いるかのほし 47 オカキのお手柄2

オカキのお手柄 2

 ワッフルハウスの前が、ちょうどバス亭。時刻表を見ると、あと10分くらいでちょうどビーチ行きのバスが来るらしい・・・。

 なんだか、きっとウミガメに会えるような気がする・・・・・。何も考えないで、とにかくきたバスに乗り込む・・。

 街の角を何度か折れて、2つほどバス亭に止まった後、海が見えてきた。さっきのハーバーとは反対の方向にバスは進んでいく・・・。

 オレンジ色の太陽は、かなり大きく見えて、空気に少しひんやりした風が混じりだす・・・・。波は銀からゴールドに変わって、まるでこの世の景色ではないようだ・・・・。さっきから、余計なことを考えていない自分に、ピコは気が付いた・・・。きれいなものは、ただきれい・・。見とれるだけ・・・・・・。おいしいものも、ただただおいしい・・・・・!!

 ワイハハ島に来ると、こころの中の、奥底に、何かむずむずする、上機嫌な自分が笑いだす気がするのだ・・・・。イルカの尾ひれみたいに、ピコピコ上機嫌な何か・・・・・。ゴールドにざわめく海岸を、海からの肌触りの良い風を受けながら、オカキ、ココ、クックと一緒にビーチに向かっている自分・・・・・。おいしかったワッフルと、海の中の透明な光のリボン・・・。音もなく泳ぐイルカの群れ・・・・・。全部が、心地よかった・・・。もしも、ウミガメに会えなくっても、いいや・・・。なんだか、また眠くなってくる・・・・。

 20分くらい揺られ、ホヌビーチに着いた。ワイハハ島のパワースポットのひとつで、ウミガメの産卵場所でもある。

 もう夕方だから、観光客もまばら・・・・。現地の人が、犬の散歩を楽しんでいる・・・。

 すると、その中の一つのグループが、海の方を見て指をさしている・・・・。何て言ってるのか・・・・。離れていてよく聞こえない・・・。・・と、オカキが「ああ!!あれ!!」と波間を指差した・・・。「ウミガメ、いたいた!!」「ええっ?どこ?」・・・・・と、その方向を見たときには、ただただ金色のさざ波が見えるだけ・・・。「あ!!また、息継ぎしてるよ。あそこあそこ!!!」・・・・・・・、波がチラチラ眩しくて、焦点がぼやけている・・・。よく見えないなあ・・・・・。ココとクックは?・・・・・後ろ、少し離れて歩いてくる。

 「・・・・・ああ~~、いなくなった~~~。」

 「本当にいたんやね??ウミガメ、見れたんや。」
ピコは、なぜだか見つけることはできなかったけど、さっきも思ったように、こんなに心地がよいのだから、それでよい気がした。
オカキだけしか、見つけることができたことも、なにか、それが良かったんだ、ってそんな気がした・・・・・・。

いるかのほし 47 オカキのお手柄2

いるかのほし 47 オカキのお手柄2

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-06-25

CC BY-NC-ND
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