パズル

パズル

「おはよう。」

リビングでコーヒーを飲む私の頭に彼の顎が軽く乗る。

「もうお昼だよ。」

笑いながら私は振り返る。
顔を見合わせて軽くキスをした後、微笑みながらキッチンに向かう彼の背中を見送る。

「何時から起きてたの?」

コーヒーメーカーのスイッチを入れ、マグカップを探しながら聞く彼に起きてくるまでの一通りを話した後、聞き返す。

「ごはん、どうする?」

時刻はもう十四時を差そうというところで、こういう時の彼の返答はいつも決まっている。

「外、行こうか。」

わかっていた返答になんとなく満足気な自分に少し笑い、猫舌な私とは違って熱いコーヒーを飲む彼の背中に抱きつく。

キスもして、セックスもして、まして一緒に住んでいる。
具体的に一緒に居ようとしたわけではなく、自然とこういうかたちになっていた。

今まで一緒に居たどんな人よりも、心地がよく、頑張らないで居られる。

可愛げのない私自身、相手の心情を読み取ってこうであろうという気持ちが強く、いつも相手のイメージで居なければいけない状況に疲れていた。

そんな時に出会った、全く自分が読み取れない相手。
読み取れない人は今までも沢山いたけど、どうも合わなくて避け続けていた。


なんで、とか、どこがとか聞かれると、困る。
自分が一番わからないから。パズルのピースが嵌った。そんな返答が一番しっくりくる。



ただ、一緒に居ることが普通で、いつの間にか当たり前になった。それだけなのだ。


仕事の日は早く起きて、寝坊助な彼を眺めつつ朝の支度をしてお互い仕事に出て、帰ってきて次の日が休みなら一緒にお風呂に入って、お酒と軽くご飯を楽しんで一緒に眠る。
休みの日は遅くに起きて、決まって外にごはんを食べにいってお散歩をして夕日の頃に家に帰ってお互いに触れる。

玄関先で後ろから私を包みこむ彼の腕に、こんなにも喜びを感じれる自分がいる。
振り返り彼の胸に顔を埋める私の頭をくしゃくしゃにする。

笑いあって、キスをする。

人のことを信じるのも、合わせるのも、私達は苦手だ。


きっと、お互いのことも完全に信じれた訳ではないかもしれない。



でも、今が一番自分らしい。



それでいい。
一ミリでも形が違えば、こんなにも綺麗にピースははまらないのだから。

パズル

読んでいてクスクス笑えるような、そんなやる気の無い現代風のカップルを描いてみました。

今後2人はずっと一緒にいるでしょうか?

パズル

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2015-06-25

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