねた。

「ああいいね!後は板さんにお委せだ。」

「分かりました。すぐお持ち致します。」

と、乾杯して宴席が始まったところに雫ちゃんと真ちゃんが到着した。
聞くと、只野警視総監のご指名で、駆けつけたらしく、入って来るなり、丁寧に挨拶して、隅の方に畏まって座った。

────────────────────────────────────────

(2)二つの詐欺事件

「ところで、頼みごとがあると聞いたんだけど?」

と、夏場も最近は養殖で食べれるようになった河豚刺しを冷酒で食べて、五島が切り出した。

「そうそう、そのこと、先輩に頼みたいことがあるのですが、外山君、先輩に事件のことを説明してくれないか?」

「はい! 分かりました。
実は、ことの始めは、国家公安委員長からの頼みで、特定失踪者の北朝鮮からの返還という大がかりな詐欺事件の被害者からの訴えでした。
今の拉致担当相は国家公安委員長が兼務されていますので、その新潟出身の公安委員長のところに地元の後援者からの頼みが来たのが始めでした。
ところが、拉致被害者とは、まだ認定されていない方の、つまり特定失踪者ですが、その方が、北朝鮮で発見されて中国北東部の朝鮮族自治区の国境沿いから返還されることが決まったという話でした。
ただし、その為には、北朝鮮側に10億円位支払をしなければならないという話でした。
話を持って来たのは、三人の男達で、身分を調査したところ、朝鮮人、中国人、日本人の40歳台の男達で、身元ははっきりしていることが判明しました。
それで、失踪者の両親から情報が公安委員長の秘書にもたらされ、公安委員長から警視総監のところに相談があり、私のところに来たのです。
それで、両親が金持ちで、用意するので、国家同志として表だって対処が出来ないので、秘密裏に処理出来ないかということでした。
中国でのことですから、国家同志では出来なくとも、中国に協力をしてもらう必要があり、それで、懇意にしている王さんに私からお願いして、力になってもらったのですが、
みごとに全員騙されてしまいました。
その父親が、中国側から紹介された添乗員と伴に中国東北部吉林省の延吉(えんじい)に特別に許可を取った荷物100kgにもなる10億円もの日本円を持ち込み、相手との交渉に当たったのでした。
三人の男の指示で、長白山(ちょうはくさん)の中国側の頂上休憩所で交渉相手と会うとの情報で、現地で紹介され、その地の新しい添乗員と車で登山しました。
しかし、霧が深く山頂で中止と決まり、下山途中の道路横の草原で、昼食をとるということになり、草原にビニール蓙を敷いて、食事の弁当を広げた時でした。
突然道路を登って来た、朝鮮族自治区軍隊の軍人数名が、彼等を囲み、スパイ容疑と登山規定違反でパスポートを取り上げて行ってしまったのです。
三人の男達は、先に下山していて、連絡が取れず、現地の添乗員も交渉したが相手にされず、後で、軍事事務所迄来いといつて、行ってしまいました。
パスポートが無いと後の動きが出来ず困って、延吉に降りて、案内の添乗員の会社の社長に会い、軍隊との交渉を委せることになり、軍隊のワイロや手数料等、全部で100万円程払えば、パスポートを返してくれるということが分かり、支払って、パスポートを手にして、明日の交渉の為にホテルの天池賓館に戻ってビックリ、ホテルは既にチェックアウトされていて、部屋の荷物全てが持ち出されていたのでした。
あの三人の仕業ということが判明した。
見事に10億円盗まれていたのでした。
その上、後日、王さんの調査で、朝鮮族自治区の軍隊には手数料として、わずか1万円が支払われただけであることが判明した。勿論、現地の添乗員とその社長達は警察に捕まりましたが、三人の男達の行方は不明のままでした。
飛行機の登場記録には乗った様子もなく、恐らく車で逃走したものと思われた、が何も判らず仕舞いとなったのでした。

────────────────────────────────────────

(3) 犯人追跡調査

王秘書室長はこの件は日本駐在中日大使の許可を受けて協力していた為に、中国としては、面子を重んじて、中国警察に圧力をかけた。
中国警察は直ぐに男一を逮捕した。
男一は、延吉にいた。朝鮮族の中に隠れていたのでした。
中国警察が、朝鮮族自治区の軍隊に圧力をかけて、逮捕させたのでした。
しかし、この男一の朝鮮族の男は、男二の中国人の男に誘われて、仲間になっただけで、北朝鮮の話等は、嘘だったこと、と本人は、わずか20万円を報酬として貰っていただけと判明した。
男二の中国人と、男三の日本人の二人は、車で北京に向かったことも判った。
中国警察は威信にかけて、二人を追った。
北京の東城区の安宿に隠れていた男二の中国人が捕まり、男三の日本人は何処かに荷物を発送して、単身で、内蒙古方面に逃げたと白状、本人も男三から誘われて仲間になったこと、男一を仲間にする役目をしたことと、報酬として100万円を貰ったことも白状した。
しかし、男三の行方は今 もって判っていないとのことであった。
それで、その男三の調査に、広大で、人口も多い中国内での調査について五島に協力を頂きたいと今日の面会と、なったとのことであった。

「私とて、万能では無いから協力できるかな?」

と、五島が答えた。
すると、外山秘書室長が、

「先生、私は以前先生に協力をお願いして、仕事をご一緒した際にお話をお聞きしております。
人間がすることは全て、神界の型だしだと聞いております。
それに中国神業にも過去に行かれたことも聞きましたし、その折、長白山に登られた話もおっしゃられていましたので、今回のこの事件は、その関係では無いかと思いまして、警視総監にお話をした訳でして。」

「さすが、総監秘書だけあるなあー。
覚えていましたか? 実は今、その事件の内容を聞いていて、幾つかの、過去の中国神業と符号する点があるのに驚いていたのだよ。」

「では、御協力頂けますか?」

「まあ、まあ、待ちなさい! 少し、調べることも有るし、神様の神意がこの事件の解決にあるかどうかをまず先に神合わせしてからのことだよ。
もし協力するとしても、我々は現場に立って始めて神様と接界で、会えるのだから、中国に行かなければならないことになるから大変だな!」

「中国国内の旅については、我々中国政府が全面的に御世話をさせて頂くことが出来ますが。」

と、王秘書室長が答えた。

「下手すれば、新彊ウイグル自治区の烏魯木斎(ウルムチ)迄行くことになりますよ。
今、失礼だがウイグル族が騒いでいる現地ですが?大丈夫ですか?」

「大丈夫です。我々の軍隊が護りますから。」

「そうですか、それは心強いですね! でも、少し考えさせて下さい。」

「五島先輩、どうかよろしく頼みます。
我々も全力で協力致しますから。」

と、警視総監が伝えた。

────────────────────────────────────────

第二章 中国大陸

(1) 神伺い

五島は、神霊捜査課の全員をを自宅に呼んで、五島家の宮の月祭りを施光した。
その際に、雫を介して、神意伺いをした。
今回、要請されている中国出向について守護之宮の神々様に伺いをたてた。

「今回、国際詐欺事件の解決の為に中国出向は神意にございましょうか?」

『ある。行きなされ。課長、課長補佐以外の署員全員と、外山殿を連れて行かれよ。
多少、手こずることもあろうが、必ず、成就する。只、今回は、空間の宮の神塩を持参して行かれよ。助けられることが必ずあるから。』

「期間はどの位予定すればよいでしょうか?」

『そう、平成8年の時の行程をたどるがよかろう。』

「ということは、20日間必要ということですね!」

『そうなるな。』

「ありがとうございました。ほかに何か注意事項はございますか?」

『男三に注意せよ。あれは黄人では無いから。』

「と、いうことは? 日本人で無いと? 分かりました。ありがとうございました。」

この祭りに参加していて、この神様と五島の問答を聞いていた者の二人以外は軽く両手でガッツポーズをしていた。

この決定は直ぐに外山秘書室長に伝えられて、外山秘書室長から五島に電話がかかって来た。

「五島先生、本当にありがとうございます。
私も皆様と同行することを警視総監から、赦しが貰えましたので、連絡させて頂きました。
それから、一応、神霊捜査課から連絡を受けました行程予定の一覧表の手配を王秘書室長と、詳細に検討して手配完了しましたので、その決定行程表を今日、送らさせて頂きます。
よろしくお願いいたします。」

「日本人の男三について詳しく再調査して於いて下さい。
この男について注意が必要みたいです。」

「解りました。」

────────────────────────────────────────

(2) ニイハオ中国

6月21日、五島達一行5人は福岡空港から関西空港に向かった。
関西空港で、外山秘書室長、王秘書室長と合流して、16時15分発のMU526に搭乗し、中国青島経由で20時15分に北京空港に降り立った。
五島にとっては、18年ぶり二度目の中国大陸訪問であった。
北京空港の特別待合室から迎えのバスで、暗くなった町並みを抜けて、今日の投宿予定の前門建国飯店に到着して、チェックインは、必要なく、それぞれに個室が割り当てられていた。
以前の平成8年時の中国神業予定表を渡して、出来るだけその再現を依頼しておいた為に、前と同じホテルであった。
部屋には入らず、王さんが、夕食の宴を用意してくれていたのを無理を言い断り、下町の庶民的な、中国らしい安食堂で老酒で乾杯の前祝いをして、腹一杯北京料理を戴いた。

翌日、6月22日、延吉行きの飛行機は午後の為に、午前中は、前の神業と同じように北京観光をすることになった。
北京観光と言えば、天安門広場と故宮見学であった。
天安門広場には、多くの人々が見学に来ていて、大きな建屋に額に入れられて飾られた毛沢東の写真を背景にして、シャッターを押していた。
観光の人の波はそのまま隣の故宮へと続いていた。
五島達もそのまま故宮に入った。
壁の門をくぐると、突然大きな壁に九匹の龍のかかれた壁が現れた。
五島は雫の様子を注視していた。
しかし、雫はその壁の龍を見ても、何も云わない。

「雫ちゃん。龍さん達は何も言っていないかい?」

と、聞いてみた。

「はい、ここには龍はいませんよ。
この絵は私には、蛇の脱け殻、いや、龍の脱け殻にしか見えません。」

「それで正解だよ。18年前に、私達が、浄めて開放したからね。」

故宮の大きな広場は、ラストエンペラーという映画で見ていた通りの広大な宮殿の前の広場が、観光客であふれていた。
まだ時間があるということで、今度は天壇という道教の祭祀後の建物を見学した。

「雫ちゃん、誰か何か言ったかい?」

「いいえ、誰も居ませんよ。」

「そうかい、18年前には、ここで、老子が出てきて、今では「道教」の価値は一元にも満たないと、言ったんだよ、今だと一元は20円位あるかな?、あの頃では確か一元が50銭程の価値しか無かったんだよ。
つまり老子達が教えた道教は意味の無いことであったと言いたかったんだろうね。」

と、五島は皆に説明した。
五島達は午後の3時30分発のGP716便で、延吉に向かった。

────────────────────────────────────────

第三章 北の天山天池

(1) 延吉

北京を飛び立って2時間余りで、吉林省朝鮮族自治州延吉市に着いた。
心なしか寒々した雨上がりの延吉の白山大厦に投宿した。
今回の五島達の中国出向には、全行程に渡り、中国日本大使館の王秘書室長が随行していて、五島達は何一つ煩わしい手続きをする必要がなく、行く先々で、当地の中国政府事務官が王秘書室長と五島達を出迎えして、とてもスムーズに進行した。

翌23日は、延吉から長白山(韓国名は白頭山)の登山口迄、車での移動日となった。
この日は長白山の入り口付近の杜姥飯店に投宿した。
その晩、王秘書室長の招待でゲルの招待所に案内されて、老酒の酒宴となった。
五島は、確か18年前、このゲルの招待所で神業仲間と入り、凄くぼられて、確か4人で入って、ビールしか飲んでいないのに8万円位支払うはめになったことを思い出していた。
今日は王秘書室長が一緒だからそんなことにはならないはずと安心して、老酒を飲んだ。
五島は思い出したことを王秘書室長に聞いてみた。

「18年前に来たとき、私は写真を趣味にしていたので、添乗員に断って、朝早く写真撮影に出かけようとしたら、その添乗員が、一人では危ないですよ、この辺りは虎が出ますからと言って、朝早いのに、私に付き合ってくれてついて来たのですが、本当にこの辺りは虎が出るのですか?」

「ハハハ、それは昔の話ですよ。たぶん、北朝鮮の脱国者を警戒していたのでしょう。」

「ああ、なるほど。でしょうね!彼は武器を何も持っていなかったんで、本当に虎が出たらどうするのだろうと思いましたよ。」

「ここ延吉と長白山は朝鮮族の聖地みたいなところですから、中国政府は彼等の自治を認めていて、そのことをよいことに、かなり酷い密輸をしていることは判っているのですが、北朝鮮との付き合いは煩わしいことが多いですから、中国政府としても彼等に委せる方が、楽なんです。」

「なるほど、悪も使いようですね。脱国は多いのですか?」

「毎日10人位は出てきていますよ。それを金でこの辺りの朝鮮族が匿っているんですよ。
中には悪い奴もいて、若い娘だったら、騙して売り飛ばしたりする奴もいるんですよ。
困ったもんです。」

「フム! 北朝鮮は赤目牛霊団の本拠地だから、さもありなんだが、この中国側迄その影響が出てきているんですね!」

「何ですか? その赤目牛というのは?」

「ああ、神界で悪道をしている強力な霊団で、未だに人間に影響を与えているんです。
もしかすると、今回の事件も、彼等が関係しているかも知れません。
明日、長白山に登れば判るかも知れませんよ。」

────────────────────────────────────────

(2)長白山(白頭山)

朝から、曇り空を見ながら長白山に車で登山を始めた。
長白山の登山道の周りは、高原植物の宝庫となっていて、草原に踏み込み禁止となっている。
登山道は二台の車がすれ違える位の充分な舗装道路で出来ているが、所々、舗装が剥げて、砂利道となっているところがあった。
車道から山の頂上を見ると、雲の中に隠れていた。
この山は、最高峰の白雲峰,2691mを始めとして、噴火口の跡の長白天池の周りに2,500mを越える峰が幾つも取り囲んでいて、中国と北朝鮮との国境がその中央に鎖で分けられていて国境線をなしている。
中国側の展望所からは、対岸の天池付近を歩く北朝鮮人の姿が分かる程の展望であった。
この付近で、特定行方不明者の返還をすると云われれば、返還を希望する方は、余り疑わないだろうが、通常の返還場所としては、首を傾げたくなるような場所ではあった。
山頂にあがると、案の定、雲の中で、景色は、天池の湖面がやっと見える程度であった。

「雫ちゃん、湖面から誰か出てきていないかい?」

「ちょっと待って下さい。」

と、雫は二礼三拍手一礼して、湖面を見つめていた。

「男のヒト、三人の残映が見えます。」

「残映か、なるほど。」

「何も言ってはいないね。」

「はい。」

「残映とは何でですか?」

と、山ちゃんが五島に尋ねた。

「たぶん、18年前にここのタテカエは終わっているんだと思うが、思いが残って、他の、おそらく、今の北朝鮮の人々の思凝がここに集まって来て、消えた男達の残映を呼び起こしているんだろう。」

「思凝とは怖いですね!。」

「王さん、もういいでしょう。だいたい解りました。
やはり18年前の神業の過程で、判明して来そうです。降りましょう。」

降りがけに、視界が開けて森林の向こうに灰色の原野が見えて来た。
王さんが車を止めさせて、我々は道路脇の高山植物の生えた草原に出て景色を眺めた。

「あれが、北朝鮮ですよ。」

と、指を指して説明していた時であった。
下から登山道を登って来たジープから、数名の兵隊達が降りて来て、五島達に近づいて来て、朝鮮語か中国語で何か叫んだ。
王秘書室長に付いて来ていた政府関係者と、激しく何かやりとりしていたが、最後には、並んで敬礼して、降りて行った。

「王さん、あれは朝鮮族の軍隊達でしょう? 18年前にも、彼等からパスポートを取り上げられて、取り戻すのに苦労したんですよ。」

「そうでしたか、我々を北朝鮮人と勘違いしたみたいです。赦してあげて下さい。」

この日は、長白山から延吉に帰る途中で、天池飯店に投宿した。
翌、25日、延吉に戻る途中で、大連の近所の日本軍が造ったという今でも使われている大きな橋や、朝鮮族の青空市場等を見学して、夕方のCJ6149の19時50分発の飛行機で、北京に戻り、前日の前門建国飯店にチェックイン、明日からの車中泊となる長駆の列車旅 に備えて、皆、早めの就寝となった。

前編完
────────────────────────────────────────

《神霊捜査》第八部「男、一、二、三」(上巻)」

登場人物、会社、公共施設等は実在ではありません。おことわりしておきます。
フイクション小説です。

《神霊捜査》第八部「男、一、二、三」(上巻)」

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-06-30

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 第一章 国際詐欺事件
  2. 第二章 中国大陸
  3. 第三章 北の天山天池