いるかのほし 46 オカキのお手柄

オカキのお手柄

 ズットツアーズのボートから降りたピコたちは、さすがに疲れて街へ戻るバスのシートでうたた寝をしていた。

 まだ、身体は波間に浮かんでいるよう、急いで浴びたシャワーは、海水を十分には洗い流していないせいもある。
 首の後ろが日焼けで熱い・・・・・。

 オカキの顔は、サンカットの白いすじが、まだらに残って、余計に四角く見える・・・・・。シートの背もたれが低いので、首が後ろにカクンとなると、そのまま横にずれてピコにもたれかかってくる・・・・。
 ココとクックも、ストローハットがずり落ちそうなのに気が付かないで、とっぷり寝入ってしまったようだった。

 ピコは、うとうとしながら目が合った白っぽいイルカとそれが海水を蹴った時の素早い動きを、ぼんやりとただ思い返していた。洗い残した潮の香りに包まれているうちに、頭の中の思考は空っぽになっていた・・・。

 街に戻ってから、おやつを食べに、調べていたワップルショップに向かう。
 
 ツアーが遅れないで終わったので、余裕をもって店まで移動できた。運ばれてきた、トロピカーナワッフルは、2人で分けても余るくらいのボリューム!!!たっぷりのクリームとフルーツ、ソースが色とりどりにかけられて、カリカリのワッフル生地にじょじょにしみていく。

 「お~~~いしい~~~い!!」みんな、ほっぺをまんまるにふくらませて、口の中に広がるワイハハ島のママの味を、初めてでないかのように懐かしく味わう・・・・・。

 「あ~~あ、イルカツアーのあの、ごちゃごちゃ言ってたおっちゃん、なんかダサかったな・・・・。そうや、ウミガメのビーチに、今から行こ!まだ、サンセットまで2時間ある。間に合うよ。」ポーカーフェイスのココは、クリームを乗せないメープルワッフルに、ナッツトッピング。それも、当たりだったようで、気分が上がったのか良いことを提案してきた。

 「今から、行っちゃおか。そうやね、時間あるんやからもったいないもんな。」

 

 

いるかのほし 46 オカキのお手柄

いるかのほし 46 オカキのお手柄

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-06-24

CC BY-NC-ND
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