くつ下のあな。

くつ下のあな。

主人公(青木彩葉:あおき いろは)はミステリアスだけど優しい男子(高橋晴嘉:たかはし はるか)に恋をする。絡み合う高校生の恋愛事情

高1 -春

あなたは高校時代を覚えていますか?

新入生として迎えられた高校一年の春。
小学校から仲の良かった南舞友、水原葵と同じ学校に進学した。

「リサおはよう!今日からあたしたちJKだね」
「舞友、そんなはしゃいだら転ぶよ」
中学から相変わらずのやりとりの2人
春休みぶりに会う2人はどことなく高校デビューをしていた。
「クラス表みにいこ!」

よかった。2人と一緒だ
となりではしゃぐ舞友をよそに女子たちが何やら群がっている。
「なんだろう、隣のクラス?」

私は何も知らずに彼と関わりをもってしまった。
もしあの時、彼と出会わなければ----

隣のクラスの前で様子を伺う私たちの後ろにこのクラスの生徒と思われる男子が立っていた。
「ごめん、ちょっとどいてくれる?」
私は彼の整った顔、それだけではない。多分外見だけじゃないものに惹きつけられ、呆然と立ち尽くしていた。

入学式も終わり一人で家に向かっていたとき
「青木さん?家こっち方面なんだね」
「え、はい」
この人、同じクラスの人だっけ...
「...その様子だと俺のこと知らないでしょ」
「う、ごめん」
「俺は赤尾隼 みんなからはシュンって呼ばれてる。それで、俺の自己紹介聞いてないくらいボーッとしてたんだ?何考えてたの?」
「別に、大したことじゃないよー」
朝会った彼のこと考えてたなんて言えるわけない!
「そっか、まぁこれからよろしく!リサちゃん」
いきなり名前呼びですか、まぁいいけど。

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「どうしよう、完全に迷った」
入学二日目からいきなりピンチ。昨日は送ってもらったからよかったけど...
「あれ?同じ学校の人?こんな時間にここにいたら遅刻するよ?」
いかにも運動部っぽい同じ制服の人。
「あの、実は学校の行き方が分からなくて...」
「そうだったんだ、じゃあ一緒にいこう」
「ありがとうございます」
「通学で迷う人初めて見たよ」
「ですよね...自分でも方向音痴直さなきゃって思ってるんですけど」
「そっか、あとさ敬語使わなくていいよ。俺も一年だから」
大人っぽくて落ち着きがある雰囲気から私は先輩だと思っていた。
「そうなんだ!よろしくね」
「よろしく、俺は一組の広瀬海斗」
「私は青木リサ、二組だよ」

当然私たちは遅刻した。放課後は罰として反省文だなんてついてない。
「リサ〜なんで遅刻したの?」
「道に迷っちゃって...」
「ホント相変わらずだね」

「じゃあ先生に呼び出されてるからいってくる」
重い足取りで職員室の隣の空き教室に行った。
「あ、青木ー」
「広瀬くんも反省文か」
「朝やっぱ走ればよかったね」
何気ないことを話しているうちに反省文も書き終えた。職員室に向かっていると
「海斗が呼び出しなんて珍しいね」
振り向くとそこには彼がいた。
「犬と遊んでたら遅刻しちゃってさ、まだ帰ってなかったんだ」
「うん、ちょっと隼とバスケしてた。玄関で待ってるから帰ろう」
「じゃあこれ出してくるわ、いこう青木」
「う、うん」

「よし、帰ろうぜ」
成り行きで3人で帰ることになった私たち
「まだ道覚えてないんだろ?」
広瀬くんがからかったように言う
けどちょっとラッキーかもなんて浮かれていた。
「あ、こいつは高橋晴嘉。俺と同じクラスで、マイペースだけどまぁいいやつだよ」
「まぁってなに」
「青木リサです。よろしくね」
この出会いが私の人生を変えてしまうなんて思ってもいなかった。

くつ下のあな。

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  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2015-06-25

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