心に咲く2

第二章「変わりたいのに」

倉持先生は、学校で生徒に人気のある先生だった。
優しく明るく、しかしおっとりした女の先生。
そんな先生が、目立つことのない私に声をかけてきた。訳がわからなかった。
無反応でいる私に、先生はこう言った。
「桜木さんの指先は、とても綺麗で美しい。美術の作品を見てみてもそうです。まだ技術はないが、細かく器用に描いていますね。
私の指導で、本格的に絵を描いてはみませんか?」

正直、興味がないわけではなかった。無駄ではないだろうと思い、首を縦に動かす。
先生は微かに微笑み、私の手を引いた。そして行き着いたのは、その学校に多くあった空き教室。広い空間に、無数の鮮やかなキャンパス。
時間が止まったかのような感覚を覚えた。
私はその場所で、多くの時間を過ごし、多くのことを学んだ。
そして、今の私がいる。



思い出に浸っていたら、もう時間になっていた。
朝ごはんもそこそこに、家を出る。ちなみに私は1人暮らしをしている。
おばあちゃんの家からS高校は遠いので、近くのアパートに引越しをした。最初は何かと困ることもあったが、1年もたつと慣れてきたように思う。
学校には約10分で着くし、駅も近い。都心に近いけど、騒がしいわけではない。私は、この場所が結構気に入っている。

早足で歩いていると、学校に着いた。昇降口のクラス名簿を確認する。私は2年A組。
遅刻寸前というわけでもないのに、静かに教室の後ろ戸を開ける。数人がこちらを見るが、挨拶をしてくる人などいない。
私は結局、何も変わっていない無表情人間のまま。
後ろの端の席に座り、窓の外を眺めて作品材料を探す。
1年生から何も変わっていない。
 

私に変化などあるわけないと、このときは信じて疑わなかった。

心に咲く2

第三章も書きます。
お時間あれば、見てみてくれると嬉しいです。

心に咲く2

第一章の続きです。 完成までがんばりたいと思います。

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更新日
登録日
2012-03-23

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