『 あじさい亭の策略 』

天照晴太郎様へ。

突然のお手紙申し訳ありません。

先日、ひまわりレストラン移転のお知らせメールが届きまして、私はお気に入りの麦わら帽を被り早速挨拶に伺ったのです。
沢山の人で賑わう店内には素敵な音楽が流れ、今までとは違った感じの料理やお酒をいただきました。
とても楽しい時間を過ごしていたのですが、ふと、感じる違和感。
お客さんにも店員さんにも見知った顔が全くいないのです。
きょろきょろと店内を見回す内に、私はとんでもないモノを見つけてしまいました。
……紫陽花です。
そうここは、お日様さんさんクラブの集まるひまわりレストランではなく、しとしと雨粒会の集まるあじさい亭だったのです。

「あ」

時、既に遅し。
いつの間にか、強面のアマガエルさんとカタツムリ夫人が私を囲んでいました。

黄色いレインコートに、長靴、雨傘。

麦わら帽子を取り上げられて、あっと言う間に着替えさせられてしまって。

私は非道な罠にかかったのです。
裏切ったとか、スパイだったとか、そういう訳ではありませんので、何卒誤解なきようお願い申しあげます。



追伸.今日も素晴らしい雨模様ですね。
素敵な雨粒が貴方様にも降り注ぎますように。

『 あじさい亭の策略 』

『 あじさい亭の策略 』

極短小説。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-06-27

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